金融危機が実体経済に悪影響を及ぼす状況になってきており、様々な企業が対策に乗り出している。この中で、今も昔も最初に手をつけるのが、コスト削減だ。
設計段階からの原価低減、調達手法の全面見直し、ホワイトカラーの生産性向上といったものから、オフィスの電灯を消そう、コピーを減らそう、という“ケチケチ運動”まで、おなじみのメニューが目白押しで、日本企業の面目躍如といったところである。
一方、こういったP/ L(Profit and Loss Statement=損益計算書)中心の考え方に加えて、B/S(Balance Sheet=貸借対照表)、特に資産の稼働改善を考える手法もある。高価な固定資産は、いったん購入してしまうと、その稼働を上げるか、さもなくば売却するかという手を打たない限り、資産効率を上げることはできない。
例えば航空会社であれば、航空機を1日どれだけ稼働させるか、ということが勝負になる。タイムテーブルや乗務員のスケジュールに工夫を凝らし、空港に到着してから出発するまでの準備時間を短縮する。こういった努力の徹底で、100億円を超えるような資産の稼働を、例えば1日10時間から11時間に上げることができれば、ROA(Return On Assets=総資産利益率)は、ほぼそれに応じて改善する。
製造業における3直制での工場ライン24時間稼働や、繁閑に応じたプライシングによる客室稼働の向上など、皆同様のアセットプロダクティビティ(資産の生産性)向上策だと言えよう。
ROA改善からアセットプロダクティビティ改善へ
近年、日本企業は、ROE(Return on Equity=株主資本利益率)を着実に改善させてきた。この中で中心となったのが、ROAの向上である。
ご存じの通りROE改善には、ROAを向上させるか、レバレッジを上げるか、2通りの方向性がある。低金利であればあるほど、レバレッジをかけて少ない自己資本でより多くのリターンを得る、という手に流れがちなのだが、多くの日本企業は地道にROAを改善させてきた。
これまでのマージン拡大(特にコスト削減)と余剰資産の売却によるROA改善に加えて、アセットそのものの稼働向上を(世界的な金融危機の余波による)当面の景気低迷の中でどう図っていくかが、これから問われることになる。
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