(前回から読む)
カナダ東海岸の都市、モントリオールに本社を構えるシルク・ドゥ・ソレイユ。
シルクの数々のヒット作がこの場所で生まれ、何百人ものスタッフの手を経て世に送り出された。シルクに入団したパフォーマーは、最初にこの地でトレーニングを積む。ショーを形づくるすべての舞台装置や出演者の衣装も、本社で働く職人によって内製されている。いわば、シルクのすべてが創られる場所。その本社を訪ねた記者の現場ルポをお届けする。
【本日(10/14)「ガイアの夜明け」で放映!】
日経ビジネス オンライン、日経ビジネス、テレビ東京「ガイアの夜明け」の3メディアが、シルク・ドゥ・ソレイユの知られざる企業経営に迫ります。NBオンラインでのこの連載、10月14日(火)午後10時放映予定「ガイアの夜明け」、10月20日発売「日経ビジネス」も合わせてご覧ください。
シルク・ドゥ・ソレイユの国際本部を訪れたのは、9月中旬。モントリオール中心街のホテルからタクシーに乗り込み、郊外のサンミッシェル地区へ約30分。窓を開けると、ひんやりとした秋風が流れ込んでくる。住宅街を抜けると突然視界が開け、長方形の箱型の建物が見えてきた。

モントリオール郊外にあるシルク・ドゥ・ソレイユの国際本部。早朝、隣接するリサイクル処理センターの煙が立ち込める。施設の右端にあるのが、野菜畑(写真:田中 克佳、以下同じ)
シルクの国際本部がこの地に完成したのは1997年。もともとは、ゴミの埋立地だった地域だという。96年にモントリオール市が「サーカス芸術都市計画」として蘇らせることを計画、その目玉として、シルクに国際本部の設置を要請した。シルクはそれに応える形で本部を建設し、2度にわたる増築工事によって現在の姿に至っている。
本部の敷地面積は7500平方メートル。東京ドームの約1.5倍の敷地に、スタジオ棟、アトリエ棟、オフィス棟の3つの建物が連なっている。スタジオ棟は、ショー出演者の練習場となるトレーニングルームやダンススタジオを完備。アトリエ棟では、ショーで使われる衣装や靴などを内製する工房が設置され、オフィス棟には本部スタッフが常駐している。
タクシーを降りると、まず目に飛び込んでくるのが、ロータリーの真ん中に置かれた巨大な靴のオブジェだ。

正面ロータリーに置かれている巨大な靴の形をしたオブジェ。創業者ギー・ラリベルテ氏の趣味で、こうしたアート作品が本部内の至るところに見られた
シルク創業者のギー・ラリベルテ氏の趣味で、本部には至るところに、こうしたアートのオブジェが置かれている。本部の建物の入り口には、「8400」という番号が目に留まる。聞けば、創業した1984年と住所の番地を示すものだと言う。ガードマンの鎮座する入り口を通り過ぎて、受付にたどり着いた。
ふと、横を振り向くと、壁面には新作「ZED(ゼッド)」と「ZAIA(ザイア)」、それぞれの製作メンバーの顔写真が飾られている。

受付の傍には、シルクの最新作「ZED(ゼッド)」と「ZAIA(ザイア)」の製作メンバーが飾られている
シルクが過去に受賞した100以上の賞やトロフィーを展示する棚も傍にあり、来訪者は瞬時にして、シルクの実力(者)を把握できる場となっている。
世界の食事が日替わりで登場、自家栽培の野菜も
本部のガイド役がまず案内してくれたのが、社員が利用する食堂だった。

シルク社員が利用する食堂。世界の料理が日替わりで楽しめる
シルク本部で働くスタッフは、約1800人。このほか、世界中からショーの出演者が研修やトレーニングのために、常時100〜200人程度が本部に滞在する。その胃袋を満たすのが、この食堂である。
外観は、欧米によくあるセルフサービス型の食堂そのもの。ただし、提供される料理はシルクらしいこだわりが見える。
シルクのスタッフは、40カ国以上の多種多様な国籍の人種で構成されている。このため、日替わりで世界中の料理が登場するのである。一般的な米国の肉料理、中華、日本料理のほか、モロッコ料理やメキシコ料理などが人気だという。開店は朝7時で、閉店は午後3時半。それ以降は、サンドイッチなどの軽食が売店で販売される。
午前10時過ぎに訪れた食堂には、調理中の料理の良い香りが漂っていた。テーブルでは、コーヒー片手に談笑するスタッフの姿が見える。この食堂では、ケータリングサービスも提供しており、会議をしながらサンドイッチをほおばる光景も珍しくないのだと言う。
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