「日経ビジネス リポート」

「『アップル+ゲーム』が生む商機逃がさない」〜ゲームが破る閉塞(3)

セガ ネットワーク戦略事業部 株田実モバイル統括部長

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2008年10月17日(金)

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 アップルがゲームに本気になっている。音楽プレーヤーの「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」や携帯電話の「iPhone(アイフォーン)」向けゲームは、800タイトル以上にまで増えている。本体を傾けたり、振り回したりして遊ぶユニークなゲームが人気を牽引している。ゲームを音楽のようにダウンロード販売するビジネスモデルは、ゲームソフト会社にとっても魅力がある。パッケージソフトでは避けて通れない在庫の問題がなくなるからだ。

 日経ビジネス誌10月13日号特集「ゲームが破る閉塞」の連動インタビューシリーズの第3回では、アップル向けのゲームソフト開発に積極的なセガの株田実モバイル統括部長がその戦略を語る。

株田実モバイル統括部長

セガ ネットワーク戦略事業部 株田実モバイル統括部長
写真:的野弘路

 家庭用ゲームでは、任天堂が「Wii(ウィー)」や「ニンテンドーDS」でパラダイムシフトを起こした。携帯電話向けゲームでは、アップルが「iPhone(アイフォーン)」と「iPod Touch(アイポッド・タッチ)」で同じような変化を起こしている。

 今まで携帯電話向けゲームといえば容量の小さい手軽なものというイメージがあり、ずっと同じ路線になって煮詰まっていた。しかしアップルは、従来の携帯電話とは、明らかに違う世界を提示している。それは素晴らしいことだ。

 ゲームソフト会社にとり、アップル向けにゲームを開発する魅力は大きく2つある。

 まずビジネス面では、ゲームの開発・販売の窓口が一本化されることだ。当社は従来から携帯電話向けにゲームを手がけてきたが、通信事業者ごとに開発して提供する必要があった。しかしアイフォーンでは、通信事業者に関係なく、アップルのネット上の販売サイトでダウンロード販売できる。

 携帯電話は性能が異なる様々な機種があるので、個々の端末に対応するためのコストが非常に大きくなる。別の機種に対応するには、移植や動作検証に手間がかかるからだ。携帯電話向けゲームは初期の開発コストはそれほど高くないが、その後の移植や検証コストの方がむしろ高かった。しかしアップル向けでは開発コストを抑えられる。

アップルの取り分はリーズナブル

 ゲームを供給する窓口が多いのも携帯電話向けにゲームを開発するソフトメーカーの悩みだ。世界には多数の通信事業者が存在するが、それぞれに対して営業活動を行う必要があった。それがアップルだけで済んでしまう。ゲームソフトメーカーとしては、たった1カ所で世界中に向けて販売できるメリットは大きい。ゲームを購入する人にとっても1カ所で全てが手に入るのは便利だ。

 アップルとソフトメーカーの間の収益分配も、バランスが取れている。ソフトが1本売れると、アップルが3割、ソフトメーカーが7割を受け取る形になっている。携帯電話向けゲームでは、海外の通信事業者が4〜5割の手数料を取ることを考えると非常にリーズナブルな水準だ。

 もう1つが機能面の魅力である。加速度センサーやタッチパネルなどのユーザーインタフェースは卓越している。従来の携帯電話向けゲームよりも、本格的なゲームをユニークな機能を使って提供できる。無線LAN(構内情報網)やパソコンを経由して大容量のゲームをダウンロードできるメリットも大きい。

 ゲーム専用機向けに開発していたクリエイターからも、アップル向けに開発したいという声が上がっている。彼らは非常に興味を示しており、企画提案も増えている。大きな画面や、傾きセンサー、タッチパネルなどを活用して自分たちが表現したいゲームを実現できるからだ。ユーザーに新しい経験を提供できる可能性が、クリエイターを刺激している。

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中島 募(なかしま・つのる)

日経ビジネス記者。

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