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「企業戦士」たちの苦悩[2]
~したたかな転職

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2009年2月17日(火)

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終身雇用の時代が揺らぎ始めたのはバブル崩壊直後からだった。大不況への突入をきっかけに会社は既にサラリーマンを定年まで抱える余裕を失い、サラリーマンもまた、会社への夢や希望を失った。戦後、高度成長期を通して一般化した、会社と社員の蜜月時代がついに終焉を迎えたわけだ。

(注)会社名、肩書きなどは当時のまま

* * *

1993年3月29日号

不況が長引き厳しい雇用環境にあっても、成功する転職者は少なくない。あらかじめ自分の労働価値を知り、人生設計を立てることが、終身ならぬ「半身雇用」時代を生き抜く条件だ。企業も、非戦力化した中高年外しだけでは済まない。再び社員の“不良資産化”を招かないためにも、企業と個人の間に緊張感を伴う、新たな雇用関係の確立が急がれる。

(中川 貴雄、高田 隆)

特集―第1部
-早めの人生設計が決め手「いつ辞めても困らない」

他社の評価を常に念頭に

 バブル不況真っただ中の1992年11月、華麗な転職に成功した人がいる。住友スリーエム(東京・世田谷区)の事業部長から、外資系の包装材メーカー、N社の副社長に転身した川上典男氏(仮名、49歳)だ。

 住友3Mでの役職は磁気製品AV事業部長。43歳の時に昇進し、事業部長の中では一番若かった。社内でも次期役員候補との呼び声も高く、将来を期待される有能な管理職だった。それが、住友3Mとは全く関係のないN社へ転身した。企業の人減らしが激しくなり、中高年の転職は難しくなる一方だ。そんな中でなぜ、川上氏は転職を決意したのだろうか。

 川上氏は1966年、大学を卒業すると同時に住友3Mに入社した。最初に配属された磁気テープの営業部では、半年かけて全国の主な小売店を訪問し、店ごとの販売実績、主力商品などを調べ、小売店に片っ端から売り込みをかけて、営業成績を伸ばした。これが認められて、26歳の若さで営業課長に抜てきされた。

 この一件が雑誌にとり上げられるなど、若いころから目立っていたので、社内でかなりやっかみを受けた。これがきっかけになって28歳のころから人材バンクに登録し、もし転職するならどんなポストに就けるか、年収はいくらになるかなど、よその会社が自分をどう評価しているかを、常に頭に置いてきた。

 いつ辞めても困らないという自信が持て、社内でも思い切って仕事に取り組めた。

 そんな川上氏が転職を本気になって考え出したのは、事業部長になって5年の92年。AV(音響・映像)不況のあおりを受けて、ビデオテープやオーディオテープなどのAV関連製品を扱う事業部の業績は悪化を続けていた。

 前進だけを考えて働いてきた川上氏にとって、そのころの仕事は経費削減など気の重くなる後ろ向きのものばかりだった。

仕事への不満がピークに達した時

 事業部長としての仕事への不満がピークに達していた時、あるヘッドハンティング会社を通じて、N社が移籍の話を持ち込んできた。マーケティングの経験があり、若いころからマネジャーとしての実績を上げていた川上氏に白羽の矢が立った。

 幸い年収も住友3Mより大幅にアップする。「新しい会社に行けば、将来性がある分野で自分の力を再び試すことができる」と思って転職の腹を固めた。昨年8月末のことだった。

 転職が住友3Mの社内に知れると、猛烈な引き止め攻勢に遭った。苦労をともにしてきた仲間をはじめ100人が集まった送別会には、奥田英博・前社長も参加し、「こんな有能な人材を他社に取られるとは、うちの人事は何をやっていたんだ」と悔やんだという。これに川上氏は、「幹部として引き抜かれる人間がいるということは、3Mにとっても名誉なことではないか」と答えた。

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日本全体として若い世代にもっと所得の分配をしていくべきだと思う。

川野 幸夫 ヤオコー 会長