「リーダーのための“新”武士道 伝説の外資トップがあなたのメンターになる!」

【プロローグ】リーダーとは「できる・できた人」である

バックナンバー

2009年2月24日(火)

1/3ページ

印刷ページ

なぜ部下が育たないのか?

 ウチの部下は、どうしてなかなか育たないのでしょう?

 「もっとチャレンジしろ!」とハッパをかけてもアイデアを出してこない。仕事の完成度が低い。指示した通りに動かない。仕事に対する当事者意識がない。今さらフォローもできないようなデッドラインぎりぎりになって「やっぱりできそうにありません」などと言い出す。他社には優秀な人材がそろっているように見えるのに、どうしてウチの部下たちはいつまでたっても成長してくれないのだろう…。あなたが1人でも部下(後輩)を持つ立場なら、そんな悩みに頭を抱えた経験が1度ならずあるでしょう。

 1959年に社会人としての第一歩を踏み出してから現在に至るまでの四十数年のうちに、私は社長職を3社(ジョンソン・エンド・ジョンソン、日本ホールマーク、日本サラ・リー)、副社長職を1社(日本フィリップス)経験しました。その経験と実績を評価してくださってか、私の元には今も、部課長クラスから大企業の経営者まで、また近年ではベンチャー企業の若手経営者たちが様々な悩みを打ち明けに来てくれます。冒頭で挙げた悩みもその1つです。

「育っていない」のではなく「育てていない」

 部下が育っていない、という声を耳にするたびに、私の心の中にはある疑問が湧いてきます。その疑問とはすなわち、「育てようとしているのか?」ということ。

 もしもあなたが、相も変わらずトンチンカンな質問をしてくる部下を見て「どうしてアイツはなかなか育たないんだ…」とグチをこぼしているのなら、少々手厳しい物言いに聞こえることを承知のうえで、こう言わざるを得ません。あなたの部下が「育っていない」のではなく、あなたが部下を「育てていない」のです。

 もちろん、部下も一人ひとり個性を持った人間です。ハキハキと受け答えができてのみ込みが速い部下もいれば、何度も同じ間違いをしでかす部下や、どうがんばったってコミュニケーションが困難な“宇宙人”のような部下もいるでしょう。

 しかし、どれほど厄介な部下であっても、思うように成長してくれない原因を部下本人のみに押しつけていたのでは、器の大きな上司とは言えません。そんな時は、ため息をつきながら「どうしておまえは…」と小言を言う代わりに、あなた自身にこう問うてみてほしいのです。「部下が『育っていない』のではなく、私がコイツを『育てていない』のではないか?」と。

 なかなか育たない部下を叱り飛ばすのが上司の仕事なのではありません。少しでも速く部下が育つように仕向けてやるのが上司の仕事です。部下が育てば、組織が育つ。組織が育てば、より大きな仕事ができる。かくして、「人育て」のうまい上司がいる会社は繁栄していくというわけです。

 その証拠に、私がこれまでにお会いした数々の名経営者は、皆さん一様に人育ての達人でいらっしゃる。彼らの部下は、必ずしも初めから非の打ちどころがない逸材だったわけではありません。人育ての達人は、長所もあれば欠点もある多様な部下たちの実力を、それぞれの個性に応じてグンと伸ばしてやる作法を心得ているのです。

ここから先は「日経ビジネスオンライン」の会員の方(登録は無料)、「日経ビジネス購読者限定サービス」の会員の方のみ、ご利用いただけます。ご登録のうえ、「ログイン」状態にしてご利用ください。登録(無料)やログインの方法は次ページをご覧ください。



関連記事

Keyword(クリックするとそのキーワードで記事検索をします)

Feedback

  • コメントする
  • 皆様の評価を見る
内容は…
この記事は…
コメント27 件(コメントを読む)
トラックバック
著者プロフィール

新 将命(あたらし・まさみ)

新 将命国際ビジネスブレイン代表取締役社長
1936年東京生まれ。早稲田大学卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フイリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から住友商事などのアドバイザリー・ボードメンバーを務める。長年の経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人財開発」の使命に取り組んでいる。
希薄な虚論や空論とは異なり、実際に役に立つ“実論”の提唱を眼目とした、独特の経営論・リーダーシップ論には定評がある。ユーモアあふれる独特の語り口は、経営幹部層や次世代リーダーの間で絶大な人気を誇る。近著『経営の教科書』(ダイヤモンド社)、『リーダーの教科書』(ランダムハウス講談社刊)は、現役経営者、若手リーダーの必読書となっている。



このコラムについて

リーダーのための“新”武士道 伝説の外資トップがあなたのメンターになる!

 当コラムでは、あなた自身が「できる・できた」リーダーになるために、さまざまな鍛錬を積んでいただきたいと思います。リーダーシップスキルを少しずつ磨いていくことで、「ウチの部下はどうして育たないのか」という冒頭の悩みに対する解決策も、おのずと見えてくることでしょう。
 部下の数が増えれば増えるほど、リーダーとしてのあなたの責任は重くなり、その分悩みも深くなります。ところが困ったことに、悩み多きあなたに有効なアドバイスをしてくれるメンターの数は、悩みの深さと反比例するように減ってしまうものです。
 私の願いは、ひとり孤独に悩みを抱えているあなたの声を聴き、双肩の重荷を少しでも軽くするお手伝いをすること。そして、あなたがより優れたリーダーとして活躍する姿を早くこの目で見ることです。ではさっそく次回から、リーダーシップについて一緒に考えていくことにしましょう。

⇒ 記事一覧

記事を探す

読みましたか〜読者注目の記事

  • いま、歩き出す未来への道 復興ニッポン

日経ビジネスからのご案内