「日経ビジネスが描いた日本経済の40年」

【日本を救う小さなトップランナー】
吉田金属工業 (ステンレス一体構造包丁の製造・販売)

切れ味極め、プロを魅了

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2008年11月19日(水)

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 世界に通じるモノ作り。本誌はこれまで高い技術と生産能力を持つ日本企業を多く描いてきた。その対象はトヨタ自動車やソニーといった大企業に限らない。規模が小さく、知名度が低くても、産業界に欠かせない製品や部品を作る中小企業が全国に数多くある。

 このシリーズでは本誌の人気コラム「小さなトップランナー」から優れたモノ作りの現場を紹介した記事を連続で取り上げる。

* * *

2008年1月21日号より

刃身から柄まで、すべてステンレス製の包丁を世界で初めて開発。
手間を惜しまず品質を磨き、切れ味の良さと耐久性を両立させた。
「グローバル」という商品名の通り、世界中の料理人から評価を得る。

(坂田 亮太郎)

 1992年、オランダの料理人同業者組合(コックギルド)から1通の手紙が届いた。宛先は新潟県燕市に本社を置く吉田金属工業。主力製品の包丁「グローバル」が、プロの料理人集団によって毎年選ばれる「調理器具優秀賞」を獲得したという知らせだった。

世界の料理人に認められたオールステンレス包丁「グローバル」を手にする渡辺勇蔵会長

世界の料理人に認められたオールステンレス包丁「グローバル」を手にする渡辺勇蔵会長(写真:高山 潔)

 渡辺勇蔵会長(当時社長、83歳)は当初、これを大きなこととは受け止めていなかった。その2年前には通商産業省(現経済産業省)が認定する「グッドデザイン賞」を獲得し、前年にも世界中の優れたデザインの工業製品を紹介する「インターナショナルデザイン年鑑」に掲載されていたからだ。

 「賞状がもう1つ増えるくらいにしか考えていなかった」という渡辺会長も、後に世界的に権威のある賞だと聞かされて驚いた。

 洋食器メーカーが集積する燕市ではもちろん、日本のメーカーが優秀賞を獲得したのは初めての快挙だった。グローバルというブランド名に込めた思いが、世界のプロフェッショナルに認められた証しでもあった。

機能を兼ね備えた柄の装飾

 グローバルは刃身から柄(ハンドル)まで、すべてステンレス製であるところが最大の特徴。後に国内外のメーカーが似たような包丁を相次いで発売したが、「オールステンレス一体構造包丁」を世界で初めて商品化したのはこの吉田金属だ。

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著者プロフィール

酒井 耕一(さかい・こういち)

日経情報ストラテジー編集長。



このコラムについて

日経ビジネスが描いた日本経済の40年

2009年10月に創刊40周年を迎える日経ビジネス。この間、日経ビジネスは企業の栄枯盛衰の現場に立ち会い、多くの記事を掲載し、特集企画では「会社の寿命」「軽・薄・短・小」など時代を切り拓くキーワードを生み出してきました。創刊40周年のカウントダウン企画として、日経ビジネスが掲載してきた記事を、現在の問題意識から時代を超えてセレクトし、シリーズで掲載します。経営、企業、マクロ経済、金融、人…、日本経済が直面する問題のヒントが見つかるはずです。

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