「日経ビジネス リポート」

「『任天堂の独走許さない』ソニーのゲーム戦略」〜ゲームが破る閉塞(1)

ソニー・コンピュータエンタテインメント
平井一夫社長と吉田修平ワールドワイド・スタジオ・プレジデントが語る

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2008年10月14日(火)

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 景気の減速が広がる中、ゲーム市場が世界各地で急成長を続けている。子供だけでなく、従来はゲームに関心がなかった老若男女も遊ぶ新しいインフラとして開花した。海賊版が蔓延し、商売にならなかった中国などの新興国も、有望市場へと変貌しつつある。パソコンに代わる技術革新のけん引役となったゲームは、先端技術、人材、マネーを吸引し、世界経済の閉塞を破る存在として注目を集めている。

 日経ビジネス誌10月13日号特集「ゲームが破る閉塞」の連動インタビューシリーズの第1回では、業績を上方修正するなど独走状態にある任天堂に挑むソニー・コンピュータエンタテインメントの平井一夫社長と、同社の吉田修平ワールドワイド・スタジオ・プレジデントが、成長戦略を語った。

前半に平井社長、後半に吉田氏の順で掲載しています。

プレイステーションを生活の一部にしたい

ソニー・コンピュータエンタテインメント 平井一夫社長

ソニー・コンピュータエンタテインメント 平井一夫社長

ソニー・コンピュータエンタテインメント 平井一夫社長
写真:都築雅人

 (任天堂ばかりが話題になる場面が多いが、)「絶対に負けない」という情熱がないとエンターテインメントビジネスは成功しない。今年度の目標に対して、当社のゲーム機の販売台数は今のところ順調に伸びている。「プレイステーション・ポータブル(PSP)」は好調で、「プレイステーション3(PS3)」も海外を中心に成長している。年末商戦もあるので確実なことは言えないが、自分たちの信じる道を進む。

 映画、音楽、ゲームなど様々なエンターテインメントが世の中に存在するが、一番ダイナミックにコンテンツとサービスを進化させられるのはゲームだ。新しいハードが誕生するたびに、表現力とネットワーク性能が向上している。PS3を例に取ると、大容量のHDD(ハードディスク駆動装置)を内蔵し、インターネット接続機能も充実している。新世代DVDの「ブルーレイ・ディスク」も再生でき、任天堂やマイクロソフトのゲーム機にない強みがある。

 PS3には「プレイステーション2(PS2)」とは全く違う性能がある。ハード自体の進化とネットワーク機能の両方が成長のドライバー(牽引役)になっている。だから進化するスピードがほかのエンターテインメントと比べて飛躍的に早い。映画は白黒からカラーになって、デジタルシネマになり、さらに3D(3次元)に発展しようとしているが、スクリーンに投影して映像を楽しむという楽しみ方そのものは変化していない。

 ゲームは多様な世界を創造できる。当社が開発して欧米で1300万本以上売る大ヒットになったカラオケゲームの「シングスター」やクイズゲームの「Buzz!(バズ)」。これらのゲームはネットワーク機能で、楽しみ方が広がっている。ネット経由で新しい曲をダウンロードしたり、多人数で対戦したりして遊べる機能が人気になっている。

 変化の中で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)はどう戦うのか。まず私がトップになった昨年から最も重視しているのは、ゲームそのものの魅力を高めることだ。自社開発のソフトも、サードパーティーのソフトでも、すばらしいゲームが揃っていなければ、成功できないことを痛感した。

 そこがスタート地点であり、面白いゲームの提供は、最優先の課題である。年末商戦に向けては期待できるタイトルも数多い。仲間で遊べるアクションゲームの「リトルビッグプラネット」やRPG(ロールプレイングゲーム)の「白騎士物語」などがある。

 PS3の大前提はゲームである。(以前は何でもできる端末という側面ばかりが注目されたが、)一番大事なところを絶対に見失ってはいけない。あくまでもゲームが完璧にプライオリティーで、その市場で伸ばしていく。

 その原点にしっかり立った上で、ゲーム以外にもいろいろなことが実現できるという特徴を打ち出していく。

 7月には米国で、映画などのビデオ配信サービスを始めた。従来は、DVD販売やレンタルが中心だったが、今後はダウンロードしてゲーム機で再生するという楽しみ方も広がる。ほとんどのメジャーな映画スタジオが、当初からコンテンツを提供しており、期待は大きい。

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