世界の海に生息する色とりどりのウミウシ。磯採集に行けば、子どもたちが胸を躍らせる最も鮮やかな獲物の1つ。ダイバーたちの人気者でもある。
「ナショナル ジオグラフィック日本版」の8月号では、当代随一の水中写真家、デビット・デュピレさんがウミウシたちのちょっと澄まし顔のポートレートを寄稿してくれた。
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都会に住んでいる読者のみなさんには、なじみが薄いかもしれないが、なんとも可愛らしい表情を見せてくれているので、是非ご高覧いただきたく思ってやまない。
このウミウシの生態はあまり知られていないが、実は、世界中の海という海に生息し、わかっているだけでも3000種類を超す仲間がいるという。
一見、生まれたての赤ん坊のように無防備な生きものにも見える。カタツムリに近縁の、海の無脊椎動物だが、進化の過程で何百万年も前に硬い殻は脱ぎ捨てた。表皮と筋肉と内臓をむきだしにして、ねばねばした足跡を残しながら、海の底をはい回っている。
浅い砂地や岩礁から水深1000メートルを超す暗い海底まで、世界各地の海にいる。暖かい海、寒い海、熱水を吹き上げる噴出口など、どこででも生きていける適応力は、見上げたものだ。大きさはおおよそ私たちの指くらい。
巻き貝と同じ軟体動物門の腹足綱(ふくそくこう)に分類されるが、殻をもたず、背中に房状のえらが露出している。海底を離れて流れに漂うこともあり、なかには自在に泳げる変わり者もいるが、動きはたいてい、のんびりしている。
はだか同然で動きものろいウミウシが、捕食者だらけの海で生きていけるのはなぜだろう?
身を守るための多彩な術を備えている。殻の代わりに硬い外皮や、表面の凹凸、ざらつきなどで守りを固めるほか、毒を使うものも多い。毒は、自分の体内でつくる種もいるが、たいていは食べた獲物から、ちゃっかり失敬する。たとえば有毒なカイメンを食べる種は、カイメンがもつ刺激物質を体内で変化させて貯蔵し、敵に襲われるとこの毒を分泌する。
毒針のような“飛び道具”で武装するウミウシもいる。イソギンチャク、ヒドロ虫、アナサンゴモドキ(ファイアーコーラル)などの刺胞動物を食べたウミウシが、毒のある刺胞をそのまま体内にたくわえ、自分の防御に活用するのだ。
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