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支持率の乱高下が「日本」を安値に落とす

情報の「耐震強度」は大丈夫か?

2008年9月24日(水)

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  麻生氏が「予定通り」といった感じで自民党総裁に就任しましたが、いかにも選挙対策内閣で、具体的に力になる仕事をするのか、いまひとつ良くわかりません。

 経済同友会の桜井正光代表幹事は「活発で深みのある政策論争を期待したが、将来ビジョンや政策課題の対立軸が明確にならなかった」と不満の意を示し、次期衆院選に関しても「政策の優先順位、財源、工程表の明示」を求めています。

 逆に言えば、財界から注文されなければ、政策も、その優先順位も財源も工程も、さっぱり不明確な選挙になる恐れが高い。

 それもそうでしょう。生真面目な政策論争を展開しても、いまの選挙では票が取れない。そのあたりを改めて考えてみたいというのが、今回の狙いであります。

 翻って米国に目を向ければ、ほとんどヒマねたの麻生選出と違って駆け込みのペースでの金融安定化法案の週内可決への動きが目につきます。「最大75兆円の不良資産買取り」という公的資金の規模に、民主党大統領候補のオバマ上院議員は「がくぜんとし」「(額面が空白の)白紙小切手を渡すわけには行かない」と独立監視機構の必要性と説明責任の明確化を直ちに強調。ポイントをよく理解しているコメントがきちんと報道に載っていました。

 では市場はどうか? というと安定策の効果に慎重な見方で、372ドル安と急反落して引けています。平行してFRBが発表したゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの2社の銀行持ち株会社化承認というのも、大変なことです。

 問題は本質的に、中間選挙後の共和党政権の政策の変化全体から考える必要があると思いますが、次回以後、日本の政策と比較しながら考えたく、別論とします。

 ともあれ、再び日本に目を転じれば、総裁戦前日の麻生さんの演説は、すでに(出来試合の)他の候補でなく小沢一郎氏にターゲットを絞ったものになっていました。

 民主党の「根拠のない政策」を批判する文言でしたが、なるほど確かにそうかもしれない、しかし、では麻生さんご本人の「景気浮揚策」の財源やその当否の根拠は何なのか? どんぐりの背比べに見えるのは私だけでしょうか? ここでもしオバマ氏程度に目先の利く方面から「白紙小切手では?」と問い詰められたら、どう答えるか?

 選挙時の瞬間的な支持をめぐって、自民、民主の両党とも、政策とその根拠の明示を求めたくなるスローガンばかり、目に付くような気がします。

 これからしばらく、情報金融と大統領選をめぐる本家米国の「広告代理店ポリティクス」とも対照しながら、総裁選~総選挙と続く日本の政治と、それが経済に与える影響について考えてみたいと思います。

 最初に1996年から2008年までの各政党への支持率の推移に、私があれこれコメントを付したものを示します。データは時事通信社によるもので、専門の研究者であれば本来、このデータの信憑性自体が問題になるところですが、このコラムではデータ前提でお話を進めたいと思います。

 一番上に、その時々の内閣、一番下に年次を示しました。縦軸はパーセント、グラフは上から水色線=支持政党なし、藍色線=自民党支持、ピンクが民主党支持、などとなっています。

図:1996~2008年の政党支持率推移

「55年体制以後」の変化:無党派層の激増」

 1993(平成5)年7月18日の第40回衆議院議員総選挙で、自由民主党は、衆議院での過半数の議席獲得に失敗しました。そのため1955年の党結成以来、初めて与党の座から転落することになります。いわゆる「55年体制の崩壊」です。これによって成立したのが細川護熙氏を首班とする非自民非共産政権でした。

 93年8月の細川内閣成立以後、羽田孜、村山富市内閣と、わずか3年弱の間だけ続いた非自民政権でしたが、情報の観点から考える時、この間に大きく変化した要素があります。それは「支持政党なし」と答える「無党派層」の急増です。選挙の観点から考えるなら「浮遊票」の激増と考えることもできるでしょう。

 極めて大雑把に捉えれば、55年体制の時代、自民党の支持率は30~40%台を推移していました。内閣支持率で言うなら、72年の田中角栄内閣の支持率が53%とずば抜けて高かったり、89年の宇野宗佑内閣が22%と極端に低い、などありますが「3~4割は自民支持」というのが、高度成長期から冷戦崩壊までの日本の政党支持の実情だったと言ってよい。

