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怒鳴られながら学んだ本田宗一郎の哲学

元ホンダグランプリチーム監督 秋鹿方彦氏

2009年1月28日(水)

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 創業者の本田宗一郎氏が情熱を燃やしたホンダの2輪レース参戦を、1950年代の黎明期から約30年間支えて続けてきた男がいる。元ホンダグランプリチーム監督の秋鹿方彦氏だ。浅間火山レース、マン島TTレース、WGP(ロードレース世界選手権)のために、世界を転戦し、数多くの勝利と敗北を経験してきた。日経ビジネス1月26日号の「リーダーの研究」連動インタビューの第3回では、レース活動を通じて創業者から学んだホンダのDNA(遺伝子)を、秋鹿氏が語った。

ホンダで30年以上レース一筋だった秋鹿方彦氏

ホンダで30年以上レース一筋だった秋鹿方彦氏
写真:陶山勉

 本田宗一郎さんに叱られながら、30年以上、2輪車のレースをやってきました。とにかく無我夢中でしたね。当時のホンダの社員は、みんなそうだったと思いますよ。宗一郎さんの情熱に引っ張られて、何十年も走ってきました。

 1950年代に、私がレースを始めた頃は、研究所の勤務時間は朝8時15分から午後4時半でした。宗一郎さんは朝8時に来てから夜遅くまでずっといて、陣頭指揮を取っていました。

 1日に、何十回も現場で大声で指示を出していました。「ああしろ」「こうしろ」「ここはまずいよ」「おい、そんなやり方は街の修理屋さんにできるのかよ」。毎日がこんな感じでした。宗一郎さんは、1954年に世界最高峰のレース「マン島TTレース」に出場することを宣言しましたが、社内の人間には全く知識がなく、経験も不足していました。みんなど素人もいいところで、一人前のプロに部下を育てる役目は、すべて宗一郎さんが担っていました。

みんなの気持ちとチームワークを忘れるな

 怒りっぽいことで有名な宗一郎さんですが、私もこっぴどく叱られたことがあります。1957年の第2回「浅間火山レース」の前のことでした。マシンの整備をしている時に、シリンダーヘッドが10個くらい運び込まれてきました。それを手仕上げで修正していきます。夜中に1人で作業をしていると、誰かが後ろに立っている。

怒鳴り散らすことも多かった本田宗一郎氏

怒鳴り散らすことも多かった創業者の本田宗一郎氏

 オヤジさん(宗一郎さん)でした。私は修正を終えたシリンダーを横に積んでいましたが、それを見つけたオヤジさんに、「おい、なんだこれは、なんでこんなところに傷をつけたんだ」と怒鳴られました。修正するいい道具がなかったので、私はモーターが付いた電気ドリルの先に、研磨剤をつけて磨いていました。部品の表面をかすると傷がつくので、テーピングをしていたのですが、テープが薄くてシリンダーに傷が残っていたのです。

 「なんで俺が怒ってるのか分かっているのか。このシリンダーヘッドが完成するまでに、どれだけ多くの人の手を経たか考えたことがあるのか。10人や20人じゃないぞ。鋳造するための木型、機械加工や熱処理をして、何十人の手を経てきたものを“おしゃか”にしたらだめだろう」。私は直立不動でその言葉を聞いていました。

 その時は気づきませんでしたが、後から振り返ってみると「みんなの気持ちを考えろ。チームワークを忘れるな」とオヤジさんは言いたかったのでしょう。「1人じゃ何もできない。大勢の力で、1台のマシンはできているんだ。チームで仕事をし、全員の力を合わせることが大事なんだ」という考え方を様々な場面で感じました。

コメント1件コメント/レビュー

本田宗一郎氏は、私が最も尊敬している経営者です。どれだけ怒鳴ろうとも、人を惹きつけてやまないのは、彼の経営哲学の中心にいつも人を置いているからだと思う。自分が、いつも大事にしている彼の言葉がある。それは、「人間は本来、夢や希望を抱いてその実現のために思考し、創造する自由で個性的な存在である。また、自立した個性を尊重しあい、平等な関係に立ち、信頼し、持てる力を尽くすことで共に喜びを分かち合うことである。」経営における人の存在をこのように表現できる経営者がどれだけいるだろうか。(2009/01/28)

「リーダーの研究「赤字とトヨタに挑む」 ホンダ 福井威夫社長」のバックナンバー

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「怒鳴られながら学んだ本田宗一郎の哲学」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

本田宗一郎氏は、私が最も尊敬している経営者です。どれだけ怒鳴ろうとも、人を惹きつけてやまないのは、彼の経営哲学の中心にいつも人を置いているからだと思う。自分が、いつも大事にしている彼の言葉がある。それは、「人間は本来、夢や希望を抱いてその実現のために思考し、創造する自由で個性的な存在である。また、自立した個性を尊重しあい、平等な関係に立ち、信頼し、持てる力を尽くすことで共に喜びを分かち合うことである。」経営における人の存在をこのように表現できる経営者がどれだけいるだろうか。(2009/01/28)

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