「伊東 乾の「常識の源流探訪」」

タバコの煙と社会的責任

水パイプから考える「2次喫煙」

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2009年1月20日(火)

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 突然ですが、皆さんはタバコを喫(す)われますか? 

 Yesという読者も居られるでしょうし、最近はNoという方も増えているようです。このタバコの煙を例に、身近な「環境問題」を考えてみたいと思います。

百害あって一利ない「2次喫煙」

 喫煙? 非喫煙? 「そういうお前はどうなんだ?」と突っ込みが入りそうですが、私自身はタバコと非常にねじれた関係を持っています。それについては追い追いお話しするとしてタバコ、とくにその「副流煙」は「2次喫煙」の元凶として、昔から問題が指摘されていました。

 ちなみに「2次喫煙」とは、自分自身はタバコを喫わない人、例えば「お母さん」が「お父さん」の喫うタバコの煙を2次的に吸い込む現象を指す言葉です。この「2次喫煙」によって、お母さんの方が発ガンしてしまったりする。自分ではタバコを楽しまない人がガンになる「百害あって一利ない」のが「2次喫煙」で、様々な弊害が指摘されてきました。

 さて、2008年も年末になって、日本でも喫茶店などの「完全分煙」が普及しつつあります。私の家のそばのマクドナルドも、ガラス張りの喫煙ゾーンが設けられて「完全分煙」が実施されるようになりました。

 この「タバコの煙」くらい身近で分かりやすい「環境問題」のケーススタディーはないと思いますので、「常識の源流探訪」の連載を始めてこの方、ずっとこの「タバコ」の話を取り上げたいと思ってきたのです。

 実はその伏線を1年以上前から張っているのです。ページの一番下、筆者紹介のところについている私の写真、これ、実はタバコを喫っている写真です。ちょうど1年前、2008年のお正月にこの写真にしてから1年間、来週こそは、来月こそは「タバコの話」を、と思いながら、ついに「全面リニューアル」を越してしまうことになりました。

 去年のお正月にある新聞に書評を書いた時、やはりこの写真を使ったのですが、担当者の方がバグパイプなど楽器を吹いているように誤解しておられました。なるほど、分かりにくいかもしれないと認識したまま、1年以上経ってしまったわけですが、「種明かし」で、この写真の「全景」をお目にかけることにしましょう。

写真

実はイスラムの水パイプ「シーシャ」を喫っていたのです

 私がタバコを喫うか、喫わないか、という問いへの答えは、Yes & No というものです。いわゆる紙巻きタバコの類を、現在私はほとんど喫いません。ニコチンへの依存なども持っていません。しかし時折、イスラム圏の水タバコ「シーシャ」は喫うことがあります。この写真を撮ったのは2007年の12月、作曲家シュトックハウゼンの葬儀に出た帰りにドイツのケルンで、よく行くレバノン料理屋で「来年から水パイプが喫えなくなる」と聞いて、ではこの話題を「常識の源流探訪」に、と思って撮ったのでした。

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著者プロフィール

伊東 乾(いとう・けん)

伊東 乾

1965年生まれ。作曲家=指揮者。ベルリン・ラオムムジーク・コレギウム芸術監督。東京大学大学院物理学専攻修士課程、同総合文化研究科博士課程修了。松村禎三、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズらに学ぶ。2000年より東京大学大学院情報学環助教授(作曲=指揮・情報詩学研究室)、2007年より同准教授。東京藝術大学、慶応義塾大学SFC研究所などでも後進の指導に当たる。基礎研究と演奏創作、教育を横断するプロジェクトを推進。『さよなら、サイレント・ネイビー』(集英社)で物理学科時代の同級生でありオウムのサリン散布実行犯となった豊田亨の入信や死刑求刑にいたる過程を克明に描き、第4回開高健ノンフィクション賞受賞。科学技術政策や教育、倫理の問題にも深い関心を寄せる。他の著書に『表象のディスクール』(東大出版会)『知識・構造化ミッション』(日経BP)『反骨のコツ』(朝日新聞出版)『日本にノーベル賞が来る理由』(朝日新聞出版)など。



このコラムについて

伊東 乾の「常識の源流探訪」

私たちが常識として受け入れていること。その常識はなぜ生まれたのか、生まれる必然があったのかを、ほとんどの人は考えたことがないに違いない。しかし、そのルーツには意外な真実が隠れていることが多い。著名な音楽家として、また東京大学の准教授として世界中に知己の多い伊東乾氏が、その人脈によって得られた価値ある情報を基に、常識の源流を解き明かす。

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