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21世紀のシュリーマンと津田梅子を育てよう!

中国・インドとの双方向の異文化理解がカギ

2008年12月5日(金)

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 歴史というのは、横並びにしてみると面白さが倍加する。例えば、1871年という年。日本では廃藩置県が実施され、華族・士族・平民間の婚姻が認められた。そして、当時はまだ米国に属していなかったハワイ国と修好通商条約が結ばれた。海外に目を転じれば、普仏戦争の勝利を受けてドイツ帝国が誕生し、米国では初めてのプロ野球リーグ戦が行われた年でもある。

 この年、「異文化理解」という共通項で結ばれる2人の人物にとって、大きな出来事があった。まず、シュリーマン。貿易商として成功したドイツ生まれのハインリッヒ・シュリーマンは、1871年トロイの遺跡発掘に成功し、世界を驚かせた。そして、津田梅子。1871年に出発した岩倉欧米使節団の中に、当時満6歳の津田梅子が含まれていた。以前このコラムでも触れたが、女子留学生5人のうちの1人として、その後11年にわたる米国留学に向かったのだ。

 ちなみに、津田梅子は新暦1864年12月31日、江戸牛込の生まれとされるが、シュリーマンはその翌年、清国に続いて日本を訪れている。明治維新にさかのぼること4年、まだ攘夷の動きが強く残る時期だったにもかかわらず、彼は横浜の外国人居留地だけでは飽き足らず、江戸の町も探訪している。梅子の父親津田仙は、英語の能力を買われて当時外国奉行に勤めていたので、ひょっとするとシュリーマンとどこかでニアミスしていたかもしれない、などと想像が膨らんでしまうところだ。

異文化の実体験と「肌感覚」

 この2人、私自身にとっては「異文化への希求」、そして「実体験」「肌感覚」というキーワードでつながる人物でもある。

 『シュリーマン旅行記 清国・日本』(講談社学術文庫)を読むと、シュリーマン自身の「中国、日本という未知の国をこの目で見たい。そして、その文化を理解したい」という強い思いが伝わってくる。他人が書いたものを読んだり、話を聞いたりという間接情報では飽き足らず、実体験し、その体験を自分自身の感覚として持ちたいということだ。

 例えば、江戸探訪。彼が日本を訪れた1865年は、先に述べた通りまだまだ攘夷の動きが残っており、欧米外交官の多くも江戸をいったん離れ、横浜の居留地に住んでいた。しかし、シュリーマンは江戸をこの目で見たいという思いを抑えがたく、例外的に江戸に残っていた米国の代理大使に頼み込んで招請状を出してもらい、同年6月24~29日の間、江戸見物に出かけた。

 そこでの見聞は、旅行記の丸々1章を成している。警護の幕府役人の反対を押し切って芝居見物に出かけては、演劇のレベルの高さに感心し、町を歩いては日本家屋とその内部を詳細に観察し、日本人の園芸愛好ぶりに感心する。

 あるいは、(往来から中がよく見えるほど開け放たれていた)銭湯が男女混浴なのに驚愕しながらも、「これは、日本人がヨーロッパ的な道徳観念を有していないというだけで、一方的にその良し悪しを判断すべきではない」という旨の感想をもらした。また、貧富を問わない毎日の入浴習慣から、「日本人が世界で一番清潔な国民であることは議論の余地がない」とまで褒めてくれている。

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「21世紀のシュリーマンと津田梅子を育てよう!」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官