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世界的な不況下では、常識を疑い“知”を転換せよ!

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2008年10月16日(木)

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 形式知と暗黙知の相互作用あるいはスパイラルによって、知は高められ、様々な創造を生む――。

 一橋大学名誉教授の野中郁次郎氏はイノベーションの本質について、以前からこう喝破してきた。意識的か無意識的かは別にして、多くの企業は既にこうした「知の転換」「知の移転」を通じたイノベーションの創造を実践しているが、時代の大きな枠組みが変わろうとしている今こそ、「転知創造」を意識すべき時ではないだろうか。

 野中氏が唱えてきた知の移転プロセスは、例えばこうだ。

(1)営業担当者が徹底して顧客の現場を訪問して顧客の気持ちになりきり、身体で暗黙知を獲得する
(2)深く思索し、獲得した暗黙知をデザインや言語といった形式知に転換する
(3)形式知を組み合わせて体系化し、チームや組織を超えて共有できるようにする
(4)ビジョンを実際の行動に移すことで形式知を具体化し、新たな暗黙知として体得する

 つまり、経験や五感から得られる直接的で主観的な暗黙知と、言葉や文章で明示できる客観的な形式知が連鎖したり、循環していく中からイノベーションが生まれてくるということだ。それではなぜ今、転知創造を特に意識すべきなのか。理由は2つある。

未来を拓くための「知の転換」を

 1つは、歴史的な大転換点などの有事であるほど、自らの暗黙知に一段と真剣に向き合えるからだ。野中氏は「自分は本当に何をやりたいのか」「自分はそもそも何のために存在するのか」といった未来への根源的な問いかけがあってこそ、過去からの豊かな蓄積である暗黙知が意味づけされると説いてきた。だが、企業も個人も平時では、ここまで根源的なテーマを真剣に掘り下げることは容易でない。

 しかし、今は違う。「投資銀行」という業態が消滅しつつある中で、自らの存在や未来の可能性を真剣に考えなければならない企業・個人は多いはずだ。さらに、世界的な経済危機の背景で、世界の国々や産業が数十年から100年単位とも言われる枠組みの転換を起こしつつあるのなら、ほとんどの企業・個人は未来を拓くために暗黙知を総動員し、形式知との相乗効果を高める必要がある。

 ホンダが1970年代前半、米国の厳しい排ガス規制であるマスキー法を世界で初めてクリアしたことは有名だが、この過程では多くの知の転換、知のスパイラルがあった。

 そもそも「ワイガヤ」で未来や抱負を語り合う現場は、暗黙知の塊のような対話の世界だし、「他人のやってないことをやる」という自負と、「このやり方こそが筋」という信念は、暗黙知を支える主体的な関与だ。そこに形式知による科学的な分析が加わり、特許を体系的に取得するなどの知的財産戦略も初めて意識するきっかけになった。極めて厳しいハードルを課せられた有事だったからこそ、知がフル回転したのだろう。

 2つ目は、形式知に偏り気味だった経営の潮流が大きく変わる可能性があるからだ。野中氏はこれまで、経営戦略や個人の働き方から暗黙知を支える主体性が失われ、分析やノウハウの取得といった形式知が重視される米国流の広がりを嘆いていた。だが、米国を中心に過剰に増殖した金融資本主義が崩壊へ向かう一方、環境問題や食糧・資源問題の克服には、暗黙知を原動力とするイノベーションが不可欠になってくる。

 原油価格は下落したものの、3~4年前に比べればまだ相当高い水準だし、原材料や食糧価格などの中期的な上昇基調と世界的な景気後退が重なれば、インフレと不況が同時に進行するスタグフレーションになる懸念もある。企業は売り上げが伸びない中でコストが上昇して利益を圧迫され、消費者は、賃金が上がらない中で生活必需品などの価格が高止まりして家計が圧迫される。いずれにせよ厳しい環境下だからこそ、知の昇華が欠かせない。

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