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「企業戦士」たちの苦悩[7]定年は怖くない――経験豊かな高齢者が団塊世代の高賃金を脅かす

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2009年3月3日(火)

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 前回取り上げた「団塊の世代」は、若い世代だけではなく、実はその前の世代、豊かで元気、かつ高いスキルを持つ老人たちからも、その存在を脅かされていた。だが時を経て労働人口が減少する今、事情は大きく変わった。あらゆる世代の中で圧倒的に数の多い団塊の世代は今後、労働力不足を補う有望な世代になるかもしれない。

(注)会社名、肩書きなどは当時のまま

* * *

1998年3月23日号

 人生80年。家でブラブラするより、体が元気なうちは働きたい。定年を過ぎても、働く意欲の旺盛な人が増えている。問題は職場があるか、である。しかし、その心配は無用だ。経験豊かで年金などの副収入がある高齢者は、企業にとって良質、安価な労働力として期待され始めた。彼らは、給料ばかり高い団塊世代の脅威になる可能性もある。
(寺山 正一、小栗 太)

元気炸裂、60代の真価
高給の50代こそ「必要ない」世代?

 「経験豊富でしかも給与が安い」。高齢者の労働力は決して侮れない。
この実力を生かし、低いリスクで新規事業を立ち上げる企業もある。
年功序列で高給をとる団塊世代がむしろ存在意義を問われている。

 60歳を超えた東京大学名誉教授の語学力や、元1部上場企業工場長の技術力を月11万円でフル活用している会社があるとしたら、給料の高い40代、50代の社員を大量に抱え込む企業にとって脅威に違いない。

 まさか、と思うかもしれないが、そんな会社が現実にある。特許公報の抄録を英文に訳している東京シンクサービスがそれだ。

大企業の元部長を200万円で雇用

 中小企業の事務所が軒を並べる東京・神田の本社オフィスには、髪の毛の黒い社員は1人も見当たらない。技術用語だらけの英文に黙々と目を通す社員39人全員が白髪交じりの老紳士で、平均年齢は68歳を上回る。

 社員の90%近くが名の通った企業で部長格以上まで出世した経歴を持つ。にもかかわらず、会社が支払っている給料は賞与を含めて年間200万円前後しかない。すでに年金を満額受け取り、生活には困らない高齢の紳士たちが毎日、ネクタイを締めて技術英語に立ち向かう。

 「特許関係の仕事は単価が安いですからね。年金をもらえる年寄りでなきゃできません」と伊藤正樹社長が説明する事情はあるにせよ、1970年の設立以来、定年後のホワイトカラーを中核に安定した業績をあげてきた。「ここで稼いだお金で夫婦2人、喜寿(77歳)のお祝いにイタリアまで行った人だっている。給料が生活費じゃないから、今までこの仕組みが続いてきたんでしょう」と65歳の伊藤社長は振り返る。

 東京シンクサービスには、役職による上下関係が存在しない。1日60ページ前後の割り当てさえこなせば、後はいつ、どこで仕事をしても構わない。締め切り時間の午後4時を過ぎると、ほとんどの社員が三々五々、事務所をあとにする。人に使われるのではなく、自分本位の働き方ができる。そのことも、功なり名を遂げた高齢者が、安い給料で応募してくる理由の1つだ。

 「前の職場で培った技能を生かしながら、前の会社の匂いはきっぱりと捨てる。それができない人は定着しません」と、チッソを退職してここで働く64歳の浅香尚之氏は語る。

 2010年の日本は、働く人のほぼ3人に1人が55歳以上という世界でも類を見ない高齢化社会に足を踏み入れる。21世紀の日本は産業の活力が衰え、現役の労働者は高率の社会負担にあえぐ「老人社会」がいや応なく訪れる。そんな高齢化社会の問題点を指摘する声は、勢いを増す一方と言っていい。

 しかし、この議論には、すでに年金を受け取り、子育てや住宅ローンの負担から解放された高齢者が「安価で良質な」労働力として期待できる、という視点がすっぽりと抜け落ちている。

年収2000万でも相場は450万

 労働省の外郭団体である高年齢者雇用開発協会は96年度、1万社を対象に「どの年齢層の社員が過剰と感じているか」という聞き取り調査を行った。その結果、45歳から54歳までの男性社員が「やや過剰」か「過剰」と答えた企業は47.9%、55歳から60歳までの社員に関しては過半数の51.4%が「過剰気味」と回答した。半面、61歳以上の社員が「過剰気味」と答えた企業は31.8%にとどまっている。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官