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性懲りなく「新商品」を準備する米国金融界

常識の源流対論・寺島実郎 その2

  • 伊東 乾

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2009年2月24日(火)

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 寺島 あと、もう1つあえてつけ加えるならば、今回の反省すべき点として、IT革命の成果を最もしたたかに取り込んだ連中が、不幸にして金融だった、ということなんだよね。

 ―― ああ、それは鋭い指摘ですね。

 寺島 僕は「ITとFTの結婚」ということを言い続けているんだけどさ。ファイナンシャルテクノロジーとしてITを使ってね。デリバティブなんていうのはその典型だよね。オンライン情報ネットワーク技術なかりせば、この世に成立しなかっただろうというビジネスモデルですよ。そういうものがつまり、ITで武装した金融ということになった。理工科系の卒業生が金融というところに吸い込まれることによって…。
 
 ―― 東大でも工学部から大量にカタカナ業種に進みましたね。

 寺島 業界の空気がどんどん変わってしまったんだよ。それが問題の元凶になった。

ITとFTの不幸な結婚

寺島 実郎(てらしま・じつろう)氏

寺島 実郎(てらしま・じつろう)氏
日本総合研究所会長。1947年北海道生まれ。73年早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。三井物産入社。83年ブルッキングス研究所に出向。87~91年、米国三井物産ニューヨーク本店業務部情報・企画担当課長。91~97年、米国三井物産ワシントン事務所所長。99年から三井物産戦略研究所所長。2006年から三井物産常務執行役員、早稲田大学アジア太平洋研究センター客員教授。

(写真:大槻 純一、以下同)

 寺島 かつて存在していた、のどかな産業金融、つまり育てる資本主義ね。お金を貸してその企業が育ってくれて、利息をつけてお金を返してくれればというね。それで金融業が回っていって、めでたし、めでたしという話は、本当にのどかな過去の物語になってしまった。

 ―― 育てる産業資本が自走というか、空転を繰り返し始めて…。

 寺島 うん、企業を取り巻く様々なリスクを、手を替え品を替えしてビジネスモデルに変えるというやり方ね。為替変動リスクとか、天候デリバティブとか。そういう形でひねりにひねって行き着いた先がサブプライムでしたと…。

 ―― 「物理」とか「物産」というモノの観点から考えると、非常に明確ですね。

 寺島 やっぱり悪知恵の資本主義という方向に、ITにしても、金融技術にしても、技術というものが向かっていくことについては、われわれ自身が大変な問題意識と自制心を持たないと、どうしようもなくなってしまう。

 ―― 僕はあえて「CSR」という言葉が、金融恐慌前のキーワードとして古くなってしまう可能性を指摘するようにしているんです。というのも、本当は今くらい、企業の社会的責任が問われる時期はないはずなのだけれど、そこで変な逆転が起こっているわけで、とっても危険なことだと思いますね。

 寺島 ああ、全く「悪びれた気持ちもなく」という言葉がぴったりと当たると思うけど、ここのところニューヨークの金融の連中なんかと話していると、サブプライム入りの金融商品を売り歩いていたリーマンの役員なんかが、さぞかし傷ついて反省でもしているのかと思ったら大間違いなんだよな。」

 ―― そうでしょうね(苦笑)。

「低所得層に夢を見せた“サブプライム”はアレでよかった」?

 寺島 うん。で、アメリカのテレビなんか堂々と出てきて、「あれはあれでよかったんだよ」なんてね。要するに、しょせん海外からカネを持ってきて、やれオイルマネーだ、円キャリーだ、中国だというところから持ってきて、一生のうち一度も家なんか建てるという夢を見ることのできない低所得層に、わずかな期間とはいえ、家を持たせて夢を持たせたんだから、あれはあれでいいことだったみたいに…。

 ―― そりゃ、ひどいなぁ。

コメント4件コメント/レビュー

まあ、科学技術やってても、たまに出るノーベル賞が、投資銀行のボーナス分くらいですからねえ。(2009/02/24)

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いただいたコメント

まあ、科学技術やってても、たまに出るノーベル賞が、投資銀行のボーナス分くらいですからねえ。(2009/02/24)

 私はアメリカの証券マンのほうが日本人よりも、イノベーティブでいいと思います。今の日本のように「金融不安だ、景気後退だ。ヤバイ、ヤバイ」ばかりいって、景気が回復するまで文房具の量を減らしたり蛍光灯をはずしたりしてガマンするよりも、前回は失敗だったかもしれないけれども、次回は失敗しないよう新しい商品を作るという姿勢は批判すべき対象ではないと思います。 現実に、アメリカよりも日本のほうが景気は後退しているのですから、「アメリカはダメだ」なんて言う資格が日本にあるんでしょうか?私には疑問です。(2009/02/24)

直接会ったことが無いので推測になりますが、ウォール街の人々は懲りないというより、極度に利己的かつ現実的なんではないかと感じます。人類全てが今の文明レベルを維持するには地球の資源・環境は不十分。でも、文明レベルを上げようとする人たちは遮れないから、時間はある程度かかってもいずれ世界中の国が米国レベルの文明を得ようとする。そうすると、相対的に米国が満喫できる文明レベルは低下せざるを得ない。自分の文明レベルを低下させるのはいやだから、世界共通のパワーであるマネーを、何度か失敗しても貪欲に取りに行く。倫理面はともかく、論理的にはそれほど間違えていないのかなーと。まあ、彼らがどんな商品を売り込もうと買わなければいいだけの話で、逆に買ってしまうのはなんでか?という考察が欲しいです。(2009/02/24)

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