「嵐の中にこそ希望を! 対談:ワタミ社長・渡邉美樹×初芝五洋HD社長・島耕作」

荒海の中で求められるリーダー像

バックナンバー

2008年11月20日(木)

1/6ページ

印刷ページ

 大学を卒業して新卒として入社し、社長まで駆け上った島耕作初芝五洋ホールディングス代表取締役社長と、肉体労働で資金を貯めて起業し、一気呵成に会社を大きくしてきた渡邉美樹ワタミ代表取締役社長。

 対照的とも言える2人の社長が、政治、経済、教育と、リーダー不在の現状を語り合う。今、日本に必要なトップリーダーとはどんな人物像なのだろうか。

前回から読む)

――今年の秋は、いろいろな局面で大転換の時期になりました。アメリカでは金融崩壊と大統領の交代が同時に起き、バラク・オバマ氏が黒人初の大統領となりましたが、日本もまさに政治の問題で揺れています。企業のトップとして、これだけ政治が1〜2年でガタがきてしまう状態について、企業人としてどう思いますか。


島耕作(しま・こうさく) 山口県岩国市出身。1947年9月9日生まれ。初芝五洋ホールディングス株式会社代表取締役社長。1970年に初芝電器産業株式会社に入社。以後、初芝電産貿易株式会社やサンライトレコード株式会社への出向を経て、2002年6月、上海地区担当役員、上海初芝董事長に就任。ソムサン電子から敵対的TOBを仕掛けられた五洋電機へのホワイトナイトを提案し、総責任者として対抗TOBを成功させる。

 日本の総理大臣って、15年間で10人代わっているんです。そのうち、小泉純一郎さんが8年近くやっていますから、それを省くと、本当に1年弱くらいでばらばら代わっている。

 トップというのはある程度の時間がないと、無責任になっちゃうんですよ。自分が計画して出したものは、ある程度見届けるまでやらないと。

 途中降板ばかり続くと、それを受け継いだ人があれは前の人がやったからというので、問題をまた次の人に先送りする。そういう形でリスクを避け続けることになるから、あまりトップが早く代わるというのはよろしくない気がします。

 初芝電器産業の歴史では、一番長かった人でも10年ぐらい。創業者は別にして、あとは6年ぐらいでだいたい、交代しています。私も今60歳ですから、66〜67歳ぐらいまではやってみたいなと。その間に、自分が決めたことをどれだけ進めるかというのを、責任を持って見届けたいですね。

渡邉 それはそうですよ、本当に。

――トップとして、今後、初芝電産として打って出たい部分というのは、どういったところですか。

海外を改めて考えるために、社名を変更

 改めて今、海外ですね。実は今、初芝電産は、売り上げの海外比率が50%を切っているんですよ。49%。ところがライバル会社のソラー電機は、78%ぐらいで。

渡邉 海外が?

 海外が78%です。韓国のソムサンも80%ぐらいいっているんですよ。私が社長になりまして、「シンクグローバル」というスローガンを作りました。世界をもっと大きく見つめよう、世界を考えようということなんですが、なぜこういうことをしたかというと、日本のマーケットというのは、実は今まで1億3000万人のわりとお金持ちの、いいマーケットだったんです。海外でぎりぎりの価格競争をしなくても、この中でうまく商売がしていけた。

渡邉 そうですね。

 だから、海外に背を向けて、国内ばかりで商売をしていた。その間に韓国のソムサンは、インドとか中国とかに布石を打ってきたから、いざ初芝電産が打って出ようとした時には、もうすでにシェア40%ぐらい取っているという状態になっていて、気がついたら、あっという感じで逆転されていたんです。今や、ソラー電機とうちと合わせて、株式の時価総額はやっとソムサンぐらいです。それだけ向こうは巨大になっているんですね。

日経ビジネスと島耕作はほぼ同じ年に日本経済と共に歩み出した。その足跡を追ってみよう。まずは島耕作24歳、入社2年目。米国が金本位制を破棄したことによる「ニクソン・ショック」が日本経済を襲っていた。

「島耕作と日経ビジネスの歩み」年表はこちらから >>

 これから日本は少子化なので、確実に日本のマーケットは縮小していきます。片や海外というのは、BRICsがあり、ネクスト11があり、どんどん膨らんでいく。どちらで勝負をするのが賢いかというと、やっぱり外国でしょう。だから、海外比率49%じゃいけない。60%、70%。80%まではいかなくても、それぐらいまで近づけていく努力はしなきゃいけないので、「シンクグローバル」なんです。

渡邉 そのために、社名を変更するとか。

 そうなんです。「初芝五洋ホールディングス」ではちょっと長いですし、世界のお客様に「この企業は何をやりたいのか、どんな製品を作ってくれるのか」というイメージがなかなか伝わりません。インパクトがあり、誠実で、チャレンジ精神がある企業、という名前をただ今公募しています。渡邉さんの「ワタミ」は、シンプルで温かくていい名前ですね。

渡邉 ありがとうございます(笑)。うちも今やろうとしているのは、シンクグローバルですよ、まさに。

マクドナルドに代わって和食がグローバルに

 そうですか。

渡邉 日本のマーケットというのは、もう大きくならない。しかし海外はどんどん大きくなる。今我々が言っているのは、2020年までに国内と海外の売り上げを並べようと。

 まだ今、内と外とでは大きな差があるんですが、これを2020年までに並べたい。だから、11月に香港にワタミインターナショナルという会社を立ち上げたんです。

――日本からコントロールするわけには…

渡邉 日本を拠点にしたらダメです。現地の情報が入らない。

 確かにその通りです。

渡邉 香港を拠点にして、アジアを全部攻めようということです。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



バックナンバー>>一覧

関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
この記事を…
内容は…
コメント0件受付中
トラックバック
著者プロフィール

深川 岳志(ふかがわ・たけし)

1960年、大阪生まれ。関西学院大学社会学部卒業。ワープロ雑誌の編集プロダクションを経て、フリーライターに。著書は『プログラマの秘密』『プログラマの憂鬱』(ビレッジセンター)ほか。主にパソコン雑誌、IT系ニュースサイトに執筆。現在はPConlineに「Google探検隊」、「Macを買ったら絶対入れておきたいオンラインソフト」を連載中。



このコラムについて

嵐の中にこそ希望を! 対談:ワタミ社長・渡邉美樹×初芝五洋HD社長・島耕作

世界が金融恐慌の予感に身構える中、東京・渋谷でふたりの社長が語り合った。ひとりは世界的な家電メーカー、島耕作(弘兼憲史)、もうひとりは外食産業から、渡邉美樹。
 課長として登場しつつもフィクションの世界で大きく成長し、世界企業「初芝五洋ホールディングス」を率いるまでになった島氏と、自ら起業して外食だけでなく介護・教育へと活躍の場を広げ、アジアに進出しつつある渡邉氏。一見、重なる部分がなさそうなふたりの社長に共通するのは、実業の世界に足場を置くことと、徹底的なプラス思考だ。金融恐慌をはじめとする激動の未来にどう前向きに立ち向かうか、ふたりの社長が語り合う。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内