• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

教育格差を乗り越える:「大学全入時代」という幻影

常識の源流対論・吉村作治 その2

2009年3月10日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 (前回から読む)

伊東 (以下――) 吉村先生がサイバー大学の学長でいらっしゃるのは伺っていました。日本で初めてインターネットを中心として授業を行う株式会社立の大学でソフトバンクがバックアップしている、という情報も聞いてはいたのですが、正直申して、企業側が大学を作って、そこに吉村先生が招聘されたのだと思っていました。すみません。

吉村 作治(よしむら・さくじ)氏

吉村 作治(よしむら・さくじ)氏
1943年東京都生まれ。サイバー大学学長、工学博士(早稲田大学)、早稲田大学客員教授。エジプト考古学者。66年、アジア初の早大古代エジプト調査隊を組織して現地に赴く。以降、40年以上にわたり発掘調査を継続。数々の発見により国際的評価を得る。2005年1月、未盗掘・完全ミイラ、2007年1月に未盗掘の夫婦の未開封木棺、10月に未盗掘の親子ミイラを発見。ホームページは「吉村作治のエジプトピア

(写真:大槻 純一、以下同)

 吉村 いえいえ。

 ―― ところがそうではなかったのですね。

 吉村 ええ、実際には全く逆なんです。

 ―― 大変な思いをもって進めていらっしゃるのを知って、本当に感銘を受けています。もっとテレビなんかでも明確にPRされたらよいのに…。

 吉村 いえ、そういう場でないことも多いので…。

 ―― 多くの人が関心あると思いますよ。吉村作治自ら実はリスクを負って、新しい大学を1つ立ち上げていた、という理解を、社会は絶対にしていないと思います。

 吉村 この大学は僕が作りたくて作った大学です。今まで早稲田大学に専任教員として20年、非常勤講師時代を入れれば30年間教えてきました。最初はエジプトという自分の好きなことだけやっていて、全然大学のことなんか考えていませんでしたが、10年経って専任教員になってからは、大学全体としての体制について真剣に考えるようになりました。

空疎化する「大学卒」の学歴

 吉村 18歳の人口を考えると1学年で、今は少なくなったけど130万人をちょっと欠けるくらいですね。僕らの時で200万人近く、だいたい日本人は180万人ぐらいの同世代、同学年がいるわけです。その中で、僕の頃は1学年に28万人ぐらいしか、大学というものには行けなかったんですね。

 それが今、おおよそ浪人も含めて40万人に少し欠けるぐらいが大学に行っています。そのうち浪人が4万人ぐらいいますから36万人ぐらいの人が同学年の中での「大学進学者」なわけですが、おそらく彼らの思いは、早く学校なんかは出て、そして就職するということだ、と思うんですね。

 ―― 「高校全入」という言葉、あるいは「大学全入時代」という言葉がありますが、僕なんかの育ったところ、今でも住んでますけど、そのあたりは、2つの米軍基地に囲まれたエリアで、局所的に見ると中学を卒業してすぐ社会に出る子も少なくないんです。

 そういう観点から見ると、130万人の中で30数万人が大学に進むというのは、残り100万人は大学に行かない、と見る必要があるように思います。それで、大学進学した30万が、大学に行かなかった100万より知的な層かと聞かれれば、良くも悪しくも全くそんなことはない。多くの学生が就職前のモラトリアムとして「学生してる」のが実態ではないでしょうか?

 吉村 うん、もちろん大学という名前で、そういう就職の予備校というか準備のための大学があってもいいと思うんです。でもね、全部の大学がそれではまずいと思うんですね。

 ―― それはいけない。ダメですね。

サイバー大学構想のきっかけ

 吉村 戦後に大学の新体制ができて、60年経って大学がここまできてしまった。日本の大学教育が生まれ変わるためには「これが理想の大学だ!」というのを作りたかったんですよ。

 ―― なるほどねぇ。早稲田大学での30年間の思いがあって、それでサイバー大学をお作りになった、というわけですね。

 吉村 そうなんです。しかもそれを「株式会社立」にしたんです。パソコンを使った通信制の大学を新しく作ったわけです。

 ―― なるほど。

 吉村 それから、通常決定は教授会でとなりますが、本学はインターネットの大学ですから、僕の理想で、できれば離れた所にいる教授たちがWebカメラを使って教授会に参加するというやり方をしたいんだけど、なぜか人恋しい人が多くて、実際にオフィスの会議室に集まってくるんですよ(笑)。

コメント7

「伊東 乾の「常識の源流探訪」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック