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過剰な食品企業バッシングにどう立ち向かうか

コンプライアンスを味方につけるための論理

  • 郷原 信郎

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2008年12月25日(木)

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 2007年、健康被害もなく、その恐れすらなかった消費期限切れ原料使用問題で企業が崩壊の危機に立たされた不二家問題を発端に、期限、産地などの偽装が相次いで表面化、全国の食品企業は社告・自主回収の嵐に巻き込まれた。

 そして、今年に入ってからは、中国製食品による健康被害事件で消費者の不安が一層つのる中で、健康への影響が全くないレベルの問題で商品の大規模な回収騒ぎが多発、食品業界は「不祥事」の嵐に見舞われている。

 このような危機的な状況を招いた原因は、消費期限、賞味期限の遵守、産地表示方法の遵守、品質基準の遵守というような、法令遵守のプレッシャーにさらされた食品企業が、遵守したかしなかったか、という現象面だけに目を奪われてしまったことにある。食品企業がそのような対応を続けている限り、バッシングを意識した過剰な対応が、さらに過剰な要求、過剰な対応につながるという負の連鎖を断ち切ることはできない。

 今、食品企業に必要なことは、そもそも社会からどのような要請を受けているのか、発生している問題の背後にはどのような社会的要請の対立があるのか、というコンプライアンスの観点から問題をとらえ、食品企業が真に社会の要請に応えていく方向性を明確にすることだ。

 食品企業に対する社会の要請を改めて整理・検討したうえ、健康被害の恐れのない大規模食品自主回収の典型と言える伊藤ハムの問題を題材に、「社会的要請への適応」という真のコンプライアンスの視点から、食品企業バッシングの問題点を考えてみたい。

食品企業に対する社会的要請とは

 市場原理の下での企業に対する第1次的な社会の要請は、需要に応えることだ。食品企業も、まず消費者が求める食品を供給しなければ企業として存立していくことができないことは言うまでもない。

 しかし、食品企業が応えなければならない社会的要請は、それだけではない。絶対不可欠なことは、食の安全を確保することである。食品による健康被害を起こさないことは食品企業に求められる基本的責務だ。

 しかし、最近の食品企業の不祥事で、この食の安全が直接的に問題になったこと、つまり現実に健康被害が発生したとか、その危険が生じたという例は少ない。むしろ、多くの不祥事の要因になっているのは、供給する食品の品質・価値について正確な情報を提供することという、もう1つの責務に関する問題である。

 食は人間の生活の最も基本的な要素である。どのような食品を摂取するのか、それは人間にとっての生活上の最も基本的な選択であり、その選択が自らの意思によって自己責任において行われるためには、摂取する食品についての情報が消費者にできる限り正確に提供されなければならない。

 消費者が求める情報には様々なものがある。まず「安全」に関する情報である。情報提供が求められる範囲は、客観的に安全かどうかとは必ずしも一致しない。例えば、食物アレルギーなど、特定の消費者だけに関する情報もある。客観的には全く危険がない場合でも、その情報が開示されないでもよいとは限らない。

 次に、「食品の味」を判断する要素となる情報も、消費者から強く提供が求められる情報である。難しいのは、この「味の良さ」に関する要素には、新鮮さ・ブランド・産地など多種多様なものがあり、一言で言えばイメージの影響力が大きい。優劣の判断が複雑で微妙で、何が重要な要素かという判断も容易ではない。それだけに、「味の良さ」に関して求められる情報も、実際の味覚に影響しないから重要ではない、とは必ずしも言えない。

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