「日経ビジネスが描いた日本経済の40年」

トヨタ自動車 「瀬戸際から世界一へ」 第5回

会社の作り直しへ 組織強化、人材育成にもつなげる

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2008年10月10日(金)

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 日経ビジネスは2009年10月に創刊40周年を迎えます。この欄ではそのカウントダウン企画として、過去の記事の中から、現在にも通じる企業戦略を選び、毎日掲載していきます。第1回はトヨタ自動車(トヨタ編は5話完結です)。

 GMを抜いて生産台数で世界一の自動車メーカーとなったトヨタ自動車。米国勢が経営不振に苦しむ中で、2008年3月期の営業利益は2兆2700億円に達して、その凄さを見せつけた。だが、時計の針をわずか10年ほど前に戻すと、その光景は一変する。トヨタは国内営業の不振に悩み、豊田家出身の豊田達郎社長は不運にも病で途中引退を余儀なくされた。 さらに日米自動車摩擦で、米国での販売に暗雲も立ち込める。

 新たに経営の舵を取ったのは奥田碩社長。「国内販売40%のシェアを死守せよ」「トヨタはグローバルになる」と繰り返し唱え、経営改革へと踏み出す。バトンはその後張富士夫氏と渡辺捷昭氏に 引き継がれる。

第5回

 豊富な利益で「世界一」の称号を手に入れたトヨタ。だが米国発の金融危機に世界経済に暗雲が漂う。新興国バブルも弾けて、トヨタの2009年3月期決算は、連結営業利益が前期比40%減(約1兆3000億円)という厳しい見通しとなっている。じたばたしても環境はよくならない。トヨタは社内改革にも目を向けて、企業の財産である人材と組織強化に手を打っている。

* * *

特集 トヨタの執念

2008年9月1日号より

 トヨタがクルマ作りの“憲法”を見直し始めた。

 まず運転席の位置を決め、次はアクセル・ブレーキ・クラッチの各ペダル…。どういう順番でクルマの基本パッケージを固めていくかは、各メーカー独自の哲学がある。トヨタでは「ビークル・パッケージ・スタンダード」と呼ばれる文書にまとめられている。いわばトヨタの哲学をまとめた憲法だ。

 部品単位ではなくシステムとしてとらえて設計をする。VIの中核となる考え方だ。新たな視点で全分野の設計を洗い出したところ、より効率的な設計方法が見えてきた。モノ作りの次元を引き上げるには、“憲法改正”も辞さないのだ。

経営陣の強力な関与がカギ

 2005年5月にVIを本格始動して3年。取引先からは「トヨタの原価改善につき合う部品メーカーは、もうみんなアップアップだ」といった声が上がるものの、これまでに5000もの改善案を生み出し、年間3000億円の「原価改善力」につなげてきた。

 ただ、数字で測れる効果ばかりに注目してはいけない。目を向けるべきは仕事の進め方、組織のあり方にも影響を与え始めていることだろう。憲法改正もその1つ。原価改善活動を突き詰めていけば、会社を変えることにつながるのだ。

 6月24日、トヨタは組織改正を発表した。定時株主総会を受けて組織を動かすのは例年通りだが、今回は技術開発部門のほぼ全領域にわたる大規模なものとなった。3本部を2本部に再編し、その下にボデー、シャシー、電子、エンジン、ハイブリッドなど専門技術ごとに「領域」を新設。その下に複数の部がぶら下がる。

 一見すると、領域の新設は、屋上屋を架すように見えるが、こうした緩やかなくくりを持たせることで、各部の連携を加速させたいとの狙いが透けて見える。

 背景には、憲法改正と同様、どんな体制が今後の自動車開発に適しているか、VI活動を通じて見えてきたことがある。

 VIそのものの体制にその意識がうかがえる。源流にさかのぼって原価改善につなげようと考えたVIでは、推進事務局を初めて技術開発部門に移した。さらに具体的な改善案を取り扱う分科会を下の図のように大きく拡充。「安全」や「ハイブリッド」といった多くの部門にまたがる分科会が加わった。こうした様々な単位の活動を続けていくうちに、最終的には組織の大改正にまで結びついたわけだ。

司令塔は技術部門、分科会を拡充

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著者プロフィール

酒井 耕一(さかい・こういち)

日経ビジネス副編集長。



このコラムについて

日経ビジネスが描いた日本経済の40年

2009年10月に創刊40周年を迎える日経ビジネス。この間、日経ビジネスは企業の栄枯盛衰の現場に立ち会い、多くの記事を掲載し、特集企画では「会社の寿命」「軽・薄・短・小」など時代を切り拓くキーワードを生み出してきました。創刊40周年のカウントダウン企画として、日経ビジネスが掲載してきた記事を、現在の問題意識から時代を超えてセレクトし、シリーズで掲載します。経営、企業、マクロ経済、金融、人…、日本経済が直面する問題のヒントが見つかるはずです。

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