「「ナショナル ジオグラフィック日本版」編集長の「地球からの報告」」

知られざる米国大統領の日常

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2009年1月21日(水)

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 2009年1月20日、米国が建国されて以来受け継がれてきた行事がまた繰り返される。新しく選ばれたバラク・オバマ大統領の下、閣僚の顔ぶれは一新する。しかし、大統領の私生活を支えるホワイトハウスのスタッフの仕事が大きく変わるわけではない。「ナショナル ジオグラフィック日本版」の1月号では、ホワイトハウスを支えるスタッフたちにスポットを当てた。

 官邸の常勤スタッフは、いつもと同じように大統領のベッドを整え、厨房スタッフもこれまで通り料理の支度をする。各種記者会見やセレモニーなどが行われるローズ・ガーデンと呼ぶ庭園では、庭師が毎年秋にチューリップの球根を植え、春には見事な花を咲かせる。



大統領専用機のエアフォース・ワン。
大統領専用機のエアフォース・ワン。

 大統領の身の回りと食事の世話には数百人のスタッフがあたる。だが、米国で最もよく知られた住所である、ワシントンD.C.のペンシルベニア通り1600番地に立つホワイトハウスの内側で、日々どんなことが行われているかを理解している外部の人はほとんどいない。

 「ファーストファミリー」と呼ばれる米大統領の家族がホワイトハウスに住むのは任期中だけ。「大統領選に合わせて4年契約か8年契約でここに住むようなものです」と、ホワイトハウスで主任責任者を務めたゲイリー・ウォルターズは言う。米大統領は世界で最も強力な権力をもつ最高責任者だが、それを取り巻くスタッフや習慣、システムは、長い間ずっと変わらないこともしばしばだ。

 ウォルターズはこのことを人一倍よく知っている。彼は、ジェラルド・フォード第38代大統領(1974年8月〜77年1月)から、ジョージ・W・ブッシュ第43代大統領(2001年1月〜09年1月)まで、31年間もの長きにわたって米国で最も有名な場所の責任者を務めた。

 2007年に退職するまで、ウォルターズは6人の大統領の任期と、国内外で起きたさまざまな危機を目の当たりにしてきた。彼の役目は、執事やメード、料理人、接客係、エレベーター係、生花の管理を担当するフローリスト、歴史記録係、大工、電気工、配管工など90人から成るスタッフとともに、ホワイトハウスの維持管理にあたることだ。

 言ってみれば世界で最も限定された客しか受け入れないホテルを運営するようなものだ。ここがホテルと違うのは、住居、オフィス、米国の歴史が刻みこまれた博物館、国家レベルの社交の場という4つの機能をあわせもつ建物ということだ。信じられないかもしれないが、ホワイトハウスは1週間に最大3万人もの客を迎え入れることもある。

 陸軍の退役軍人であるウォルターズは、かつてエグゼクティブ・プロテクティブ・サービス(現在のシークレットサービス制服部隊)の警護官でもあり、9時から5時という通常の業務時間では決して終わらない仕事を、軍隊並みの正確さで、最大限に思慮を尽くして実行した。



専用リムジン。
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藤田 宏之(ふじた・ひろゆき)

『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長。1987年に日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社。『日経ベンチャー』『日経ビジネス』の編集などを経て、2007年4月から現職。『ナショナル ジオグラフィック』は米国ワシントンD.C.に本部を置く1888年設立のナショナル ジオグラフィック協会が発行し、世界約180カ国で850万人が購読する月刊誌。自然・野生動物・社会・文化・探検・科学など、地球とそこに生きるすべての生き物の営みを、世界の一流写真家が撮りおろす美しく迫力に富んだオリジナル写真と、正確で臨場感あふれる記事で紹介している。このコラムは『ナショナル ジオグラフィック日本版』の最新号の特集から、その内容を要約して紹介する。

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