• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

メキシコの「巨大結晶の洞窟」

  • 藤田 宏之

バックナンバー

2008年11月28日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「論より証拠」「百聞は一見に如かず」。1枚の写真には、とてつもない量の情報や力が秘められている。たとえば、ものの大きさも時に大切な“情報”だ。

 下の写真をご覧になっていただきたい。地下にできた結晶の写真だが、同時にそこに写っている探検家たちを比べるとびっくりする。[「ナショナル ジオグラフィック日本版」11月号で紹介したメキシコの結晶洞窟のワンカットだ。あなたは、この光景を言葉で説明できるだろうか?



メキシコ、チワワ砂漠の地下深くにある「結晶の洞窟」。洞窟を埋め尽くすセレナイトの巨大な柱前では、人間がとっても小さく見える。
メキシコ、チワワ砂漠の地下深くにある「結晶の洞窟」。洞窟を埋め尽くすセレナイトの巨大な柱前では、人間がとっても小さく見える。

 メキシコ北部の都市チワワから1時間ほど南に下った山奥。メキシコ最大の鉛鉱山であるナイカ鉱山で、2000年に発見されたものだ。洞窟の中には、結晶が林立している。なかには長さ10メートルを超える巨大なものまである。透き通って燦然と輝く結晶が立ち並ぶ洞窟は、この世のものとは思えない美しさだ。

 洞窟内を埋め尽くすのは、セレナイトと呼ばれる透明な石膏の結晶。ナイカ鉱山の多くの洞窟には、何十万年もの歳月をかけて、硫酸カルシウムを豊富に含む地下水が浸み込んでいた。地下のマグマで熱せられた洞窟は徐々に冷え、洞窟内にたまった水の温度は摂氏58度で安定する。そのとき、水中の硫酸カルシウムがセレナイトに変化し、その分子が徐々に積み重なって結晶を形成したのがこの結晶なのである。

 「クエバ・デ・ロス・クリスタレス(結晶の洞窟)」の巨大な結晶は、世界中でもここでしか見られない。輝く結晶の柱で埋めつくされたこの洞窟は、ナイカ鉱山の地下300メートルのところで発見された。ナイカ鉱山は毎年何トンもの鉛と銀を産出する、メキシコでも有数の鉱山で、結晶の洞窟が見つかったのはこれが初めてではなかった。

 鉛や銀が生成される地質学的な過程で、結晶となる原料が同時につくられる。ナイカ鉱山ではこれまでにも採掘中に、規模はずっと小さいものの、みごとな結晶がぎっしり詰まった洞窟を、鉱夫が偶然見つけたことがあった。だがこの結晶はなぜこんなに大きくなったのか。

 2001年以降、多くの科学者がナイカ鉱山の結晶を研究している。スペインの結晶学者であるフアン・マヌエル・ガルシア・ルイスもその一人。ガルシアの研究チームは、結晶の内部に閉じ込められた液体の泡を調べることで、結晶がどのように成長するかを明らかにした。

 圧倒的に美しく不思議な巨大結晶に出合った人たちは、自分たちの身近なものにたとえて表現しようとする。ガルシアは結晶の洞窟を「結晶のシスティナ礼拝堂」と呼んだ。

 別の洞窟では、温度が安定しなかったり、何らかの原因で環境が変わったため、もっと小さな結晶が形成された。だが「結晶の洞窟」では数十万年の間、環境が変わらないまま、ほぼ完璧な均衡状態が保たれ、結晶は着実に成長した。

「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

店長や売り場主任などの管理職は、パートを含む社員の声を吸い上げて戦略を立てることが重要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長