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生き物のような究極のエコカー

本田技術研究所・藤本幸人上席研究員(FCXクラリティ開発責任者)
誌面連動インタビュー(2)

2009年1月27日(火)

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 「環境で、トヨタにお株を奪われた」という危機感を持つホンダが、ブランドイメージのけん引役として投入したのが、燃料電池車の「FCXクラリティ」だ。水素が燃料で、走行する時に二酸化炭素を全く排出しない「究極のエコカー」で、2008年11月末から国内でリース販売を開始した(1年単位の契約で月額80万円)。

 日経ビジネス1月26日号のホンダ・福井威夫社長「リーダーの研究」連動インタビューの第2回では、FCXクラリティの開発責任者、藤本幸人上席研究員が戦略を語った。

問 「燃料電池車」という言葉からは、実験的なクルマをイメージする。しかし実際に「FCXクラリティ」に乗ってみると、デザインは近未来的であるものの、乗り心地や使い勝手は普通のクルマと変わらないような印象を受ける。開発する上では何を重視したのか。

FCXクラリティは「究極の環境車」と自信を見せる藤本幸人上席研究員

FCXクラリティは「究極の環境車」と自信を見せる藤本幸人上席研究員
写真:都築雅人

 一目で未来を感じることができる――。そんなクルマを目指した。外観のデザインや駆動システム、燃料電池の技術革新もあるが、運転席に座るだけで、違いが分かるように細かな工夫をしている。

 例えば、メーター類。燃料消費計は丸いボールのような形になっており、水素が電気に変わっていく様子を、ボールの形や色で表現している。たくさん水素を消費している時はオレンジ色っぽく変わる。消費量が少ない時はブルーになる。生き物があたかも動いているように見えるようにした。燃料電池車は二酸化炭素でなく、水を排出する。生物のような有機的な存在感をアピールしている。

 ただし“リアルな未来”を目指した。日常的に使っても満足できる、快適な乗り心地や使い勝手だ。運転席に座って、アクセルを踏んだ瞬間に、グッと反応があってグィーンと加速する。普通に運転していて、楽しいクルマだ。後部座席でも、ゆったり快適にすごすことができる。十分なトランク容量やドリンクホルダーなど普通のクルマとしての機能も備わっている。

問 ホンダは以前から燃料電車に取り組んできた。2002年には「FCX」を開発した。今回のFCXクラリティでは技術的にはどのような部分で進化しているのか。

 心臓部を進化させた。燃料電池車は、ガソリン車の燃料タンクの代わりに「FC(燃料電池)スタック」を搭載しており、そこに酸素や水素を入れた板が入っている。他社はカーボンの板を使っていたが、我々は、ステンレスの金属板を採用した。電解質膜も、業界では「フッ素」が主流だったが、我々は炭化水素系の「アロマティック」を使っている。

 独自のやり方にこだわるのは、量産を視野に入れているからだ。燃料電池車を普及させるには、大量生産する必要がある。FCXクラリティのために、ホンダは栃木県に専用の製造ラインも作った。カーボンの板は成型するために、焼成する必要がある。しかし薄いステンレスの板なら、得意のプレス技術で作ることができる。アロマティックの電解質膜も、フッ素より耐久性があり、温度変化に強く、マイナス30度の寒さでも始動する。

 新技術を開発することで、FCスタックは従来と比べて重量で約3割、容積で約2割、小さくすることができた。最大出力は100kWに向上させている。さらにモーターの出力も15kW高めて100kWにした。小型化しても性能が向上したことで、走行可能な距離は約200km伸び、600kmに達した。長距離移動でも全く問題がない。

 FCスタックの小型化によって運転席と助手席の間の「センタートンネル」部分に、FCスタックを垂直に立てて設置することも可能になった。従来は水平に設置していたが、縦置きにした方が、水素を燃やす際に、発生する水を、排出する上で効率がいい。重力の力で水が自然に下に落ちていくからだ。

 問 FCXクラリティが、小型化と高性能化を実現し、結果的に普通のクルマのような使い勝手を実現したことは素晴らしいことだ。しかし販売計画は、日米で200台と少ない。わざわざ量産ラインを作ったのに、もったいない気がする。

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「生き物のような究極のエコカー」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス記者

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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