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オバマ政権とアフリカ政策

「植民地主義」レッテル貼りと「表現の自由」

2008年11月14日(金)

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 皆さんはオバマ次期米国大統領の「自伝」のタイトルをご存じでしょうか? ダイヤモンド社から出ていて邦訳の書名は『マイ・ドリーム バラク・オバマ自伝』となっています。しかしこれは、日本で本が売れないと困る版元の事情でつけられた名前で、元来のタイトルはニュアンスがやや違っています。

 ダイヤモンド社が良心的なのは、表紙にも原題が印刷されているところでしょう。「Dreams from My Father 私の父からの夢」あるいは「私が父から受け継いだ夢・希望」これが、シカゴ大学で憲法を講じながら市民派弁護士として活動していた1995年に書かれ、2004年、上院議員に名乗りをあげようというタイミングで改訂されたオバマ「自伝」のタイトルです。

 彼の父、バラク・オバマ・シニア氏がハワイ大学で計量経済学を学んだのち、ハーヴァード大学大学院で博士号を取得した最初のケニア人であることはよく知られています。

 合衆国始まって以来の「黒人大統領(候補)」の「マイ・ドリーム」という語感と、ケニアから米国に留学したシニア以来、親子2代にわたってオバマ家が受け継いできた夢という本来のタイトルでは、意味合いが正反対ほどに違う部分があります。

オバマの両親の生き様、死に様

 初版まえがきの冒頭を見ると、この本が元来

 「人種間の平等を目指す市民権訴訟の限界についてのエッセイを入れて、コミュニティーの意義や草の根運動を通した公的活動の復興についての意見も述べよう、それから差別撤廃措置やアフロセントリズム(アフリカ中心主義)に対する思いも綴ろう」(白倉・木内訳、viiページ)と構想されたことが記されています。オバマが彼の父から受け継いだ夢とは、最初からグローバルなスケールで考えられたものでした。

 またオバマ氏の思いは父親に対するものだけではありません。2004年版への序文には、初版が出た数カ月後にガン死した、彼の母への追憶が記されています。

 「母は亡くなる前の十年間、本当に好きなことをして暮らしていた。世界を旅し、アジアやアフリカの辺境の村で働き、現地の女性がミシンや乳牛を購入する手助けをし、世界経済に参加するための第一歩となりうる教育の普及活動も行った。さまざまな階層の人々を集めては、世界じゅうを歩き、月夜を楽しんだ…」(同v-viページ)

 前回「オバマは本物」と書いたのは、単に彼1代のことではないからです。もちろん彼自身も様々な差別や問題に直面して、その解決に辣腕を振るってきました。これについては次週以後詳しく触れるつもりですが、しかしそれだけではありません。

 植民地支配からのアフリカの解放に情熱を燃やし、志半ばにして早世した父親。国際福祉団体で働き、アジア・アフリカで生活と人権の向上に尽くして死んだ母親。両親の生き様、死に様から、筋金入りで魂に刻印されたものは、決してブレないと私は思います。

 私自身今「日経」という媒体でこうした問題を論じているのは、経済学を志望しながら早世して果たせなかった父と、歴史学出身の母が未亡人となってから取り組んだ福祉の問題があるので、とりわけそんなふうに思います。

 こういう経緯は人の一生を強く支配すると思います。たとえば第2次世界大戦時の日本の行動を論じる時、父や祖父が軍人だったり、戦犯に問われたりした人が、いろいろな思いを持つのは当然のことで、人間としてよく分かるところです。

トピック1 オバマ政権は3Aと国際協調

 今回は、この連載の最長記録で長い記事になっています。それは、田母神氏の参院参考人招致で、新聞各紙など報道機関が紙幅の関係などで十分に触れていない点を、出来るだけやさしく、誰にでも理解できる「共通のルール」の言葉で書こうとした後半と、それを井戸の中の蛙のように国内のニュアンスの問題でなく、国際政治状況の中で考えるための前半をセットとして、いま私が最も重要と思う結論を導きたいと考えたからです。

 そこでトピックを1、2と分けて、最後に双方が合流するようにしました。第1のトピックはオバマ政権の3A政策です。

 オバマ上院議員が無事に大統領に就任できた暁、内政・外交の両面で間違いなく言えることがあります。それはアフリカ、アジア、ラテンアメリカの「3A」発展途上諸国との円滑・円満な関係の樹立と、調和的な経済成長の促進です。

 何も上記の、オバマ氏の個人的な思いによって、そう言っているわけではありません。合衆国内で急速に人口を増やしている3A諸国からの移民とその2世3世たち、奴隷としてアフリカから拉致~人身売買された人々。皆が「チェンジ」の民意を示して、その結果生まれたのがオバマ大統領です。

 WASP(白人、英国系、新教のクリスチャン)エスタブリッシュメントなど、米国旧来の有力階層は、とりわけ内政面の変化を慎重に見つめています。しかし外交、とくに3A途上国との協和的な関係は絶対にぶれません。

 今米国、3Aと書きましたが、これに欧州、ロシア、そして中国・朝鮮半島と日本の極東有力国と中東を加えれば、地球上の全部になります。大変大まかですが、この全体像の中で、米国の世界戦略、グローバル・ストラテジーのブレない部分をスケッチしてみましょう。

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