「豁達の精神!セコム流・元気の出る経営」

豁達の精神!セコム流・元気の出る経営

2009年2月20日(金)

入居一時金2億円の老人ホーム

セコム子会社が切り開く新事業、素人任せの強み

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 「豁達」――。警備業大手セコムの社内には、至る所に墨痕鮮やかな達筆で書かれたこの2文字が掲げられている。「フータ」と読むこの2文字の意味するところは「心ひろやかに、明るく、小さなことにこだわらないさま」。セコムの持つ新進の気風をよく表す言葉だ。それは、警備から発して医療、福祉、情報システム、保険など失敗を恐れずに新たな事業に挑戦し続け、永遠のベンチャーたろうとする伸びやかな精神を表す。

 セコムの社内では、萎縮する部下に向けて上司が今も言う。「フータでいこう」。今日その声は、まるで世界同時不況で萎縮する企業社会全体に向けられているかのようにも聞こえてくる。

 「日経ビジネス」2月23日号の「改革の研究」でセコムを取り上げたが、このシリーズでは、セコムが挑戦する各事業と、それを切り開く「フータ」な人々を紹介していく。第2回目となる今回は、老人ホーム事業を紹介したい。セコムの子会社が運営する「コンフォートガーデンあざみ野」(横浜市)を訪ねた。
(文中敬称略)

 冒頭から私事にわたって恐縮だが、記者は数年前まで定年退職者向け雑誌の編集部に所属していた。取材のために介護施設や老人ホームの現場には何度か足を運んだが、そんな中で身についた嫌な処世術がある。福祉・介護の現場では「ビジネス」という言葉を口にすべきではない、というものだ。

 運営母体が一定の利益を出し、サービス提供者に相応の報酬が支払われる「ビジネス」としての健全性がなければ、事業は持続可能なものにならないはずだ。ところが福祉・介護などの分野を取材していると、収益が立つはずのない事業構造を、個人の無償に近い奉仕によってかろうじてカバーしている現状によく出くわす。

 「介護『ビジネス』というのは難しいですね」

 記者がうっかりそんな相槌を打つと「儲けのためにやっているんじゃない!」と声を荒らげる関係者がいた。「この世界をビジネスと捉えている間は、本当の姿は見えてこないよ」と忠告してくれる人もいた。「ビジネス」という言葉や発想を、介護事業関係者の前ではひそかに禁句としたのは、何度か同じような経験を繰り返したからだった。

 ただ、ある種の違和感が捨て切れなかったのも事実だ。「儲けのためではない」という思いや個人の奉仕の精神は尊いもので、頭が下がる思いもあった。しかし、それを前提として事業を計画する経営者というのは何かが間違っているのではないか。

 前置きが長くなったが、こんな昔話を書いたのには理由がある。セコムの子会社が2006年に開設した老人ホーム「コンフォートガーデンあざみ野」が、そのわだかまりに対する、極端だが、とても明快で大らかな1つの答えを提示してくれていたからだ。

入居一時金は2億円

 東急田園都市線のあざみ野駅から歩いて5分ほど。小高い丘の上に「コンフォートガーデンあざみ野」はある。前回の刑務所でも、およそ刑務所らしからぬ外観に驚かされたが、今回もまたここが老人ホームであることを忘れてしまうような豪華なエントランスにまず度肝を抜かれた。

まるでホテルのロビーのよう

まるでホテルのロビーのよう
写真:的野弘路(以下同)

 入り口から入って正面に見事な花が生けられており、その花の香りがフロントロビーにほのかに漂っている。吹き抜け構造の天井は高く、シャンデリアの照明がロビー全体を温かな光で照らしている。フロントカウンターの向こうで、黒い制服姿の女性がにこやかに一礼して「いらっしゃいませ」――。思わず「チェックインをお願いします」と言いたくなるような雰囲気だ。

 黒光りするグランドピアノが置かれている。時にプロの奏者が招かれて演奏を披露するという。来訪者を騎士像のオブジェが出迎えるが、その足元には作者の名前として「パブロ・ピカソ」とある。聞けばレプリカではなく本物だという。

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豁達の精神!セコム流・元気の出る経営

「豁達(フータ)」とは、セコムの持つ新進の気風をよく表す言葉。「心ひろやかに、明るく、小さなことにこだわらないさま」を意味する。創業者の飯田亮(現・最高顧問)は、この言葉を座右の銘として経営に当たった。それは、警備から発して医療、福祉、情報システム、保険など失敗を恐れずに新たな事業に挑戦し続け、永遠のベンチャーたろうとする伸びやかな精神を表す。セコムの社内では、萎縮する部下に向けて上司が今も言う。「フータでいこう」。このシリーズでは、セコムが挑戦する各事業と、それを切り開く「フータ」な人々を紹介する。

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