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人工衛星に乗せた会社再建の望み

航空測量大手パスコを蘇らせたセコム流経営改革

2009年2月27日(金)

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 「豁達」――。警備業大手セコムの社内には、至る所に墨痕鮮やかな達筆で書かれたこの2文字が掲げられている。「フータ」と読むこの2文字の意味するところは「心ひろやかに、明るく、小さなことにこだわらないさま」。セコムの持つ新進の気風をよく表す言葉だ。それは、警備から発して医療、福祉、情報システム、保険など失敗を恐れずに新たな事業に挑戦し続け、永遠のベンチャーたろうとする伸びやかな精神を表す。

 セコムの社内では、萎縮する部下に向けて上司が今も言う。「フータでいこう」。今日その声は、まるで世界同時不況で萎縮する企業社会全体に向けられているかのようにも聞こえてくる。

 このシリーズでは、セコムが挑戦する各事業と、それを切り開く「フータ」な人々を紹介していく。第4回目となる今回の舞台は、事業の多角化を進めて失敗した後、1999年にセコムの子会社となって再び躍進する航空測量大手・パスコ。その経営者列伝からセコム流経営の強みを読み解く。(文中敬称略)

 東京西部、私鉄沿線の住宅地に建つ自宅にNは快く迎え入れてくれた。

 記者は、ある人物の足跡について知りたいと思い、伝手(つて)をたどってようやくNにたどり着いた。人物とは、平兼武(たいら・けんぶ)。航空測量大手パスコの実質的な創業者の1人だ。社長・会長として経営に辣腕を振るい、1992年に81歳で亡くなった。Nは、平の生前をよく知る男だった。

 「実に面白い人でした。破天荒という言葉がぴったりくるような。戦中派ならではの迫力もあり、鬼気迫るものもあった」

 平の生家は仏門だった。生まれ育った心光山常照寺は、鹿ケ谷の陰謀(1177年)で知られる平判官康頼の子が開山したと伝わる福井の名刹だ。「寺を継げ」という実父の反対を押し切って陸軍の陸地測量部教育部に入学し、卒業して関東軍に配属されて満州で軍用地図を作製する日々を送った。

 引き揚げ後には生家で数年間住職を務めたこともあるが、その溢れんばかりのバイタリティーは袈裟で覆い隠せるようなものではなかった。パスコの経営者としての平を評してNは言う。

 「一つところに止まっていられない、常に新しい挑戦に向けてギラギラと目を光らせていた。商売の種を見いだすセンスがあるというか、勘、嗅覚みたいなものが敏感な人だなと感じることが多かった」

 福井時代にすでにその片鱗が見える。平は住職を続ける傍ら、繊維の仲買い事業を起こしたり、自転車用チェーンの製造に手を染めたり、測量会社を起業したりもした。

 転機は1953年に訪れた。軍属時代の測量仲間から、測量会社の経営を担うよう要請されたのだ。周囲の反対を振り切るように上京し、パスコ(当時、パシフィック航空測量)に入社。以後、カリスマ型の経営者として同社の業績を飛躍させることになる。

 さて、このセコムについての連載で、記者はなぜ平という男の半生をことさらに書きたてているのか、訝しむ向きも多いだろう。

 最も単純な理由は、平が育てたパスコが今はセコムの子会社になっているからだ。セコムは現在、議決権ベースでパスコの株式の73%を所有している。しかし、それだけではない。一見、平の経営とセコムの経営は似ている。似ているがしかし、大きな違いがある。その違いを浮かび上がらせることが、セコムの強さを物語ることになると記者は考えている。今しばらく、セコムから話が脱線するがご辛抱いただきたい。

「生臭坊主」の多角化経営

 上京を決意した平に、門徒たちは猛然と抗議した。「住職が何をされようと、福井におられれば何も文句を言うまいと思っていたが、離れれば寺はどうなる。誰が寺を見るのか」。平は並み居る門徒たちに、傲然とこう言い返したという。

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「人工衛星に乗せた会社再建の望み」の著者

池田 信太朗

池田 信太朗(いけだ・しんたろう)

日経ビジネスオンライン編集長

2000年に日経BP入社。2006年から『日経ビジネス』記者として、主に流通業界の取材に当たる。2012年『日経ビジネスDigital』のサービスを立ち上げて初代編集長、2012年9月から香港支局特派員、2015年1月から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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