大学を卒業して新卒として入社し、社長まで駆け上った島耕作初芝五洋ホールディングス代表取締役社長と、肉体労働で資金を貯めて起業し、一気呵成に会社を大きくしてきた渡邉美樹ワタミ代表取締役社長。
対照的とも言える2人の社長が、政治、経済、教育と、リーダー不在の現状を語り合う。今、日本に必要なトップリーダーとはどんな人物像なのだろうか。
(前回から読む)
――今年の秋は、いろいろな局面で大転換の時期になりました。アメリカでは金融崩壊と大統領の交代が同時に起き、バラク・オバマ氏が黒人初の大統領となりましたが、日本もまさに政治の問題で揺れています。企業のトップとして、これだけ政治が1〜2年でガタがきてしまう状態について、企業人としてどう思いますか。

島耕作(しま・こうさく) 山口県岩国市出身。1947年9月9日生まれ。初芝五洋ホールディングス株式会社代表取締役社長。1970年に初芝電器産業株式会社に入社。以後、初芝電産貿易株式会社やサンライトレコード株式会社への出向を経て、2002年6月、上海地区担当役員、上海初芝董事長に就任。ソムサン電子から敵対的TOBを仕掛けられた五洋電機へのホワイトナイトを提案し、総責任者として対抗TOBを成功させる。
島 日本の総理大臣って、15年間で10人代わっているんです。そのうち、小泉純一郎さんが8年近くやっていますから、それを省くと、本当に1年弱くらいでばらばら代わっている。
トップというのはある程度の時間がないと、無責任になっちゃうんですよ。自分が計画して出したものは、ある程度見届けるまでやらないと。
途中降板ばかり続くと、それを受け継いだ人があれは前の人がやったからというので、問題をまた次の人に先送りする。そういう形でリスクを避け続けることになるから、あまりトップが早く代わるというのはよろしくない気がします。
初芝電器産業の歴史では、一番長かった人でも10年ぐらい。創業者は別にして、あとは6年ぐらいでだいたい、交代しています。私も今60歳ですから、66〜67歳ぐらいまではやってみたいなと。その間に、自分が決めたことをどれだけ進めるかというのを、責任を持って見届けたいですね。
渡邉 それはそうですよ、本当に。
――トップとして、今後、初芝電産として打って出たい部分というのは、どういったところですか。
海外を改めて考えるために、社名を変更
島 改めて今、海外ですね。実は今、初芝電産は、売り上げの海外比率が50%を切っているんですよ。49%。ところがライバル会社のソラー電機は、78%ぐらいで。
渡邉 海外が?
島 海外が78%です。韓国のソムサンも80%ぐらいいっているんですよ。私が社長になりまして、「シンクグローバル」というスローガンを作りました。世界をもっと大きく見つめよう、世界を考えようということなんですが、なぜこういうことをしたかというと、日本のマーケットというのは、実は今まで1億3000万人のわりとお金持ちの、いいマーケットだったんです。海外でぎりぎりの価格競争をしなくても、この中でうまく商売がしていけた。
渡邉 そうですね。
島 だから、海外に背を向けて、国内ばかりで商売をしていた。その間に韓国のソムサンは、インドとか中国とかに布石を打ってきたから、いざ初芝電産が打って出ようとした時には、もうすでにシェア40%ぐらい取っているという状態になっていて、気がついたら、あっという感じで逆転されていたんです。今や、ソラー電機とうちと合わせて、株式の時価総額はやっとソムサンぐらいです。それだけ向こうは巨大になっているんですね。
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日経ビジネスと島耕作はほぼ同じ年に日本経済と共に歩み出した。その足跡を追ってみよう。まずは島耕作24歳、入社2年目。米国が金本位制を破棄したことによる「ニクソン・ショック」が日本経済を襲っていた。
これから日本は少子化なので、確実に日本のマーケットは縮小していきます。片や海外というのは、BRICsがあり、ネクスト11があり、どんどん膨らんでいく。どちらで勝負をするのが賢いかというと、やっぱり外国でしょう。だから、海外比率49%じゃいけない。60%、70%。80%まではいかなくても、それぐらいまで近づけていく努力はしなきゃいけないので、「シンクグローバル」なんです。
渡邉 そのために、社名を変更するとか。
島 そうなんです。「初芝五洋ホールディングス」ではちょっと長いですし、世界のお客様に「この企業は何をやりたいのか、どんな製品を作ってくれるのか」というイメージがなかなか伝わりません。インパクトがあり、誠実で、チャレンジ精神がある企業、という名前をただ今公募しています。渡邉さんの「ワタミ」は、シンプルで温かくていい名前ですね。
渡邉 ありがとうございます(笑)。うちも今やろうとしているのは、シンクグローバルですよ、まさに。
マクドナルドに代わって和食がグローバルに
島 そうですか。
渡邉 日本のマーケットというのは、もう大きくならない。しかし海外はどんどん大きくなる。今我々が言っているのは、2020年までに国内と海外の売り上げを並べようと。
まだ今、内と外とでは大きな差があるんですが、これを2020年までに並べたい。だから、11月に香港にワタミインターナショナルという会社を立ち上げたんです。
――日本からコントロールするわけには…
渡邉 日本を拠点にしたらダメです。現地の情報が入らない。
島 確かにその通りです。
渡邉 香港を拠点にして、アジアを全部攻めようということです。
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