世界に通じるモノ作り。本誌はこれまで高い技術と生産能力を持つ日本企業を多く描いてきた。その対象はトヨタ自動車やソニーといった大企業に限らない。規模が小さく、知名度が低くても、産業界に欠かせない製品や部品を作る中小企業が全国に数多くある。
このシリーズでは本誌の人気コラム「小さなトップランナー」から優れたモノ作りの現場を紹介した記事を連続で取り上げる。
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2008年1月28日号より
塗り壁の材料となる漆喰を自社で調合して販売し、国内シェア3割。
ニッチ市場でライバルに差をつけるため、新たな用途開発に挑戦した。
他社が真似できない“漆喰セラミック”を武器に世界市場へと飛び出す。
(江村 英哲)

日本の近代化を支えた北九州市の八幡製鉄所。鉄鋼の製造に必要な石炭や石灰を供給してきたのが、同じ福岡県内の田川市だ。石炭が「黒いダイヤ」と呼ばれたのに対して、石灰は「白いダイヤ」と称された。その白いダイヤを原料とする調合済みの漆喰を製造・販売し、全国で約3割のトップシェアを占めるのが、1924年創業の田川産業だ。
2007年3月期に売上高2億3391万円、経常利益220万円の小さな企業だが、「漆喰をあらかじめ調合し、初めて“商品”としたのは田川産業」と行平信義社長は胸を張る。
漆喰は石灰を主成分とする建築材料で、数千年前から使用されてきた。中国の万里の長城でも石材の隙間に漆喰を塗り、接着剤として利用していた。その漆喰を初めて商品化したとは、どういうことなのか。
日本で使われている漆喰は石灰に加え、糊状に煮て保水材にする海草、強度を増すための麻や紙などの繊維質を混ぜ合わせて作る。田川産業は、様々な用途別に調合した漆喰を1964年に「城かべ」という商品名で発売した。それ以前は左官が建材店で必要な原料を調達し、それぞれの調合方法で漆喰を作っていた。そのため「左官の力量によって漆喰の品質に差が出ていた」と行平社長は説明する。
そこに、行平社長の実父である行平正・前社長は市場を見いだした。田川産業はもともと家畜の飼料用に石灰石から食用カルシウムを製造する技術を持っていた。その技術があれば良質な石灰が作れる。製鉄所への供給は設備投資がかさんで難しいが、建材ならば高品質を売り物に必ず顧客が見つかるはずだと考えた。
その狙いは的中した。




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