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合い言葉は「アイ・アム・ノット・ア・ファンダメンタリスト」

  • 清野 由美

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2008年12月1日(月)

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養老 隈さんの『負ける建築』を読んで僕が連想した言葉が、「見えない建築」。ひところ、僕自身が「悔しかったら、見えない建築をつくってみろ」と、建物をつくる人たちに憎まれ口を言っていたんですよ。

隈 「見えない建築」というのは建築家にとっても魅惑的な言葉です。それが僕にとっては「負ける建築」という言葉になるのですが。で、僕も土に埋める建築など、実際にいくつかやってみました。

 でも、建物を無理に土中に埋めるとなると、その土地の水脈を切ったりしますから、やっぱりそれは負けたことになっていないんですよ。建築が水脈に勝ってしまっているわけですから。とにかく土に埋めればいい、というものじゃなくて、逆に、土に埋めるのが、隠れた場所で一番悪さをしたりすることになる、ということが分かりました。

養老 そうでしょうね。だって土に埋めるエネルギーコストってすごいでしょうから。

隈 最初に土を掘ることで、まずすごくエネルギーを使っています。だから見えない建築は、結構やばいです(笑)。それも、今、お話したように、偽善が加わって二重にやばい。

養老 一見よさそうでいて、実は結構コストもかかっていて、環境破壊もしていて。と、実態を知るとびっくりしますね。

隈 地下の建物は、普通、地上に建てるものより3倍のコストがかかっていますから、3倍のエネルギーを使っている。ということは、3倍の石油を使っているわけですよ。

養老 難しいもんですね。

養老さん

養老 孟司(ようろう・たけし)

解剖学者/作家/昆虫研究家。1937年生まれ。62年東京大学医学部卒業後、解剖学教室へ。95年東京大学医学部教授を退官し、その後北里大学教授に。東京大学名誉教授。著書に『からだの見方』(筑摩書房、サントリー学芸賞)『唯脳論』(青土社)『人間科学』(筑摩書房)『バカの壁』(新潮社、毎日出版文化賞)『死の壁』(新潮社)など、専門の解剖学、科学哲学から社会時評、文芸時評までを手がける。本サイトにて「タケシくん虫日記」を連載中


隈研吾さん

隈 研吾(くま・けんご)

建築家。1954年生まれ。1979年に東京大学工学部建築学科大学院を修了、「1979年東京大学建築学科大学院修了。コロンビア大学客員研究員を経て、隈研吾建築都市設計事務所主宰。97年に日本建築学会賞を受賞(宮城県登米町伝統芸能継承館「森舞台」)。99年、慶應義塾大学環境情報学部特別招聘教授に就任。2001年、理工学部教授に就任。主な著書に『負ける建築』(岩波書店)、『隈研吾:レクチャー/ダイアローグ』(INAX出版)、今回のインタビュアー、清野由美との共著『新・都市論TOKYO』(集英社新書)がある


隈 でも、一番大事なのは、建築家自身がファンダメンタリズム(原理主義)に陥らないことだと僕は思うんです。環境なり、デザインなり、建築の価値をある1つの原理だけに落としこまない。

 海外で建築プロジェクトの説明会や講演をしたりすると、環境に関して必ず揚げ足を取ってくる質問者がいます。例えば、和紙と木を使ってアルミサッシのない建物をつくります、と言うと、断熱性が悪くてエネルギーを余計使うんじゃないか、とか鋭い質問をいっぱいしてくるんですよ。そういう質問のときは、もう全部「アイ・アム・ノット・ア・ファンダメンタリスト」と答えています。

養老 うまいね。それで分かってもらえますか。

隈 欧米の人は、そうすると、結構ぱっと分かってくれて、なごやかな笑いのうちに質問を終わりにすることができます(笑)。だって、その類の質問には、シリアスに答えようとしても絶対失敗しますから。

養老 すべての局面で「アイ・アム・ノット・ア・ファンダメンタリスト」は使えますね。でも、市民でそういうのが理解できない人たちも、いっぱい、いそうなんだよね。

隈 それはやっぱりジョークというか、センス・オブ・ユーモアの感覚が必要で。ただ、僕にしてもそれを言うのは、日本じゃなくて向こうで、ですから。日本でそれは通じないです。

養老 でしょう。日本の市民は激怒しそうだよ。

――でも、日本こそ、原理ではなく、あいまいなものを最も愛好する国民のはずなのですが。

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