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「ローカル」あっての「グローバル」

トルコで実感、人は本来ローカルなもの

  • 常盤 文克

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2008年11月28日(金)

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 この10月初旬、トルコ共和国を訪れる機会がありました。

 トルコは人口およそ日本の2分の1、面積はおよそ2倍ほどの国です。西側がブルガリアなど東ヨーロッパに接しており、東側がイランやイラク、シリアといったアジア・中東地域に面しています。キリスト教文化とイスラム教文化がぶつかり合う場所でもあり、両者の長年の攻防と興亡の繰り返しによって歴史がつくられてきた土地柄です。

 この地は欧亜文化の交差点、東西文明の十字路などとも呼ばれ、ヨーロッパとアジアの文化が共存しています。また、ボスポラス海峡を臨むトルコ最大の都イスタンブールは、海峡を挟んで西側にはヨーロッパ風の、東側にはアジア風の建物が立ち並ぶ珍しい光景を見せてくれます。そんな光景を眺めているうちに頭をよぎったのは、「グローバル」という言葉の意味です。

 トルコの街々で夜明けとともにどこからともなく聞こえてくるコーランの読経の響きを耳にすると、普段とは違う朝の異様な空気を感じます。やっぱり西洋と東洋をひとまとめにはできないな、という思いが湧いてきます。世界は決して一つではありませんし、むしろモザイク模様の多様な民族の集合体だと言っていいでしょう。

 確かに表面的には、世界のどこに行っても若者はジーンズを履き、ハンバーガーを食べ、コーラを飲むようになりました。ところが、文化・宗教などを巡る民族間の紛争は絶えませんし、価値観や主張の衝突はかえって増えています。政治学者サミュエル・ハンチントンの言うように、世界はますます多様化の方向に進んでいるのではないかとも思えます。

人は決してグローバルな存在ではない

 私がトルコを訪れた頃、米国に端を発した金融危機が深刻化してきました。サブプライムローンの焦げ付きや大手投資銀行の破綻などの影響が、津波のように瞬く間に世界中に広がってきたのです。こんな状況をみて、世界がグローバル化していることを、改めて指摘する人たちも少なくありません。

 確かに、カネは世界中を巡って複雑な金融システムを構築していますし、グローバルな経営資源としても重要な役割を担っています。しかし、それは特に今に始まった話ではありません。ここで大事なのは、カネのようには「世界を巡らない」もの、つまり人の存在です。

 人は物理的には国をまたいで移動しますが、その人の考え方や価値観、さらにはその人の背景にある独自の文化や伝統などは地域に根ざしたものです。東西の文化が交差するトルコの地に立ってみると、人は決してグローバルではなくローカルな存在であることを強く実感します。

 国や地域が異なれば、人の価値観も仕事のやり方も異なります。

 世界に目を向けると、どの国も自分たちの存在を主張し、自分たちの価値観をしっかり守っています。例えば欧州をみると、EUとして一つの連合体を形成していますが、英も仏も独も伊も、それぞれが違った価値観を持って違った生き方をしています。ビジネスの仕方も微妙に違います。グローバルな世界にありながら、ローカルな存在であり続けているのです。

 ビジネスは一見グローバルのように見えますが、人がローカルな存在であれば、人が関わるビジネスもまたローカルな要素が大事になります。それをよく知ったうえで、ローカルな特性が生み出す独自のモノや価値をグローバル市場に送り出して競い合う――。これが、本当のグローバル競争なのだと思います。そもそもグローバルという概念は、その“対”をなすローカルという概念があって成立するのです。

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