「サルティンバンコ」「アレグリア」「キダム」…。シルク・ドゥ・ソレイユという名前を知らなくても、一度はこれらのショーの名を耳にしたことがある人は少なくないだろう。シルクは、世界210都市で公演、累計7000万人以上の動員実績を誇る、パフォーマンス集団である。
10月1日、日本初の専用劇場「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」が千葉県浦安市にオープンした。サーカス演技を原点とする華麗なパフォーマンスは、米ラスベガスの専用劇場で火がつき、その評判は瞬く間に世界に広がった。
その一方で、シルクがショービジネスを徹底的に研究し、世界で成功する必勝のビジネスモデルを作り上げたグローバル企業としての側面があることは、あまり知られていない。華やかなショーで観客を魅了し続けるシルクの企業経営に迫った。
東京ディズニーランドへの玄関口、JR京葉線・舞浜駅。日中はミッキーマウス目当ての家族連れでごった返す駅の人の流れに、今年8月、ちょっとした異変がおきた。夕方過ぎ、駅周辺に目立ち始めるOLやサラリーマン風の30代、40代とおぼしき大人の男女。連れ立って向かうのは、東京ディズニーランドに隣接するサーカステントの形をした巨大な建造物だ。
「シルク・ドゥ・ソレイユ・シアター東京」。彼らのお目当ては、世界的に有名なパフォーマンス集団、シルク・ドゥ・ソレイユの日本初の専用劇場公演なのである。
世界7番目の専用劇場が本格オープン
シルク・ドゥ・ソレイユ・シアター東京では、彼らにとって世界で7番目となる専用劇場。この劇場のために作られたショー「ZED(ゼッド)」が、今年8月から始まったトライアウト(試用)公演を経て、10月1日にスタートした。

10月1日から上演が始まったシルク・ドゥ・ソレイユの「ZED(ゼッド)」 (写真:田中 克佳)
シルクとは何か、と問われれば、模範解答は「サーカス集団」となる。ただし、そのイメージは従来のものとは随分と異なる。奇抜なコスチュームをまとった出演者が、映画セットのような巨大な舞台装置を舞い、トランポリン、空中ブランコ、新体操など、サーカスの要素演技を次々と繰り広げていく。どの作品も一貫したテーマとストーリーを持っており、オペラやミュージカルを鑑賞するような感覚で楽しめる。
既に世界210都市以上で公演を果たし、累計で7000万人以上を動員した。24年目に入った今年も、日本での専用劇場のほか、ドバイやマカオでの劇場オープンを控えている。
世界的なパフォーマンス集団としての地位も名声も確立したシルク。その華やかなショーの裏には、世界展開する過程で築き上げてきた強固なビジネスモデルがある。世界で成功したエンターテイメント企業の、知られざる戦略を解き明かしていこう。
ショーの年間売上高は750億円
シルク・ドゥ・ソレイユは、フランス語で「太陽のサーカス」を意味する。創業者であり、現在は自らを「ガイド」と名乗るギー・ラリベルテ氏がカナダのモントリオールで1984年に旗揚げした。ラリベルテ氏は、現在シルクの95%の株式を保有する大株主である。
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