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国有化は「大きくなりたい病」の末路

  • 神谷 秀樹

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2009年3月2日(月)

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 経営再建中の米シティグループは、実質的に政府の管理下に入ることが決まった。これまでの450億ドルの公的資金投入によって政府が保有することになった優先株のうち、250億ドル分を普通株に転換するで政府が同社の筆頭株主になるからだ。

 ニューヨーク市場ではシティの株価が2ドルを、また米バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の株価が4ドルを割ると、一挙にこれらの銀行の国有化懸念が台頭した。英国でもドイツでも、銀行国有化は既に話題となっている。

 シティは公的管理下に入ったされているが、これまでに公的資金の投入によって発行した優先株をすべて普通株に転換すれば、政府の持ち株比率は8割程度で、資金繰りも国の丸抱えの状況にある。これらを考えれば、既に実質的に国有化に近い状態だ。市場原理主義で利益を追求してきた銀行が、なぜ対極の事態に陥るまでになったのか。

拡大志向で資産は水ぶくれ

 シティバンク、バンカメは「拡大志向するメガバンク」の象徴であった。金融危機が来てからも、そして公的資金が入ってからも、買収に狂奔した。このビジネスモデルは今日完璧に崩壊した。

 保険業界では同様に、米AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が拡大志向の最先端を行っていた。ご存じのようにAIGモデルも経営危機の表面化で破綻した。住宅金融機関の双璧であるファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)、フレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)も5兆ドルのバランスシートを抱えて崩壊した。

 「大きいことは良いことだ」は全くの誤りであることが「事実」として突きつけられている。しかしながら、米メリルリンチに投資したみずほフィナンシャルグループ8411、米モルガン・スタンレーに投資した三菱UFJフィナンシャル・グループ8306、英バークレイズに投資した三井住友フィナンシャルグループ8316、破綻した米リーマン・ブラザーズのアジアや欧州部門を拾った野村ホールディングス8604など、日本の金融機関の幹部はまだ夢から覚めないようである。

 「金融システムの健全化なくして、健全な経済運営はできない」というのは筆者も同意するところである。しかし「金融システムの健全化」とは、「既存の腐った金融機関の維持救済」を意味するとは筆者は考えない。

公的資金40億ドルが役職員のボーナスに

 ここが混同されていることから、大変な規模の納税者の資金が無駄遣いされた。その最たるものはメリルリンチに投入された公的資金の100億ドルで、うち40億ドルは役職員のボーナスとなって消えた。ハンク・ポールソン前財務長官の犯した大罪の1つである。

 金融機関にも「適正規模」が存在する。例えば現在米国民は隣国カナダのトリプルAを維持するロイヤル・バンク・オブ・カナダやトロント・ドミニオン銀行をうらやましく思っている。両行とも資産規模はシティの4分の1ほどだ。

 シティグループもAIGもグループ会社の売却など既に解体作業に入っている。今後は「大きすぎて潰せない」という規模にはならない程度の、専業金融機関が得意分野ごとに金融システムを担い、競争力を最も強く持つ存在となってくるのではなかろうか。

日本の不良債権処理より時間も費用もかかる

 次に不良資産の処理の問題であるが、日本の不動産バブルの処理と同様にはいかない。日本では、担保不動産も債権者もほとんど日本にいた。これは国内で収束した問題である。したがって債権債務をきれいに紐解くこともできたし、それができればハゲタカに二束三文で売り切り、最終処理ができた。

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