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資本主義、暴走後の新スキーム(中)

  • 今北 純一

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2008年11月18日(火)

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 それにしても、世界中が資本主義一色になったという状況からほどなくして、今度は、米国をはじめ、世界中で一斉に公的資金の投入や国有化に動いているという今の状況は異様だ。マルクスが生きていたら一体何と言うのだろうか。公的資金といえば、ゴードン・ブラウン英首相が、いちはやく銀行への公的資金の投入を決めて喝采を浴びた。

今年のノーベル経済学賞を受賞した米プリンストン大学のポール・クルーグマン教授がブラウン英首相を名指しで称賛したこともあって、欧州のメディアも取り上げたが、私には、日本がここで率先できるチャンスを生かさなかったことが残念だった。日本国内では、公的資金の投入などの政策については、すでに10年前に経験済みのことだといったポイントが盛んに話題にされていたが、それほどノウハウがあるのであれば、ブラウン英首相に御株を奪われる前に、なぜEU(欧州連合)に対してや、米国に対してリーダーシップを発揮しなかったのか、という気持ちになったからである。

 世論形成という点で、エコノミストの役割は大きいと思われるが、多くのエコノミストは、実体経済についての慧眼は持っていても、今回のように、金融システムのバーチャルな部分については、ほぼ「ブラックボックス」としてしか扱うことができなかった。このことが問題を余計に見えなくした。高度な金融工学の発達によって、ますます「ブラックボックス」化していくであろう金融システムのバーチャルな部分の透明度を、今後どのようにしてあげていくかは、資本主義経済の新しいスキームを模索していく上で取り組まねばならない課題であろう。

 また、IT(情報技術)による情報のフラット化ともあいまって、加速度をましてグローバル化する世界経済の実態を考察する上で、国際貿易の構造を掘り下げて分析することが重要だ。各国が他国に対して、労働力などを含む生産コストの相対的な優位性を利して商品を生産し、相互に交換することが世界経済を発展させるとする「比較生産費説」を提唱し、また国際貿易の理論的根拠を示したのは英国の経済学者デヴィッド・リカード(1772-1823年)だった。だが、現在では、この図式は一概にはあてはまらなくなってきている。

「規模の経済」が転換点に

 国際貿易は生産コストの間にそれほど優位差のない先進国同士で、しかも同じ産業内で活発におきている。世界市場をターゲットとする企業が、大量生産による効率化を通して、地場・地域の中小企業に取って代わるというメカニズムを「規模の経済」という概念の導入によって解明し、国際貿易論に新しい道を拓いたのは、前述したクルーグマン教授であるが、資本主義経済の新しいスキームを模索する上で、私が、もう1つ要(かなめ)となるのではないかと考えているのは、この「規模の経済」の追求そのものがはらむ限界にどう対処していくかということだ。

 なぜか。それは、「規模の経済」による経済効率の追求という行為は、供給サイドの力学に基づくものであって、需要サイドの欲求に基づくものではないからである。金融に限らず、資源・エネルギー、鉄鋼、自動車、エレクトロニクス、通信・IT、医薬品など、いずれの分野におけるM&Aのディールについても、発表時に強調される「シナジー(相乗)効果」は、何よりもまずコスト削減というのが定番になっている。研究開発に関する投資額の増加やリスク低減といった話がないではないが、いずれにしても「規模の経済」によって経済効率を高める目的であることに変わりはない。

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