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脳は「セクシー広告」がお嫌い?!

ニューロマーケティング〜話題の新手法の実力【その3】

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2009年2月14日(土)

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 昨年10月に米国で出版されたニューロマーケティングの本がベストセラーとなり、マーケティング関係者の間で話題となっている。

 著者は、「五感ブランディング」という新たな手法を提唱し、ブランドマネジメントの専門家として頭角を現したマーチン・リンストローム氏。日米英など5カ国で行ったニューロマーケティングの実験結果をまとめた。

 その多くは、これまでのマーケティングや広告宣伝の“常識”を覆す内容。ニューロマーケティングが現在の消費者調査の限界を克服する可能性を示した。


マーチン・リンストローム氏

マーチン・リンストローム氏
(Martin Lindstrom)

リンストローム・カンパニー会長兼CEO(最高経営責任者)。1970年デンマーク生まれ。従来の視覚や聴覚だけでなく、触覚や味覚、嗅覚までを含めたすべての感覚に訴求してブランドの認知を強化し、ブランド価値を高める「五感ブランディング」の提唱者。2005年から博報堂のアドバイザーを務める。主な著書に『五感刺激のブランド戦略』(ダイヤモンド社)、『Buyology』の日本語版である『買い物する脳』(早川書房)など。

(写真:陶山 勉、以下同)

 マーケティング関係者の間で関心が高まっているニューロマーケティング。それは、脳科学のアプローチを応用して人間の消費にかかわる心理や行動を解明しようとする試みである。2004年頃から欧米で盛んになり、日本でもここ1〜2年の間に具体的な取り組みが見られるようになった。

 このニューロマーケティングをテーマとしているにもかかわらず、リンストローム氏の著書の原題や表紙には、ニューロマーケティングという言葉が見当たらない。

 原題は、『Buyology: Truth and Lies About Why We Buy』。日本語版は『買い物する脳』(早川書房)だ。

 原題のBuyology(バイオロジー)は、「Buy(購入する)」という動詞と、学問を意味する接尾語の「ology」とを足し合わせたリンストローム氏の造語だ。「消費者の購買行動を解明する学問」といった意味である。

 このような新語を考案したのはなぜなのか。

「消費者調査の革命」が起きる

 「ニューロマーケティングによって起きつつあるのは、消費者調査の革命。それを言い表すのにニューロマーケティングという言葉は適切ではないと思ったからだ」とリンストローム氏は説明する。

 確かにニューロマーケティングの目的は、被験者の脳の反応を測定することを通して、消費者の嗜好や購買行動を明らかにすること。それはマーケティングの一部でしかなく、同氏の主張にも一理あるだろう。

 「消費者調査の革命が起きる」と言うのは、グループインタビューやアンケートといった現在の調査方法では把握できない人の潜在意識を解明できる可能性があるからだ。

 リンストローム氏によれば、人間の行動の85%は無意識のうちに行われている。潜在意識という未知の領域を開拓できれば、消費者調査のあり方が大きく変わり、新たな知見が得られるだろう。

 実際、『Buyology』で紹介されている実験では、マーケティングや広告宣伝のこれまでの“定説”をひっくり返すような結果が出ている。その内容を見ていこう。

アンケートでは「嫌い」と答えていたが…

 実験は日本、米国、英国、ドイツ、中国の5カ国で2004年から3年にわたって行われた。計2000人余りが被験者として参加。脳科学の世界的な権威たちと共同で、テレビCMなどの広告の評価や商品ブランドの認知度などを調べた。

 実験に使用した脳の測定機器は、MRI(磁気共鳴画像装置)とSST(定常状態トポグラフィー)の2つだ。

 脳内の血流の変化から活性化している部位を突き止めるMRIには、活性化した部位をミリ単位で把握できるという利点がある。その半面、血流の変化を捕捉するために、被験者が寝台の上で仰向けに横たわっている状態を保たなければならないという制約がある。

 一方、脳波を測定するSSTは、MRIのように活性化した脳の部位を詳細に把握することはできない。だが、機器を持ち運べるので、被験者が移動している状態でも脳波を測定することが可能だ。店舗で買い物をしている最中の被験者の脳波を測ることもできる。

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著者プロフィール

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス記者。日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経ビズテックの記者を経て、2005年12月日経ビジネス記者。2010年4月から現職。

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