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ウサギとカメ、三幕篇~企業は「空間」を意識せよ

社会や自然と地続きであることを「四方よし」で体現

  • 常盤 文克

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2009年2月25日(水)

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 12月のコラムでは「時間」が重要な経営資源であると書きましたが、この時間と切っても切り離せないのが「空間」です。「時空」という言葉にもあるように、時間と空間は深く関わっています。

 出し抜けですが、よく知られた「ウサギとカメ」の寓話が、その関わりを象徴しています。

 あるとき、ウサギとカメが山の頂上を目指して競争しましたが、ウサギは途中で油断して寝てしまいます。それを横目に、カメはゆっくり着実に歩を進めてゴールし、ウサギは負けてしまいます。ここまではお馴染みの話(第1幕)ですが、この話には後に創作されたという“続き”があります。

 友人から聞いた話で作者は不明ですが、第2幕はウサギの復讐です。負けておさまらないウサギは、再びカメに挑戦します。カメは仕方なくこれに応じますが、今度はウサギは油断しないように気をつけて、最後まで全力で走りきります。勝負は当然、ウサギの勝ち。

空間のこと、考えたことありますか

 さらに第3幕があります。これでは負けたカメはおさまりません。「あのレースはウサギが勝手に決めたコースで競争したから負けたのだ」と、今度は自分が決めたコースで再レースすることを申し出ました。ウサギは嫌な予感がしましたが、挑戦を受けます。スタートすると案の定、そのコースの途中には、大きな池がありました。カメは悠々と泳いで池を渡り、泳げないウサギは大回りするはめになり、今度はカメの勝ちでした。

 この話から分かるのは、競争という速度(時間の長短)を競うゲームでは空間の要素が大事で、時間と空間は互いに影響を及ぼしている、ということです。私たちも仕事をするときは、どんな空間(環境)に身を置くかで、時間の持つ意味や価値が大きく変わってきます。

 そこで今回は、企業と「空間」の関係について考えてみたいと思います。近年、企業活動の輪が社内から社外へと大きく広がり、企業にとって空間の位置づけが大きく変化しています。かつて高度成長期は、いい製品を生産していれば飛ぶように売れた時代でした。ほとんどの仕事が社内で済んでいたので、社外のことはあまり気にせずにやっていけました。当時の企業にとって空間とは、主に会社の中を意味していたのです。

 ところが現在は、企業の空間は大きく外へと広がっています。売れる商品を生み出すためには顧客の声に耳を傾け、マーケティングや広報といった社外とのコミュニケーションに力を入れる必要があるからです。しかも、活動の範囲はグローバルになってきたので、社内が社外に、社外が社内に入り込み、両者の区別はつけにくくなってきました。いまや企業は市場だけでなく、社会や自然とも地続きになっていると言っていいでしょう。

日本家屋に見る日本的「空間」

 日本人にとって古くから、建物の空間とは内部と外部との境界が曖昧なものでした。ここでイメージできるのが、昔ながらの日本家屋です。家屋内の部屋と部屋は障子や襖(ふすま)で仕切られていますが、これらを開け閉めすることで大きな空間にも小さな個室にもなります。縁側に面した障子を開ければ、外の庭につながる開かれた空間にすることもできます。

 また、昔からの日本家屋には、玄関を入ってすぐのところに土間があり、炊事場や作業場などの役割を果たしています。屋内でありながら地面が露出しているので、家屋の中にまで庭が入り込んでいるとも、家屋の延長に庭があるとも考えられます。

 農村では、農家の庭は生け垣をはさんで隣家へと緩やかにつながり、さらに村全体へとつながっています。そして、村は里山へ、奥深い森へとつながっています。つまり、家屋の中の土間は庭へ、庭は隣家へ、隣家は村全体へ、村は森へと、すべてが地続きなのです。だからこそ、村人たちはおのずと互いのコミュニケーションを密にし、「ムラ」というコミュニティを形成し、自然と共生してきました。

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牛島 信 弁護士