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米国型資本主義を超えて
個人の勇気の取り戻しと新啓蒙思想

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2009年2月18日(水)

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今北 純一(いまきた じゅんいち)氏

今北 純一(いまきた じゅんいち)氏
1946年生まれ。68年東京大学工学部応用物理学科卒業。70年東京大学大学院化学工学科修士。経営戦略に特化した欧州系コンサルティング会社CVA(コーポレート・バリュー・アソシエーツ)パートナー兼日本関連プロジェクト統括マネージングディレクターを務める。
撮影 岡村啓嗣

 長く住んでいるパリで、サイモン・ラトル指揮のコンサートを聴きに行ったときのことだ。ラトルはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督だが、この日連れてきたオーケストラは、私には馴染みがなかった。その名も「Orchestra of the Age of Enlightenment (略称OAE)」といかにも仰々しい。開演前の時間に、プログラムに目を通してわかったのは、このOAEは、18世紀から19世紀にかけての音楽を、できるだけ当時の楽器を使って、作曲家の意図に限りなく忠実に演奏するというミッションを掲げて1986年に英国で設立されたオーケストラだということだった。しかし、「当時に忠実」といっても、それは決して懐古趣味のためではなく、新しいものを発見し続けるための原点回帰をモットーにしているということのようだった。

 そのような解説文を読んでいるうちに、私は「the Age of Enlightenment」という言葉が、ヨーロッパの歴史における「啓蒙時代」を指すということに気がついた。

 啓蒙(Enlightenment)は、17世紀後半から18世紀にかけて英国、フランス、ドイツなどに波及した革新的な思想である。端的にいえば、英国の経験論とフランスの合理論とが融合した思想と位置づけることができる。そして、人間や自然に対する合理的で科学的な認識をもとに社会通念の不合理性を打破するという考え方は、アメリカの独立に影響を及ぼし、フランス革命にも知的根拠を与えた。

 「啓蒙時代」の始まりと終わりについては、諸説あるようだが、いずれにしても、重要なのは時代の区切りをどうするかということではなく、旧来の権威や思想的特権を見直し、合理的な考えを奨励し、理性の啓蒙を通じて人間的な生活を確立するという高邁な目標を掲げた思想が大きなエネルギーとなって、新しい社会秩序を形成していった、という歴史的事実である。

悲観論一色から別れを・・・

 今われわれが生きている現実の世界は、いつの間にか資本主義一色になり、歯止めがきかなくなった。そして、米国発の金融危機が世界に波及し、海底のマグマが炸裂したかのごときメガトン級の地殻変動が実体経済をその土台のところで揺さぶっている。このような状況にあって問題なのは、悲観的な意見ばかりが跋扈し、建設的な論考が極めて限られていることだ。その一方で、これまでの経験則の延長線上という枠組に閉じ込められた皮相的な見方が氾濫している。しかしながら、今起きていることは新しい時代の到来を告げる予兆である。

 この新しい時代を形づくる特徴のひとつを表現するなら、「量から価値への転換」ということになろう。つまり、真に質が高くて個別のニーズのスイートスポットにマッチするものが価値として評価されていくのとは対照的に、不特定多数を対象に量と効率を追い求めるアプローチが主流ではなくなっていくということだ。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師