「危機の中で明日を拓く CFO“新論”」

財務の門外漢がCFOになった

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2009年3月2日(月)

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 未曾有の経済危機をいかに克服するか。今、世界中の企業経営者がこの問題に直面しています。

 こんな時代だからこそ、CFO(最高財務責任者)の役割はますます重要になる――。財務担当の責任者として多くの困難を克服してきた著者はそう述べます。このコラムでは、著者の実体験に基づいて、これからのCFOが果たすべき新たな役割について描きます。

 今回の危機は、かつてないマグニチュードで世界中の企業に激震をもたらしているのは確かです。しかし、著者が、ビジネスマンとして試行錯誤を繰り返し課題に取り組んできた過程は、CFOやCFOを目指す財務担当者はじめ、組織のリーダーに多くの示唆を与えるはずです。今回こう考え、ご登場いただきました。

 

 初めまして、日本たばこ産業(JT)の新貝康司です。

 今、金融、経済の動乱期にあって、企業経営におけるCFO(Chief Financial Officer)の役割がますます重要になっています。また、企業内で財務関係の仕事をしている人にとって、目指している目標の1つが、CFOになることではないでしょうか。

 世界のどの大企業を見ても、CFOあるいはFinance Directorと呼ばれる人がいます。しかし、日本企業の場合、CFOは比較的その歴史が浅いポジションです。

 Accounting、Treasury等で活躍してきた人が、過去の仕事の延長線上でその任に当たっていることが、いまだ多いようです。CFOが果たす役割は何か、CFOが備えるべき資質とは何かについて、変化の激しい時代だからこそ、再考する価値があるのではないでしょうか。

 CFOが持っている顔を思い浮かべてください。CFOは経営者です。CFOはCEO(最高経営責任者)の財務面でのブレーンです。CFOは財務機能のリーダーです。CFOは資本市場や金融市場への大使です。こういった複数の顔そのものが、CFOはAccounting、Treasury、Tax等のエキスパートの単なる延長線上には位置づけることができないといったことを、雄弁に物語っています。

財務関連の知識は自己流

 さて、ここで私の経歴を簡単に述べさせていただきます。

 私は、大学、大学院では、電子工学を専攻し、エンジニアを当初目指していました。しかしながら、就職に際し、研究職やエンジニアへの道ではなく、人と仕事をすることを志望し、入社以来、様々な仕事に携わりました。

 複数の製造現場経験、そのマネジャー、技術開発計画の立案とその実行、医薬事業での米国ベンチャービジネスとの提携、提携した上場バイオベンチャー企業の社外取締役、キャッシュフロー経営に代表される企業変革プログラムの実行、企業買収といったものです。

 また、財務関連の知識は自己流であるにもかかわらず、CFOを務め、大規模なM&A(合併・買収)を手がけました。入社以来の仕事は、事業はもちろん、関連する法務、財務の知識・経験にとどまらず、リーダーのあり方、経営のあり方についても、幅広く考える機会を提供してくれました。

 囲碁の世界で、傍目八目という言葉があります。当事者よりも第三者の方が、より深い洞察をすることが、時に可能になるということです。

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著者プロフィール

新貝 康司(しんがい・やすし)

新貝 康司日本たばこ産業取締役。JT International, SA 副社長、副CEO、最高財務責任者。1980年京都大学大学院電子工学課程修士課程修了後、専売公社(現JT)へ入社。たばこの工場現場を経験後、経営企画部で企業買収案件に従事。1989年、同社ニューヨーク事務所所長代理、1990年JT America Inc.社長。以後6年にわたり、抗HIV薬Viraceptの開発等、米国製薬・バイオベンチャーとの数々の共同研究開発提携案件を発掘。1991年から米国NASDAQ上場バイオベンチャー企業Cell Genesys, Inc社外取締役を兼任。1996年、JT本社に戻り経営企画部部長として中期経営計画、企業変革プログラム、企業買収プロジェクト(鳥居薬品、旧RJR International)等、全社経営企画業務を担当。2001年、JT財務企画部長に就任。全社の中期経営計画、経営管理、財務戦略を担当。企業買収、事業売却も手がける。2004年、JT執行役員財務責任者(CFO)に就任。05年取締役に就任(現任)。06年、日本、中国以外のたばこ事業の世界本社であるJT International, SA(ジュネーブ)の副社長(現任)、副CEO(現任)に就任。ギャラハー社買収と統合を指揮。2007年 JT Internationalの最高財務責任者も兼任、現在に至る。



このコラムについて

危機の中で明日を拓く CFO“新論”

日本企業の財務・経理部門は“職人”的な集団になってしまいがちです。しかしCFOはCEOの財務面でのブレインであり、経営者そのもの。危機を乗り切る経営には、この財務のブレインの存在はますます重要になるでしょう。国内最大規模のM&Aはじめ、数々のベンチャー企業の立ち上げや買収などを通して考えた、理想のCFO、そして理想のリーダー論を展開します。

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