「リーダーの研究「赤字とトヨタに挑む」 ホンダ 福井威夫社長」

顧客満足度「日本一」のトップが語る
殴ってでも教えたい“家族愛”

ホンダカーズ中央神奈川 相澤賢二会長

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2009年1月30日(金)

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 顧客満足度(CS)日本一を11年連続で獲得したホンダカーズ中央神奈川(大和市)。相澤賢二会長は「100年に一度の不況でも、不安はない」と言う。殴るくらいの勢いで社員を叱り、茶髪の社員がいたら黒く染め直させ、社員全員で店舗前の国道を2km清掃させる。日経ビジネス1月26日号の「リーダーの研究」連動記事の4回目では、ホンダカーズ中央神奈川の相澤会長が、逆境だからこそ大事な“家族愛”の経営を語る。

問 信じられないくらいクルマが売れない時代です。2009年の国内市場の規模はピーク時の6割にまで縮小する見込みです。顧客満足度ナンバーワンでも、影響は大きいのではないでしょうか。

 景気低迷の影響はもちろんあります。2008年のクルマ販売は、通年では好調でしたが、11月、12月は前年比で約18%減少しました。2007年10月末に発売された「フィット」が、たくさん売れた反動があり、それに加えて今年2月6日に発売されるハイブリッド専用車の新型「インサイト」の影響もある。低燃費、手頃な値段、豊富な収納スペースの戦略車ですが、そのためにほかのホンダ車と競合し、買い控えが起きているのです。

 もちろん環境がかつてなく悪化しているのは間違いありません。当社は神奈川県内に20店舗展開していますが、工場で働く人が職を失うケースが増えている地域もあります。お客様の購買意欲が目に見えて落ち込んでいることは、日々感じています。

 それでも私には不安がありません。一番大切なことは変わらないと信じているからです。地域のみなさんからの信用と信頼です。私たちは、毎朝お店の前の国道を2km掃除しています。それを見て、「このお店で買いたい」と言ってくれる方がたくさんいます。

 従業員には、「とにかくお客様の気持ちになって、考えろ」と言っています。メーカー(ホンダ)はいろいろな新車を発売しますが、「お客様に本当に喜んでもらえる」と自信が持てるクルマだけを勧める。例えばインサイトが出ることが分かっていれば、発売の2カ月以上前で、在庫がある商品を売りたくても「もうすぐいいクルマが出ます」と正直に言わないといけない。

 そうしないと売った時は良くても、後でお客様が後悔します。そうなるとその評判が、周囲の人に伝わって、我々からクルマを買ってもらえなくなります。売れない時代だからこそ、お客様に対して誠実でなくてはいけません。

問 クルマ自体の商品力よりも、従業員の姿勢の方が、販売においては重要だとも言えます。高い顧客満足度を実現するカギは何ですか。

 商品が何であろうと、人が人に売るということは変わりません。だから「気持ちのいい人」「やさしい人」から買いたいとお客様は考える。大事なのは「人間力」です。

 だから従業員に対しては、自分の家族に接するような姿勢で、本気で叱って、鍛えています。間違ったことをすれば、「ふざけるな、この野郎」と怒鳴る。時には手が出ることもありますが、家族ならそういう時もある。当社には社員が300人いますが、かなり激しく鍛えた反動で辞める人もいます。売り言葉に買い言葉で、私はつい「お前なんか、いらないよ」と言ってしまう。

 しかし、いったん辞めても戻ってくる人が実に多い。社員のうち26人が、一度辞めてからもう一度入社した「出戻り」です。現在の社長もその1人。いったんは上場企業に転職しましたが、「人に無関心なのが嫌だ」と言って、帰ってきました。それを見ると、ほかに辞めた人も、もう一度受け入れてもらえるかもしれないと考える。送別会をしてから4日で、戻ってきた人もいます。「いくらなんでもそれはないだろう」と言いたい気持ちはありますが、1回辞めた人はそれまでの2倍働きますよ。負い目があるから。

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