「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」

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2008年8月22日(金)

海の小さな人気者 ウミウシ

子どもと一緒に磯採集はいかが

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 世界の海に生息する色とりどりのウミウシ。磯採集に行けば、子どもたちが胸を躍らせる最も鮮やかな獲物の1つ。ダイバーたちの人気者でもある。

 「ナショナル ジオグラフィック日本版」の8月号では、当代随一の水中写真家、デビット・デュピレさんがウミウシたちのちょっと澄まし顔のポートレートを寄稿してくれた。



Chromodoris属の一種。
Chromodoris属の一種。

 都会に住んでいる読者のみなさんには、なじみが薄いかもしれないが、なんとも可愛らしい表情を見せてくれているので、是非ご高覧いただきたく思ってやまない。

 このウミウシの生態はあまり知られていないが、実は、世界中の海という海に生息し、わかっているだけでも3000種類を超す仲間がいるという。

 一見、生まれたての赤ん坊のように無防備な生きものにも見える。カタツムリに近縁の、海の無脊椎動物だが、進化の過程で何百万年も前に硬い殻は脱ぎ捨てた。表皮と筋肉と内臓をむきだしにして、ねばねばした足跡を残しながら、海の底をはい回っている。

 浅い砂地や岩礁から水深1000メートルを超す暗い海底まで、世界各地の海にいる。暖かい海、寒い海、熱水を吹き上げる噴出口など、どこででも生きていける適応力は、見上げたものだ。大きさはおおよそ私たちの指くらい。

 巻き貝と同じ軟体動物門の腹足綱(ふくそくこう)に分類されるが、殻をもたず、背中に房状のえらが露出している。海底を離れて流れに漂うこともあり、なかには自在に泳げる変わり者もいるが、動きはたいてい、のんびりしている。

 はだか同然で動きものろいウミウシが、捕食者だらけの海で生きていけるのはなぜだろう?

 身を守るための多彩な術を備えている。殻の代わりに硬い外皮や、表面の凹凸、ざらつきなどで守りを固めるほか、毒を使うものも多い。毒は、自分の体内でつくる種もいるが、たいていは食べた獲物から、ちゃっかり失敬する。たとえば有毒なカイメンを食べる種は、カイメンがもつ刺激物質を体内で変化させて貯蔵し、敵に襲われるとこの毒を分泌する。

 毒針のような“飛び道具”で武装するウミウシもいる。イソギンチャク、ヒドロ虫、アナサンゴモドキ(ファイアーコーラル)などの刺胞動物を食べたウミウシが、毒のある刺胞をそのまま体内にたくわえ、自分の防御に活用するのだ。

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著者プロフィール

藤田 宏之(ふじた・ひろゆき)

『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長。1987年に日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社。『日経ベンチャー』『日経ビジネス』の編集などを経て、2007年4月から現職。『ナショナル ジオグラフィック』は米国ワシントンD.C.に本部を置く1888年設立のナショナル ジオグラフィック協会が発行し、世界約180カ国で850万人が購読する月刊誌。自然・野生動物・社会・文化・探検・科学など、地球とそこに生きるすべての生き物の営みを、世界の一流写真家が撮りおろす美しく迫力に富んだオリジナル写真と、正確で臨場感あふれる記事で紹介している。このコラムは『ナショナル ジオグラフィック日本版』の最新号の特集から、その内容を要約して紹介する。

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