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2008年11月26日(水)

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 米国でオバマ次期政権の誕生が決まった直後の11月9日、ドイツを公用で訪問中だったルワンダ政府高官、ローズ・カブイエ儀典長はフランクフルト空港に到着したところで身柄を拘束されました。フランスの逮捕状を執行されたのです。11月20日にはドイツからフランス側に身柄を引き渡されました

ドイツで逮捕されたルワンダ高官

 カブイエ儀典長はカガメ現ルワンダ共和国大統領の長年の副官で、亡命トゥチ勢力としてウガンダから攻め入った時期から参謀を務めてきた重要人物です。

 逮捕の容疑は、1994年4月、当時のハビャリマナ・ルワンダ共和国大統領とヌタリャミラ・ブルンジ共和国大統領を乗せた飛行機がキガリ空港近くで撃墜された暗殺事件に関与した、というものです。

 2006年に「これがきっかけになってジェノサイドが起きた」としてフランスでカガメ大統領を含む刑事告訴が行われ、ここでフランスのジャン・ルイ・ブリュグイエ判事による令状が執行されて、今回の逮捕となりました。

 言うまでもなくルワンダ共和国は、現在国連に加盟する国家として認められています。しかし、ウガンダからポール・カガメ大統領率いるルワンダ愛国戦線(FPR)が進攻した時点では国家の実権を掌握していませんでした。2006年にフランスで起こされた訴追は、この当時に遡る形で、ルワンダを国家と認めず、いわば「武装勢力扱い」するものでしたから、必然的にフランスとルワンダは国交を断絶することになります。

 当然ながらルワンダ政府は激しくこれに抗議しています。ルワンダ大使館の公式見解を紹介しておきましょう。

 フランスとの国交断絶後も、国連の潘基文事務総長や日本の緒方貞子さん、あるいはサッカーの中田英寿氏などもルワンダを訪問し、この5月横浜でのアフリカ開発会議(TICAD)にはカガメ大統領も来日して参加、日本はこの国の戦後復興に協力しています。

 またこの連載にも記したとおり、私も科学技術と教育を通じてこの国の戦後復興をサポートする1つのプロジェクトに責任を持っています。

フランスに巻き込まれたドイツ

 ルワンダではこの8月に、1994年のジェノサイドにフランス軍兵士が直接加担していたことを示すレポートを公表、次いで公教育でフランス語を廃止することが決定されました。ちょうど北京でオリンピックが開かれ、ロシアがグルジアに進攻し、ニコラ・サルコジ仏大統領の調停で停戦が成立しながら両国が国交を断絶した時期のことです。

 その後国際金融不安と米国大統領選挙があり、バラク・オバマ氏が圧勝した直後、サルコジ政権になってから初めて、非常に明確なルワンダへのアクションがあったわけです。

 今回はフランスがドイツに協力を求めてこの逮捕と身柄の引き渡しが起きていることが、とりわけ懸念されます。

 実はすでに今年の4月と11月初旬に、予定されていたカブイエ儀典長の訪問にはドイツから警告がなされていました。

 ドイツとしては、決してルワンダと国交を断絶したくありません。両国の間には緊密な連携があり、この2月にもホルスト・ケーラー独大統領がルワンダを訪問しています。11月12日 カガメ大統領は駐ルワンダ・独大使に48時間以内の国外退去を言い渡し、また駐独・ルワンダ大使の召還を決定しました。

 今回の身柄の拘束は、フランスからの強い要請により、欧州連合(EU)内のルールに従って行わざるを得なかったもので、ドイツとしては頭の痛いところなのです。

 また、ルワンダ側としても「われわれを国家と認めるか、否か」と問うような意味で訪問を敢行し、その後の処置を見守ろうという側面があります。当然ながらこの拘束はアフリカ連合(AU)に加盟するすべての国から非難を受けています。

「板ばさみ」になるか、調停者として働くか

 フランス、ドイツと来ると、気になるのは米国の反応です。ジョージ・ブッシュ末期/オバマ政権の米国がルワンダ問題にどのように反応するかは、世界のパワーバランスを考えるうえで、極めて重大な試金石になってしまいました。

 11月14日掲載の前々回の記事で私は、オバマ氏のルーツで、米国の(東)アフリカ政策の拠点であるケニアのナイロビ市内に掲げられた、独仏和合のプロモーション写真を貼付しておきました。その裏ではこうした動きが起きていたのです。

 正直、この問題は私自身にも非常に痛みが伴っています。一種の板ばさみの状況とも言えるからです。なんと言ってもドイツとフランスは、18歳での最初の留学以来、音楽家の私が最も長く関わってきた、自分にとって大切な国です。実は今、この原稿を打ち(20日)校正しているのも(25日)、欧州出張中でドイツ国内を移動しながらに他なりません。

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