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日本アニメの「ガン」になる「喫煙シーン」

2009年1月27日(火)

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 今回も前回に引き続いてタバコのお話です。最初に読者の皆さんの中で、喫煙の経験のある方にお尋ねします。最初にタバコを喫われたのはいつでしたか? それはどんなキッカケで、どんな感想を持たれましたでしょうか?

 ためしに身の回りで同じ質問をしてみたところ、ほぼ全員が「10代後半」という答えでした。法律上、タバコは20歳を過ぎてから、のはずですから、ほぼ全員が違法行為をしていたことになります。4割ほどは、中学・高校生時代から喫い始めたとのことでした。半分ほどは、大学に入ってから、あるいはそれと同時に下宿生活を始めてから、という答え。大人数を対象に調査すれば、どんな結果になるのか、興味がありますが、元来が法に触れる話ですから、改まって調査をしたら「20歳になってから」「成人式から」といった答えが増えてしまうかもしれません。

 なぜかこの国では、大学生になると酒タバコは解禁になる風習があるようで、高校生が酔っ払っていたりタバコをくわえていたりすると停学になったりしますが、大学のサークル・コンパでの飲酒喫煙は大半の人が何も言いません。また高校や大学に進まず、実社会に出ている人に関しては、喫煙も飲酒もほとんど問題にされないように思います。たぶんこんな中から、酒やタバコの習慣が身についてゆくのでしょう。

「恩賜のタバコ」と原体験

 私が小学校5年生頃のことだったと思います。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの「スモーキン’ブギ」という曲がヒットしました。

 「初めて試したタバコが ショートピース」といった歌詞の、ちょっと不良がかった高校生?がタバコに染まり始める頃の心情を歌ったナンバーで、PTAなどがヒステリックに「青少年に悪影響!」と反対していた記憶があります。

 これが流行っていた頃、小学生の私にとってタバコとは、実感はないものの、父親の生命を奪ったもの、憎むべきものという印象を持っていました。私の父は1972年、転移性肺がんのために46歳で亡くなりましたが、この時私は小学1年生で、いろいろな出来事を、まだよく理解することができずにいました。

 父がタバコを覚えたのは、学徒出陣で入営した関東軍時代、軍事ヒエラルキーの最底辺にあった陸軍二等卒としてだったようです。ストレスフルな陸軍生活の中で「恩賜のタバコ」をトランキライザーに使っていたのでしょう。やがて1945年の敗戦後、敗軍の兵としてシベリアを逃げ回っていた父は、ソ連軍に捕まり、ラーゲリと呼ばれる強制収容所で凄まじい生活を送り、国際赤十字の視察で救い出してもらって奇跡的に生還することができました。この間の彼の喫煙状況も不明ですが、タバコは強制収容所で物々交換の通貨代わりに使われることがあったらしいことを、帰還者の手記で読んだことがあります。

 いずれにせよ、何とか生きて帰ってきた父は、まず肺結核になり、次にそれが背骨に入って(脊椎カリエス)ベッドの上に置かれた板切れのような「舟」に括りつけられて、下腕部しか動かせない時期が5~6年続いたようですが、この時期も限られた本数のタバコは喫っていたようです。

 30を過ぎて何とか社会復帰してからは、ハイライトのチェーンスモーカーになりました。40で結婚、46の春に変な空咳が出るので、調べてみたところ「余命3カ月」で、実際にはそれから7カ月生きましたが、1972年の1月、転移したがん細胞が呼吸中枢を圧迫して、心肺停止に至りました。

コメント24件コメント/レビュー

逆に日本のアニメに登場するドラッグやそれを使う人に関する描写がすべてネガティブなイメージになっているのが欧米人には不思議に見えるようです。洋画を見ていると悪くてカッコイイ小道具としてドラッグが使われているのでこの辺りは対称的だと思いました。(2009/01/30)

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いただいたコメント

逆に日本のアニメに登場するドラッグやそれを使う人に関する描写がすべてネガティブなイメージになっているのが欧米人には不思議に見えるようです。洋画を見ていると悪くてカッコイイ小道具としてドラッグが使われているのでこの辺りは対称的だと思いました。(2009/01/30)

タバコは学生時代に少し興味本位で吸って会社に入ってしばらくしてから止めました。ビジネスとして考えたときにマーケッティングをしっかりして相手に受入れられるものを提供する、ということには同意しますが、欧米の偽善的な社会への対応は疑問です。タバコの値段が高いのは結構ですが、日本に比べて離婚率は高い、暴力犯罪・殺人罪・性犯罪は多い、銃は所持している、なんでも訴訟して金を取ろうとする。聖書を片手に大統領が就任しているのに、戦争は仕掛ける。そういう人たちには非難されたくないですね。暴力シーンを見て、「痛そう」と感じれば、逆に暴力をふるわなくなると思いますが。むしろシーン的には、ド○ゴン○ールのように、何度殺されても生き返るのは、「殺しても生き返るから大丈夫」と信じてしまう子供が出てくるのが怖い。痛みを感じ、死んだら生き返らないのだ、取り返しがつかないのだ、という殺生の実態をきちんと子供の頃から教え込むのがもっと重要だと思います。家族愛を強調したハリウッド映画が多いのも離婚率の高さの影響です。お笑い芸人のはたきシーンを見ても日本人が笑っていられるのは、お笑いネタとして認識してみているからであり、実生活でも欧米に比べて暴力が少ないからです。欧米が神経を尖らせているのは、そういう実態が多いことの裏返しでしょう。(2009/01/29)

煙草に限らず、「色々な事象があって、色々な考えの人が、色々な方法でもって、それに触れている」ということを教えるのが教育であり、健全な育児だと思います。不自然に喫煙シーンを削って「そんな事象始めっから世界には存在しないよ。考えることなんて無意味すぎるから許さないよ。触れるなどもってのほかだよ」と働きかけるのは一種の思想統制であり、洗脳です。現実世界で同じようにタバコが絶滅して人々の記憶から消え去っているならまだ意味もあるでしょうが、煙草も喫煙者も存在している世界の子供相手にそれをやるのはかえって危険なように思います。煙草に遭遇した時の自分なりの身の振り方というものを考えさせないわけですから。予断。アメリカではコミックの表現規制が激しく、主人公の両親が離婚していてはダメ、主人公が犯罪しててもダメ、愛し合っている両親のもとで健全に育ちHAHAHAと笑ってるようなナイスなガイしか主人公にできないから、似たり寄ったりのスーパーヒーローが悪役をこらしめる話しか作れないそうです。で、その規制が功をなしてアメリカの子どもたちは健全でナイスなガイばかりかと言うと全然これっぽっちもそんなことはなく、彼等の両親は一秒に何組という割合で離婚しつづけています。(2009/01/29)

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三品 和広 神戸大学教授