• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

面白い会社は「肩書きで商売」をしない

クイックペイの立役者、トヨタファイナンスの“放浪する社長室”

2008年10月30日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 トヨタグループが電子マネー「クイックペイ」を武器に後発のクレジットカード事業で攻勢をかけた。トヨタファイナンスがJCBと組み、クイックペイの版図を広げている。

 トヨタファイナンスが電子マネー事業で一気に加盟店を獲得したきっかけは、「名古屋駅周辺をクイックペイで埋め尽くそう」という作戦。加盟店獲得業務が必ずしも強くなかった同社の風土を変えるきっかけになった。

 「がんばろう」の掛け声だけでは、新事業を推進する現場力は高まらない。強い現場を作るマネジメントを藤田泰久社長に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン編集長 廣松 隆志)

―― トヨタファイナンスは、なぜ電子マネー「クイックペイ」に力を注いでいるのですか。

藤田 泰久(ふじた・やすひさ)氏

藤田 泰久(ふじた・やすひさ)氏
1950年4月9日大阪府生まれ。74年京都大学経済学部卒業後、東海銀行に入行。2000年東海銀行執行役員企画部長。統合に伴い、2001年UFJホールディングス執行役員企画部長に就任。2002年UFJ銀行常務執行役員を最後に同行を退行し、2003年10月にトヨタファイナンシャルサービス顧問に就任。2004年トヨタファイナンス専務執行役員、2006年同代表取締役副社長を経て2007年6月に代表取締役社長に就任(写真:高木 茂樹、以下同)

 そもそも、トヨタファイナンスという会社が何をやっているのか、トヨタ自動車グループの中でも、あまり認知されていませんでしたからね(笑)。

 会社の成り立ちから言うと、もともとトヨタファイナンスは20年前に設立されてから、全国約5000店のトヨタ自動車の販売店と連携して割賦販売を中心に扱ってきた会社です。それが2001年からクレジットカードを発行し始めました。「TSキュービックカード」というカードですが、会員数が680万人で、取扱高が1兆5000億円です。

 このクレジットカード事業が我々の新しいビジネス、つまりクイックペイのスタート台になるわけです。

―― 新しいビジネスを始めるというのは冒険ですよね。5000店の強い販売網に乗っているわけですから、ビジネスの基盤は非常に強い。社内に懐疑的な声はありませんでしたか。

 商売の基盤に関して言えば昔はともかく、今はそうでもありません。ご存じのように、人口が縮小していく中で国内自動車販売台数は漸減傾向にありますし、これからも変わらないでしょう。トヨタといえどもその例外ではなく、各地の販売店も販売台数の減少に直面しています。

 ですから何とかして顧客を開拓して、あるいは既存顧客との関係を深めて収益につなげていきたい、と思っているわけです。その販売店のニーズにも我々の新しいビジネスは寄与できると確信しています。

「何で電子マネーをやらなければいけないんだ?」

 現場からの懐疑的な声というご質問ですが、それはもちろんありましたよ。何で電子マネーをやらなければいけないんだ、という疑問ですね。

 電子マネーには2種類あって、東日本旅客鉄道(JR東日本)の「SUICA(スイカ)」に代表されるプリペイド型と、最終的にはクレジットカードで決済する「ポストペイ」という方法の2つがあります。トヨタファイナンスはJCBと組んで後者の事業を展開しているのですが、クレジットカードで決済するといっても、使い方はプリペイド型と同じで、基本は小額決済です。

 クレジットカードが取引1件当たり数千~数万円だとすれば、クイックペイというのはコンビニエンスストアなんかだと何百円の世界です。ですから、こんなに小口のものを扱って本当に儲かるのかという疑問が出るのは当然ですね。クレジットカードの世界から見れば、手間ばかりかかって儲けは少ないというのは事実ですからね。

 ただ、当社がクレジットカードの世界にとどまっていればいいかというとそうではない。クレジットカードの商売というのは、カード発行と加盟店獲得の2つから成り立っています。トヨタファイナンスは後発組ですから、カードの発行はできても、実は加盟店獲得というのは非常に難しい。トヨタの販売店5000店はともかくとして、他は既存のカード会社に押さえられていますから。つまりこれ以上、商売に広がりがない。

 電子マネーはこれからの世界です。同じ固定費を払っても量が増えていけば、確実に損益分岐点は下がっていく。新しいマーケットであるがゆえに、早く手をつけて、早く自分たちのビジネスモデルを作った会社が勝つわけです。我々は新参者ですから、この電子マネービジネスをとっかかりに、自分たちのビジネスモデルを作ることができる。

 既存のクレジットカード会社の収益力は落ちてきています。クレジットカード会社の収益源の1つはキャッシングでした。ところが、貸金業法の改正や、出資法で上限金利が抑えられたりと、厳しい状況になってきました。逆に我々はキャッシングをやっていなかった分だけ、身が軽い。だから新しい商売のポートフォリオも組みやすいんです。

まず会社の存在意義を納得することから

―― どうやってそうした社員の疑念を取り払ったのですか。

 まず、昨年6月に社長になる前の副社長時代から始めたことですが、会社そのものの存在意義というか、目標を決めたんです。現場が自ら積極的に動くには、自分たちで何のために存在する会社かということから、納得していなければならない。

コメント1

「日本はやっぱり現場力」のバックナンバー

一覧

「面白い会社は「肩書きで商売」をしない」の著者

田村 俊一

田村 俊一(たむら・しゅんいち)

日経ビジネス編集長

1989年日経BP社に入社。日経リゾートを経て1993年から日経ビジネス編集部。日経新聞経済部、日経ビジネス・ロンドン特派員、日経ビジネス副編集長、日経新聞産業部次長を経て2014年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授