 これに対して「無党派層」はどうだったでしょう? おおまかに40%台後半、国民の約半数弱が「支持政党なし」と答えるのが、55年体制期の日本という国でした。

 3~4割が自民支持、残りを各政党が分け合うが、全体の半数弱に支持政党なし

 これが細川政権以前の日本の姿だった。さて、先に示した「細川・羽田・村山」という過渡期を過ぎてから、ここ12年の日本の政党支持率はどうなっているか、改めて見てみると、無党派層のベースラインが60%にあることがもっとも目を引きます。これに対して自民党の支持率は2割から3割の間を往復している。つまり

 2~3割が自民支持、残りを各政党が分け合うが、全体の6割は支持政党なし

という国に変わっている。

 ここで、ふーん、そんなもんかねと、なんとなく見ていると、ややもすれば見落としてしまいがちな重要なポイントが1つあります。55年体制時、平均すれば48%ほどもあった無党派層は、十分に高率だったと言えるでしょう。でもいま日本という国を政党支持率の観点から見たと時、平均して60%ほど、つまり「常に過半数が支持政党なし」という世情へと、決定的に変化している。このことの意味を、しっかり捉え直す必要があると思うのです。

広告代理店ポリティクスの「瞬間視聴率」争奪戦

 逆に高支持率側から歴代内閣を調べてみると、小泉純一郎内閣成立時の85%という異常な数字が目に留まります。ついで細川内閣の75%、橋本龍太郎内閣の59%などの数字が続きます。

 これを、先ほど導入した「ベースライン」という考え方で整理してみましょう。国民の6割は支持政党を持っていない。その時々で変化する人々だと思うことにするわけです。政党支持率から見た2008年現在の自民党のベースラインは20%台がいいところです。だとすると、6割がたの「無党派層」のほぼ全体が、「瞬間風速」あるいはテレビの「瞬間視聴率」のような形で「小泉支持」に流れた、というのが、「85%」という異常な数字を説明することになります。

 前々回に記しましたように、現在日本で進行している「広告代理店的手法」を、内閣が率先して徹底利用した最初のケースが小泉政権でした。逆に言えば、日本国民はそうした手法に免疫ができていなかった。その「初回接種」の過剰反応が、小泉政権の異常な高支持率として数字に表れていると考えることができます。

 「無党派層の取り込み」という言葉は、選挙をめぐってしばしば語られますが、国民の過半数が支持政党を持たないという、極めて不安定な状況の中で、選挙という瞬間瞬間のパイの奪い合いに終始せざるを得ないという現実を、改めて冷静に観察してみる価値があるのではないかと思うのです。

コメント5件コメント/レビュー

官僚が「寄らしむべし、知らしむべからず」の思想の元に、自分達の都合の良い国民を作るべく、教育にいそしんだのですから、騙されやすい国民が多いのは、仕方ありますまい。 しかしながら、そんな馬鹿な国民すら騙すことが出来ないくらい"官僚+与党"のレベル低下が激しい状態なのが昨今の状況なのでしょう。そもそも戦後の日本は、資本主義とは名ばかりの官僚社会主義国家だったのであり、社会主義国家が、その理想とは裏腹に、内部腐敗から破綻してしまう事は歴史が証明しています。 ですから皆さん、覚悟を決めて、古きよき時代と決別しましょうよ。 例え、地獄が待っていようとも子供達に未来を与えるには先に進むしかないのですから。(2008/09/24)

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官僚が「寄らしむべし、知らしむべからず」の思想の元に、自分達の都合の良い国民を作るべく、教育にいそしんだのですから、騙されやすい国民が多いのは、仕方ありますまい。 しかしながら、そんな馬鹿な国民すら騙すことが出来ないくらい"官僚+与党"のレベル低下が激しい状態なのが昨今の状況なのでしょう。そもそも戦後の日本は、資本主義とは名ばかりの官僚社会主義国家だったのであり、社会主義国家が、その理想とは裏腹に、内部腐敗から破綻してしまう事は歴史が証明しています。 ですから皆さん、覚悟を決めて、古きよき時代と決別しましょうよ。 例え、地獄が待っていようとも子供達に未来を与えるには先に進むしかないのですから。(2008/09/24)

日本には政権交代が必要だと思う。政と官の癒着、緊張感の無さが本来ならば必要でなり危機を内部から作り出しているのだと思う。政権が交代することにより、政と官の癒着が減り、官に緊張感が戻ることに期待したい。(2008/09/24)

「蟹は甲羅に似せて穴を掘る」現在の日本のマスコミや政治を見て、残念ながらそう思います。まともな野党が存在しない、マスコミは方向が違うだけで大政翼賛的な体質のままそして次世代に望みをかけようにも教育界は腐っている。これら全ては日本人という「蟹」に相応しい「穴」なんだと思います。変えたいと思っている人は多いと思うのですが。(2008/09/24)

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