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資本主義、暴走後の新スキーム(上)

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2008年11月17日(月)

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 サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)を火種として始まった米国発の金融危機が、瞬く間に全世界に波及し、世界同時株安を引き起こしたばかりでなく、主要通貨である米ドル、ユーロ、日本円間の為替レートの大幅な揺れを誘発している。さらに、実体経済への影響は現実のものとなり、世界経済の先行きは不透明感を強めている。

米国資本主義の終焉は本当か?

今北純一

今北 純一(いまきた じゅんいち)氏
1946年生まれ。68年東京大学工学部応用物理学科卒業。70年東京大学大学院化学工学科修士。経営戦略に特化した欧州系コンサルティング会社CVA(コーポレート・バリュー・アソシエーツ)パートナー兼日本関連プロジェクト統括マネージングディレクターを務める。

 そして現状を総括して、「米国型資本主義の終焉」と結論づける論調が目立つ気配がある。しかし、このような断定的な言い方には気をつけなければならない。米国が、国も金融機関も広義の意味での「レバレッジ」をきかせて経済活動を推進してきた部分についてはある程度あてはまるとしても、だからといって、米国の底力そのものまで終焉したわけではない。

 IT(情報技術)の最先端を走るグーグルや、事業ポートフォリオを進化させ続けているゼネラル・エレクトリック(GE)などを例としてあげるまでもなく、ビジネスモデルの先見性や研究開発・イノベーションにおけるブレークスルーで世界をリードしている企業は米国にたくさんある。

 また、シリコンバレーのダイナミズムは他の追随を許さないし、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバードスタンフォードなどに代表される米国の大学は、これまでも、そして現在も世界の頭脳を集結して世界に情報発信しているばかりでなく、各界の俊秀を輩出している。

 それに、米国発の金融危機とはいうものの、サブプライムというネーミングそのものが象徴するように、本来返済能力に限界のある低所得者を対象にした金融商品で暴利をむさぼろうという発想そのものが怪しいということを疑うことなく、せっせと買いまくった方の自己責任を不問に付すというのは、あまりに一方的にすぎる。

 何も、ここで米国の弁護をしようというのではない。世界中が協調姿勢を取りつつある中で、未だに抜本的な解決策が見つからない今こそ、資本主義経済の本質を冷静に、そしてじっくり考えるべき時だということを言いたいだけである。

 英国と欧州大陸を隔てているドーバー海峡と、英国と米国を隔てている大西洋とを比べると、ドーバー海峡のほうがはるかに「隔たり」が大きい、と描写したのは、ジャック・ボーメルという、フランスのドゴール派の政治家だったが、今回の金融危機は、その「隔たり」の大きい、英国とEU(欧州連合)の間の連携プレーを密にした。

 むろん、EU全体としての政策と、メンバー各国それぞれの国益とを両立させることはなかなかにむつかしく、足並みが乱れることは多々あるが、それでも歴史的大実験である“EU統合”という一大目標が求心力を発揮していることはいなめない。

 ベルリンの壁が崩壊し、中国も実質的に資本主義に舵を取る中で、共産主義・社会主義に対する資本主義というイデオロギーの対峙が事実上消失し、世界は資本主義一色となった。こうして歯止めをかけるシステムはなくなり、資本主義は暴走した。サブプライムローン問題を発端とした今回の世界金融危機の背景には、この「資本主義の暴走」がある。

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