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不況の今こそ、数字より質の追求

  • 神谷 秀樹

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2009年2月2日(月)

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 米国の「レノックス」、英国「ウォーターフォード・ウェッジウッド」と、ここ最近、老舗ブランドが相次いで破綻した。ここ最近の不況を考えると、これも仕方がないのかもしれない。だが両ブランドとも愛用しているだけに、この先の両社の行く末が心配でしょうがない。

 「レノックス」はクリスマス専用のお皿とティーカップのセットを20年ほど前に揃えた。毎年我が家のクリスマスの食事はいつもこの皿に盛られる。一方の「ウェッジウッド」も同じ頃に、フォーマルな食器を揃えた。ロンドンの店で注文し、届くのに9カ月くらいかかった。これだけ時間がかかったのは「注文生産」だったからだが、店でそれを聞いた時に「なるほど」と思ったのを今でも覚えている。

高級ブランドの破綻にはパターンがある

 ロバーツ・ミタニの仕事としてブランド企業のアドバイスをしているので、どうしたらこのような老舗の価値を高められるのか、または破綻させないのかという経営問題について長年、考えてきた。筆者なりに分かったことは、破綻の理由には、いくつかの決まったパターンがあることだ。

 第1は「売れるから」と言って拡大経営に走ることである。拡大すれば、質が追いつかなくなり評判が落ちる。設備投資、運転資金が大きく張る一方、業績は景気に大きく左右されるようになる。公開した企業、ファンドに買われた会社にはこうした道をたどるところが多い。

 東京の銀座や青山などに大きな店を出した欧州ブランドなどにも、今後こうしたことが起きるケースは増えるだろう。日本の高級ブランド市場の売り上げ規模は、かつて全世界の40%も占めていたのに、最近では10%までに縮小している。

ストラディバリウスも、おでん屋さんも同じ

 これに対して業容を拡大しない「家業」の老舗はまず潰れない。私がよく例に出すのは弦楽器のストラディバリウスだ。バイオリンが有名だが、チェロとなると1年に3台しか作れないそうである。

 彼らの商品は、高価で売れる。売れ残りの心配など全くないと言っていい。だからと言って、彼らが「作れば確実に高価で売れる」と言って、年に30台、300台と生産するようになったら、先行きは暗いものになるだろう。現在の質を維持できるとは思えないからだ。

 これは高級ブランドに限らない。よく例に出すのが、おでん屋さんだ。屋台1台で営業するおでん屋さんも、絶対に潰れない。「あそこのおでん屋はおいしい」と評判が立ち始めたからと言って、借金していくつも店を持ち始めれば、いつかは味が落ち、せっかくの評判もガタ落ちになってしまう危険が高まる。屋台1台であれば、顧客はすべて常連。現金商売で毎日必ず儲かる。

老舗の経営は、近代経営論に馴染まない

 経営者や株主が、自分たちのブランドの価値がどこから生まれているのかを見失う場合も、先行きは暗い。そうした経営者や株主が支配するブランドは、販売拡大もしくは経費削減に走り、商品価値を生んでいる技術をないがしろにする傾向にあるからだ。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官