「底入れの時期がいつになるかというのは、現時点では予想不可能」「世界同時不況の波が日本にもひたひたと押し寄せている」――。
この国の経済財政を担当する与謝野馨大臣は、そう言った。
大手企業は相次ぎ業績を下方修正し、今年3月までに12万5000人の非正規労働者が職を失うという。その先に見えるのは、未曾有の消費大不況。国内最大の小売業、セブン&アイ・ホールディングスのトップ、鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者)の危機感は頂点に達している。
俺が作ったものは、俺が壊す――。
そう言わんばかりに、約1万2000店のコンビニエンスストア、約180店の大型スーパー、約220店のスーパー、28店の百貨店などを統率する総帥は、最後の大仕事に取りかかる。
グループの原点であり中核を成すイトーヨーカドーを壊し、今もなお業績低迷に喘ぐ西武百貨店やそごうを作り直す鈴木会長。高収益企業のセブンイレブンですら「限界はない」と新たなビジネスモデルを模索する。
ヨーカ堂に入社してから45年、76歳になった鈴木会長が、自己破壊の掛け声とともに挑む「100年に1度の不況」破壊を語る。
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長(写真:清水盟貴)
ご存じのように、バブル崩壊の時は国内だけの問題でしたが、今回は、米国が引き金。日本に対する影響はそれほどないんじゃないかと言われていたけれども、実際には完全に世界大不況の中に巻き込まれたという感じですよね。そういう意味では、近年、日本とすれば経験したことのないような状態にある。
さらに問題なのは、日本経済自体が、相当安定した状態にあったよね。そこへ、こういう衝撃を受けたということですから、このショックは非常に大きい。加えて、消費も盛り上がりを全く見せない落ち込みにきている。二重苦、三重苦のような状態になっていることが、今の日本経済の実態じゃないかと思います。
消費の飽和に急激な不況のダブルパンチ
これは前からずっと言っているけど、要するに、消費が飽和の状態にきていた。日本経済全体の景気がよいと言われていたけれども、我々流通の側から見ると、決してよくなかった。じゃあ、みんな生活に困っていたかというとそうじゃなくて、商品が豊富だったから、その中で慌てて商品を買うこともなかったということです。
それが今度一挙に、ある人たちにとっては買えないという状態になり、そうは言いながらも消費は飽和の状態だから、慌てて買う必要がない人もいる。完全に消費そのものがシュリンクしちゃっている。
だから、やはり我々の企業としての生き方というものも変えなくちゃいかんということは、言っていました。食品でも衣料でも、住居でも何でもそうだけど、質というものを重視しながら、やはり価格というものをより意識しなくちゃいかんということを、昨年あたりからずっと言っていたわけです。それがここへきて変化が激しくなっているから、加速して徹底させている。
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