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中小企業の実態に合わない公的年金制度の是正を

バッシングだけでは解決しない「年金改ざん」問題の本質

  • 郷原 信郎

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2009年3月4日(水)

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 前々回前回のこのコラムで述べてきたように、「年金改ざん」問題は、厚労省や社会保険庁組織が「法令遵守」に偏った対応ばかり行ってきたことや、組織のトップである舛添厚労大臣が、事実を確認もせず、問題の本質を理解することもなく、社保庁職員が犯罪者であるかのようにこき下ろしたことなどで、マスコミや世の中から、社保庁の職員が組織ぐるみで行った単なる「悪事」であるように決めつけられてしまい、問題が矮小化されている。

 では、この問題に対して、今後、どう対応したらよいのか、制度の在り方やその運用はどのように改めていったらよいのか。私なりの考え方を示しておきたい。

「年金改ざん」を巡る誤解の解消が急務

 何はさておいても、まず行わないといけないことは、この問題に関する国民の誤解を解消するために、「年金改ざん」と言われている問題を整理し、何が問題の本質なのかということを、分かりやすく国民に説明することだ。そのためには、厚労省トップとしての舛添大臣が、この問題の本質を理解し、自ら説明を行うべきだ。

 「年金改ざん」問題というのは、経営の不安定な中小企業に厚生年金という制度を適用したことで発生した問題で、大企業のサラリーマン、役員や公務員などには基本的に無関係だということをすべての国民に分かってもらうことが必要だ。「年金改ざん」と言われる「標準報酬月額の遡及訂正」が行われるのは何カ月にもわたる保険料の滞納が発生した場合であるが、大企業が社会保険料を長期にわたって滞納することはほとんどあり得ない。

 しかし、このような、ある意味では当然のことすら、新聞、テレビなどでは明確に伝えられてはいない。「『年金改ざん』は100万件以上に上る、その闇はどこまで広がっているのか分からない」というような報道もあり、多くの国民は、社保庁職員が組織ぐるみで行った「年金改ざん」のために自分たちも被害を受けた可能性があるような誤解をしているのが現状だ。

 次に、標準報酬月額の遡及訂正は、基本的に、事業者の申告によって行われたものだということを説明する必要がある。申告書自体を社保庁職員が偽造したというのであれば別だが、さすがにそのような話は、これまで全く出ていないし、そこまでして遡及訂正の訂正を行うほどの動機が社保庁職員の側には考えられない。調査委員会が設置したホットラインには全国から多数の情報が寄せられたが、その中でも、事業者の申告もしていないのに、勝手に年金が引き下げられたという情報提供はなかった。

 もっとも、前々回のこのコラムへのコメントの中に、「私は約35年間会社を経営し、現役を引退して5年後、社会保険事務所から連絡があり、給料が8万円に減額されているので確認したいと言う事でした。当時私の給料は75万円で一度も保険料の滞納はなく、引退するまで赤字決済はなく、もちろん給料減額はありませんし、減額されていた事等、私は全然知らない事であります」というものがあった。

 これが、事業主の標準報酬月額が本人の知らない間に遡及訂正されたということを意味するのであれば、調査委員会も、社保庁も認識していない事案である。

 標準報酬月額の遡及訂正は基本的に事業者自身の申告で行われているものであり、申告もなしに勝手に引き下げられている社保庁職員側の一方的な「改ざん」の事案は、現時点では全く見つかっていないが、万が一にもそういう事案があるのであれば徹底解明するということも明確にしておくべきであろう。

「事業主案件」と「従業員案件」の明確な区別を

 そして、重要なことは、同じ標準報酬月額の遡及訂正でも、事業主分の訂正(事業主案件)と従業員分の訂正(従業員案件)とは全く意味が異なること、現在把握されている遡及訂正の大部分は事業主案件(生計を同一にしている親族など分を含む)であることを国民に分かりやすく説明し、この2つを明確に区別した対応を行うことだ。

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