• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

“ジャガイモの教訓”に学ぼう

「国際ポテト年」に思う、ビジネスイノベーションの重要性

2008年8月22日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 今年2008年は、国連が制定した「国際ポテト年(International Year of the Potato)」である。これに合わせたように、『ジャガイモのきた道』(山本紀夫著、岩波新書)、『ジャガイモの世界史』(伊藤章治著、中公新書)といった書籍が、今年になって次々と刊行された。海外でも同様に、複数の(料理書ではない)“ポテト本”が出版されており、ジャガイモの効用やその歴史的役割を見直そうという動きが急だ。最近の英「エコノミスト」誌に、3つのポテト関連記事が掲載されたのを見て、「へえ」と思われた方も多いだろう。

 この「国際ポテト年」は、2005年12月に行われた国連総会で決議されたものだが、「食料安全保障を提供し、貧困を根絶するうえで、ポテトの果たし得る役割」に目を向けるというのが、その目的だという。

 確かにジャガイモは、寒冷地など厳しい条件の下でも栽培可能、さらに耕作面積当たりの収量が高いという特徴がある。また、糖質に加えてビタミンC、B6などのビタミン、カリウム、鉄といったミネラル類も豊富に含有している。

 このため南米ペルー原産のジャガイモは、紆余曲折を経ながらも欧州各地に広がっていき、一部の国では“主食の座”に就いた。中でもアイルランドはジャガイモを主たる農産物とし、主食化することで、大幅な人口増を果たした。18世紀半ばに300万人強だった人口は、1845年頃には800万人に達している。当時アイルランドでは、英国による土地支配と小作料としての穀物取り立てが大変厳しく、ジャガイモの恩恵なかりせば、この人口増は到底不可能だっただろうと考えられている。

単作(モノカルチャー)の怖さ

 18世紀から19世紀にかけて、ジャガイモの大きなメリットを享受したアイルランド。その後、ジャガイモの疫病に端を発する「大飢饉」に襲われることになる。1845年に英国で発生した“ジャガイモ疫病”はその年のうちにアイルランドに飛び火し、同年の生産量が4~5割減った。翌年には、生産量は9割減というレベルに至ったという。
 
 食料の大部分をジャガイモに依存していたアイルランドにとっては、当然ながら大打撃で、この大飢饉の結果、同国の人口は急激な減少に転じた。1845年時点では約800万人だったが、6年後の1851年には650万人という大幅な人口減になった。ある計算によれば、仮にそれまでのペースで増え続けていたら900万人だったはず、とのことなのでほぼ250万人の減少ということになる。このうち150万人ほどが飢饉による飢餓、病気での死亡者で、残りの100万人が移民として国外へ脱出した人の数だという。

 この人口減の影響は長く続き、現在でもアイルランド共和国の人口は400万人強、英領北アイルランドを加えても600万人程度にとどまっている。ここ何年かIT(情報技術)産業を中心に大幅な経済成長を果たしたにもかかわらず、人口は19世紀のピークには遠く及ばない。

コメント0

「御立尚資の「経営レンズ箱」」のバックナンバー

一覧

「“ジャガイモの教訓”に学ぼう」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

ドイツ企業は協調と競争の使い分けに長けている。

ビル・マクダーモット SAP CEO(最高経営責任者)