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ビッグスリーの迷走と「適者生存の法則」

  • 神谷 秀樹

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2008年12月15日(月)

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 ビッグスリー(米自動車大手3社)への支援が揺れている。

 3社の内、GM(ゼネラル・モーターズ)とクライスラーは、年内に政府の支援を受けられないのであれば破産すると脅かし、どうにかして納税者による救済を得ようとしている。フォード・モーターは今のところ2社とは一線を画しているが、政府からのクレジットライン(信用与信枠)を受けたいと申し出ている。

 世論調査では、米国民の60%が自動車会社の救済に納税者の資金を使うことに反対している。150億ドルの年内緊急融資に関しては、下院は通ったが上院では事実上廃案となった。

 これを受けて、米政府は10月に成立した金融安定化法で設けた最大7000億ドルの公的資金枠を利用して、現時点で投入可能な150億ドルを大統領の権限で、今回のビッグスリー向けの支援に振り向けようとしている。金融システムの安定化に向けて投じるべき資金を、自動車会社の経営支援に充てるこの施策には、当然のことながら国民や議員の抵抗感は強い。

 ビッグスリーへの支援が迷走しているのは、なぜなのか。

破産をさせずに救済するのか、破産させてから救済するのか

 ビッグスリーの経営者は、支援を求める理由として、「破産したら顧客が離れ、誰も自社のクルマを買ってくれなくなってしまうため、破産を避けるために救済してほしい」と述べている。

 自社を破綻させたいという経営者はまずいないから、彼らの主張は経営者として当然のことを述べているまでだ。問題は、彼らにこのまま経営を任せていても、危機の状況が抜本的に改善されるわけではないことだ。

 ビッグスリーの財務諸表が物語っている。例えばGMは、今回のサブプライム危機が起きる以前の2004年12月期から営業赤字に転落し、2006年12月期には債務超過に陥っている(参考記事)。

 その一方で、自動車産業の裾野は広く、雇用確保など様々なことを考慮すれば、何らかの形で存続させる必要があるというのが支援賛成論者の意見だ。ただ存続とは、ビッグスリーの経営陣が望むような今の経営体制ではなく、日本の民事再生法に当たるチャプター11(米連邦破産法11章)を適用して行う方法もある。米国の航空会社の中には何度もチャプター11を適用されている会社がある。

 広大な国土を持つ米国では、航空会社は自動車産業と同様に重要な産業だ。航空会社がチャプター11を適用されているのに、ビッグスリーには適用をためらう合理的な理由はない。チャプター11を適用し、経営責任を明確にしたうえでならば、再建のために何らかの形で公的資金を投入するのは、今のような異常な信用収縮が起きている時にはやむを得ない面もあるだろう。

返済順位の優先化、出口戦略の明示、適任の経営監視役の選任

 チャプター11を適用すれば、公的資金の投入をDIP(Debtor In Possession)ファイナンスとして性格付けし、給与や退職者の福利厚生など他のあらゆる債権より返済順位を上位にすることも可能だ。

コメント12件コメント/レビュー

猛獣はもとより、ハゲタカなどの猛禽類でさえ必要以上の餌は求めない。野生動物にも劣り、相場に目を奪われた金融ビジネス等の虚業にうつつを抜かした権力者達のもたらした罪は計り知れない。会社の破産後においても、少なくとも経営陣の無限責任を課すことをしないと、今後とも健全な経済社会の発展は期待できない。(平民)(2008/12/17)

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いただいたコメント

猛獣はもとより、ハゲタカなどの猛禽類でさえ必要以上の餌は求めない。野生動物にも劣り、相場に目を奪われた金融ビジネス等の虚業にうつつを抜かした権力者達のもたらした罪は計り知れない。会社の破産後においても、少なくとも経営陣の無限責任を課すことをしないと、今後とも健全な経済社会の発展は期待できない。(平民)(2008/12/17)

すでにコメントされた方もおられますが、ビッグスリーは、市場に適応できなかったのではなく、特殊で広大なアメリカ市場に過剰に適応したという解釈も成り立つように思います。日本の企業と競争するより、利益も高く、開発費も節約できる車種で高いシェアを占めていたわけですので。結果論では、建設的な議論になりません。とすれば、現在の苦境は、企業が社会的責任を果たしてきたためという判断も成り立ちます。だからといって、経営者の莫大な報酬や自家用ジェットの保有を正当化することはできませんが。(2008/12/17)

自動車はアメリカの誇りであり、アメリカの文化そのものです。その自動車産業は大きすぎて潰せません。同じことを言えば、日本の自動車会社は派遣切りをして、生き残ろうとしていますが、そんな非道な事をするは社会に存在してはいけない。派遣を首にする会社すべて潰す。到底払いきれない制裁金を課すと政府が言い、本当にトヨタ、日産などを潰して、潰れた後に処理するとなったら、日本経済は死に、失業率は史上最高になるでしょう。同じ事をアメリカ人から言われたら、日本人はどう思うでしょうか?>ビッグスリーが潰れれば、むしろその廃墟から、本当に自動車を作りたくて仕方がない、かつての本田宗一郎氏やその仲間のような人々が輩出される。その人たちに資金をつけた方がより効果的と考えるのは、私だけではないだろう。無理です。創造的破壊は妄想の産物です。大恐慌の廃墟からは不幸や犯罪は産まれますが、創造は産まれません。戦争による破壊は、生産の壊滅であるが、大不況は需要の喪失です。生産設備がなければ、作れば売れますが、需要ない場合、経済が好転して、需要が出るまで、ものは売れません。サプライサイドの経済学は誤りです。今のアメリカで何の工業製品が作られているか。アメリカに住めばわかりますが、工業製品はほとんど中国などの外国製品です。たまに見かけるアメリカ製は、日本のブランドの現地生産です。電化製品はとっくの昔に、アメリカブランドの製品でも、企画、設計はアメリカでも、生産やそれにともなう技術は外国のものです。企画設計だけでは、多くのアメリカ人を雇うことはできません。失業率は上がります。数年前から、自動車もメキシコなどの海外生産が増えていました。ビッグスリーが倒産し処理されれば、自動車も企画、設計のみがアメリカで、生産は外国と言う状態になるでしょう。アメリカの自動車工場の工員のほとんどは、もう二度と自動車生産に携わる事はなくなるでしょう。(2008/12/17)

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