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偽善に固まったクリスマスプレゼント

  • 神谷 秀樹

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2008年12月1日(月)

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 麻生政権が発足し、自民、公明両党が早速打ち出した政策は、国民1人当たり1万2000円の現金(定額給付金)をプレゼントするというものだった。18歳以下の子供、65歳以上の高齢者には2万円だそうだ。総計2兆円に上る経済対策で、これで景気が良くなるという。

 このプレゼントはもちろん金持ち宰相のポケットマネーで為されるものではない。本来は、国民自身の資産であるいわゆる霞が関埋蔵金(もっとも政府はやがて赤字国債発行もやむなしと考えているようだが)を、政府が多大な経費をかけて配るというものである。このプレゼントにはクリスマスカードが添えてある。「次の選挙の際には1票をよろしく」と。

 このような偽善に満ちたクリスマスプレゼントを「ありがとうございました」と受け取るほど日本国民はバカではないということは、様々な報道や世論から明らかだろう。それでも麻生内閣がこの給付を撤回しようとしないのは、いわゆるKY(空気読めない)だからか、確信犯だからか。

 日本国民は、このようなプレゼントは「誰一人受け取らない」という国民運動を広げ、加えてこのような政策を打ち出す内閣に対し、早急に総辞職をするよう圧力をかけるべきであろう(かと言って、私は別に小沢・民主党を支持する者でもない)。

ズタズタに切られた「信用」の輪

 現在世界の企業が直面しているのは、5%とか10%とかの売り上げの減少ではない。米国自動車産業は既に売り上げの3割、4割の低下を経験している。米政府がてこ入れするか否かにかかわらず、まさに存亡の危機である。

 世界最大の化学会社が25%の減産を打ち出した。世界で最も手広く営業するシティグループは、民間企業のレイオフ(一時解雇)としては過去2番目に大きい5万人超の人員削減を行う。ニューヨークの宝飾店のオーナーに聞くと、クリスマス商戦を迎えるにも関わらず、在庫の増加はゼロとしていると言う。これらのミクロの現象は、既に尋常ではない経済危機の到来を告げている。

 このような状況下、世界の中央銀行が一致して金利を下げ、通貨供給量を増やせば、大恐慌を避けることができるというような発想は甘い。そのような対策は、問題の本質に迫っていない。現在世界で起こっていることの本質は、「信用」の輪がズタズタに切れていることである。

 「信用」とは築くに10年、壊すに1日。一度壊してしまうと、それを回復するには倍旧の努力を要するというものである。金利や通貨供給量ではこの「信用の回復」を成し遂げることはできない。全く異なる種の問題であるが、世界各国の政府すべて、この根本問題をいまだ直視しようとはしていない。

賢い金の使い方

 世界各国がこれから新たな「ニューディール政策」を打ち出すとしても、問題はその使途である。麻生総理が打ち出した「選挙対策の現金バラ撒き作戦」などは議論するにも値しないが、今後はお金を賢く投資する国と、そうできない国で国力が大きく変わってくるだろう。

コメント14件コメント/レビュー

経済または経営で一流の人が政治を語ると、得てしてこのような論説になるかと思います。マスコミ側でマクロ経済学をわかる人がいないから、いつまでも騙される。施策として筆者が出されているものって、具体策を上げていけば、結局はハコモノ行政に行き着きませんか?すでに供給は十分に足りているのです。需給が足りない。みんな手持ちのお金がないから、買えない。経済が停滞する。その仕組みがどうしてわからないんでしょう?確かに個人個人にとっては大した金額にならないかもしれない。額が少なすぎるから、経済効果は薄いでしょう。もっと今の20倍くらいお金をかければ違っただろうけど。この金額でこの大バッシング。今のこの日本では、そんなこと誰も言えない。でも額は少なかろうが、英断した麻生総理を尊敬します。(2008/12/03)

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いただいたコメント

経済または経営で一流の人が政治を語ると、得てしてこのような論説になるかと思います。マスコミ側でマクロ経済学をわかる人がいないから、いつまでも騙される。施策として筆者が出されているものって、具体策を上げていけば、結局はハコモノ行政に行き着きませんか?すでに供給は十分に足りているのです。需給が足りない。みんな手持ちのお金がないから、買えない。経済が停滞する。その仕組みがどうしてわからないんでしょう?確かに個人個人にとっては大した金額にならないかもしれない。額が少なすぎるから、経済効果は薄いでしょう。もっと今の20倍くらいお金をかければ違っただろうけど。この金額でこの大バッシング。今のこの日本では、そんなこと誰も言えない。でも額は少なかろうが、英断した麻生総理を尊敬します。(2008/12/03)

ケチを付けるだけなら簡単ですよ。これも、マスコミの談合記事ですか?政府案が選挙対策だと切って捨てるのはどうでしょうか?私は良いと思いますよ。どこかの財源もハッキリしない、それこそ選挙対策としての給付案よりは。現状の景気を考えれば、少しでも金銭が日本の世の中を巡るのなら、何もしないより遥かに増しです。(2008/12/03)

いろいろ批判もあるようですが、私は受け取って全額消費するつもりです。焼け石に水かもしれませんが、何もしないより少しはマシでしょう。格好つけて受け取り拒否したって何もいいことないし。給付金じゃなければ、減税なら良かった?その方がよっぽど効果が薄い。教育や福祉など、息の長い投資が必要なことは間違いないですが、それと目先の景気刺激策とは別の話。問題があるとすれば、金額があまりにも少なすぎて中途半端なことくらい。特別会計の埋蔵金からガバっと10兆円くらい、気前良く出して欲しいものです。(2008/12/02)

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三品 和広 神戸大学教授