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「存続できず、廃部に追い込まれた工学部」
~さらば工学部(4)

九州共立大学・小島治幸工学部長に聞く

  • 星 良孝

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2008年8月21日(木)

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 「廃部」することに決まった工学部がある。2008年度から工学部の学生募集を停止した北九州市の私立大学、九州共立大学である。3年後の2011年度をメドに在学中の工学部学生がすべて卒業した段階で、工学部は廃止される方向にある。

 日経ビジネス誌8月18日号特集「さらば工学部 6・3・3・4年制を突き破れ」の連動インタビューシリーズの第4回では、九州共立大の小島治幸工学部長が、工学部廃部に至るまでの“敗因”を語る。

小島治幸(こじま・はるゆき)氏

小島治幸(こじま・はるゆき)氏
九州共立大学工学部長
1951年12月神奈川県生まれ、56歳。74年に東海大学海洋学部海洋工学科を卒業、76年、米州立フロリダ大学大学院海岸・海洋工学専攻修士課程修了。79年、同エンジニア課程修了後、米国の測量企業に入社。81年から九州大学に助手として勤務する。91年、九州共立大学工学部土木工学科助教授として移り、94年から同教授。2007年4月に工学部長に就任。福岡県の地方港湾審議会会長、エコパークゾーン環境保全創造委員会委員長など多数の公職も務める

 九州共立大学工学部は今年度から学生募集を停止することになりました。志願者数が減っていくのを食い止められなかった…。

 最後には、定員の半数ほどしか埋まらなくなってしまいました。在籍している学生は何としても卒業させて、無事に就職するまで見届けます。その後、私たちの工学部は廃部となります。

 学生らには本当に申し訳ない思いです。保護者の方々には説明会を開きました。同窓会にも説明をしました。九州一円で説明をして、謝罪をしました。保護者の方々は就職への影響を非常に気にされていました。とにかく就職には影響ないように全力を尽くしたい。幸い、昨年度の就職率は96~97%でした。現在の2年生以上の学生を必ず社会に送り出すことが何よりも大切だと考えています。

 今のように工学部が経営的に厳しい状態になる前のこと。1990年代にはものすごく良い時がありました。資金に余裕がある時代に、私たちはいち早く気づいて動き出さなければならなかったのです。

 私たちには、それが欠けていた。廃部という最悪の結果を招いてしまいました。

打てば響く学生だったが…

 私は1991年に九州大学から九州共立大学に赴任し、土木工学科の助教授となりました。私の専門は土木工学の一分野の沿岸海洋工学です。当時、土木工学科の定員は80人、入学試験の競争倍率は3~4倍ありました。

 九州共立大に来るまでは九州大学で研究をしていました。九大は旧7帝大ですから、学生の基礎学力は高かった。それと比べれば、九州共立大の学生は基礎学力で負けるところはありました。ですが、意欲は強かった。4年生になると研究があり、私が指導していくと、最終的には九大の学生とそんなに変わらなくなるのです。

 私自身の論文執筆数は、九大時代には年間3~4本だったのが、8~9本に増えました。大学教員の義務であり、私としても力を入れたかったし、研究室を支える学生が一生懸命に力を注いでくれたおかげです。当時はまさに、打てば響く学生が揃っていました。

 90年代前半、どの大学の競争倍率も高かったですから、国立大学に残念ながら入れなかった学生が多く、そうした学生が九州共立大に入ってくれていました。

「数学で0点の人に限り不合格」と苦渋の決断

 18歳人口の減少は九州共立大にとっても痛手となり、志願者は確実に減り、競争倍率が落ちていきました。

 90年代前半で言えば、半分くらいは国立大学に進学してもおかしくない人がいたのですが、その割合が減っていきました。最後に定員を満たしたのは2001年度に入学した学生までです。この時は、まだ学生を選べる余地が残っていました。

 その翌年から、定員割れが始まります。2002年から入学者は定員の8割~9割まで落ち込みます。私立学校ですから、経営を維持するために定員を確保しなければなりません。教員としては少しでも優秀な学生を取りたい。だから、あるレベルのところで合格のラインを切りたいと思う。ところが、経営者である理事会の意向として、そうはいきませんでした。

 ほとんど「全入」と言ってもいい状況でした。かといって、誰でも入学させていいわけではありませんから、「数学の試験で0点の人に限り不合格としよう」といった最低限の基準を設けました。工学部としては苦渋の選択と言っていいでしょう。

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