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未来のリーダーを新興国に派遣しよう

津田梅子は6歳で米国にわたった

2008年10月3日(金)

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 日本企業のグローバル化には、4つのステップがあると言われる。

 第1ステップは、海外「販売」の増加。輸出を通じて、売り上げに占める海外販売額が増えていく段階だ。

 第2に、海外「生産」の増加。特定の地域での販売量が増え、現地生産に切り替えられる。自動車産業のように、貿易摩擦がこれを加速化させることもある。

 第3のステップは、海外「株主」の増加。世界的なマネーの移動が、これを推し進める。日本の多くの産業の場合、第2ステップまで進んだ後に資本の自由化が始まったため、このステップが3番目になっている。

 そして最後の第4ステップが、「経営チーム」の外国人比率増だ。ソニーや日産自動車、あるいは最近の日本板硝子のように、経営トップレベルに日本人以外が就く場合も出てきたが、多くの場合はトップ以下、日本人中心の経営チームに少しずつ外国人が入っていくということになる。

グローバル経営がうまくいっていないわけ

 どのステップもそれぞれに多くの困難が伴うのだが、多くの日本企業が試行錯誤しながらも、第3ステップ、すなわち資本の国際化、外国人株主の増というところまでは、なんとかマネージできつつある。業界によっても個々の企業によっても差はあるが、まだ「どう困難を乗り越えるか」について解が見いだせていないのが、第4ステップだろう。

 日本的経営の「暗黙知」的要素といったハイレベルの話を持ち出すまでもなく、多くの日本人は、外国語でのコミュニケーション力が不足している。お恥ずかしい限りだが、私自身も自分の会社のグローバル経営会議の場では、彼我のコミュニケーション力の圧倒的な差に、ともすればくじけそうになってしまう。

 単純に語学力の問題だけではない。多国籍、多文化の中で、相手の本音を読みながら、論理と感情の両面で議論をリードし、必要以上にしこりを残さないように、意思決定を進めていくというのは、容易なことではない。

 私が定例的に出席しているボストン・コンサルティング・グループの経営会議では、議決権を有するのは10人強なのだが、その国籍は7つにわたる。英国人とインド人、あるいは中国人とフランス人が、ある時は植民地時代の歴史にまで立ち返りながら、口角泡を飛ばして侃侃諤々(かんかんがくがく)の議論をし、最終的にはチームとしての意思決定に至る。そしてその後は、さきほどまで怒鳴り合っていた同士が、仲良く一杯飲みに出る。

 こういったことを楽々とこなせるようになるには、語学力を超えた総合的な力量、いわば「異文化マネジメント能力」と言えるようなものが求められる。キャリアを拡げていくうえで、こういった能力を身につけざるを得ない欧州の小国出身者、あるいは複数の国で教育を受けることが当たり前のアジア新興国出身者。彼ら、彼女らの異文化マネジメント能力は、往々にして驚くほど高い。

 この種の力量の獲得には、若い時からの「実体験」の蓄積がどうやら必要なように思える。

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「未来のリーダーを新興国に派遣しよう」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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