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「企業戦士」たちの苦悩[10]働き方見つけた-2 個人と会社の新しい関係

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2009年3月13日(金)

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 会社に就職して○十年。日本では当たり前の姿だった。就職ではなく「就社」。会社を選ぶもので自分の職業を選ぶものではない。弁護士、公認会計士などの資格があるなら別だが、自分のタイトルはあくまで「(株)○○の○○課長」。しかし、年功序列、終身雇用が崩れた今、果たしてそれが幸せな働き方なのか。「ハッピーリタイアメント」ならぬ「ハッピーワーキング」は成立するのだろうか。

(注)会社名、肩書きなどは当時のまま

* * *

2002年4月29日号

 考えてみれば不思議だ。どうして同じ会社に通い続けるのだろうか。わざわざ同じ時間帯に、同じ方向に向かう電車に乗って疲労困憊している。本当は、休みは週に1日でいいから代わりに、連続1カ月の長期休暇が欲しいのに、なぜそれが許されないのか。
 人はそれぞれ能力も、達成したい目標も違うはず。独立を夢見て、がむしゃらに働く人もいる。会社という舞台を最大限利用し、個人では成し得ない大きな仕事に挑もうとする人もいる。仕事は私生活を充実させるための手段、と割り切っている人もいる。だが、求人票には、みな同じようなことが書いてある。
 自分なりの働き方を見つけたい。自分なりの働き方ができる会社を見つけたい。もし、そんな会社に入れれば、自分は誰よりも会社に貢献できる社員になれる。自信はある。それだけ密度濃く働いてきたからだ。
 そうはいっても、時々、不安にかられることもある。自分は多くを望みすぎているのではないか、と。よりによって、この未曽有の買い手市場の時代に。しかし、企業の側にも変化の兆しはある。変わらなければ、企業も立ち行かないはずだ…。
 そうだ、あの会社に電話してみよう。=文中敬称略

(花見 宏昭、三橋 英之、立木 奈美)

【第2話】 入江 和成氏(41歳)
在宅田舎勤務してます
出勤は週1回、特急「あずさ」で東京へ

 入江和成の働くオフィスは八ケ岳の南麓、山梨県北巨摩郡にある。西から南の方角には標高2000mを超える南アルプスの峰々が連なり、南南東には富士山を望む絶景の地だ。

 周囲を畑に囲まれた瀟洒な木造2階建ての家。それが入江の自宅兼オフィスである。仕事場として使う2階の一室には、パソコンが所狭しと並ぶ。これらを駆使して、携帯電話の着信メロディーや通信カラオケなど、音楽コンテンツを制作するためのソフトウエアを開発するのが入江の仕事だ。

 仕事の合間に、自宅敷地内の菜園で妻と一緒に野菜を作り、ストーブにくべる薪を割る。ウッドデッキも1年がかりで自作した。専門技能を生かし、豊かな自然の中で職住接近を実現する。都会のサラリーマンにはちょっと手の届かない夢物語に映るが、入江は東京の会社に勤めるれっきとした会社員である。

フリーでなく社員にこだわる

 入江は勤務先であるソフト開発会社、クリムゾンテクノロジー(東京・品川区)に週に1度出社している。特急「あずさ」で約3時間。それ以外の日は、午前10時に2階の仕事場に“出勤”する。

 入江は自分の勤務形態をSOHOCOソーホーコー(スモールオフィス・ホームオフィス・カントリーオフィス)と呼んでいる。在宅田舎勤務。それは入江が社会人になった頃から漠然と考えていた働き方だった。学生時代、所属ゼミの教授の別荘を頻繁に訪ねるうちに、「森に囲まれて、暖炉のある家で過ごす生活に憧れるようになった」と言う。

 5年前、入江は当時勤めていた会社の社長に在宅勤務を許可してくれるよう願い出た。長期にわたる開発案件を担当したことがきっかけだ。ほぼ単独で進められる作業だったので、埼玉県上尾市の自宅から都心のオフィスまで片道1時間半かけて出勤するのは、いかにもムダに思えた。ちょうど電子メールが普及し始めた頃でもあり、社長は入江の申し出を了承した。

 自宅での勤務を始めて半年、入江は「これなら田舎暮らしとも両立できる」と感じ始めた。再び社長に相談すると、「それも、これからの時代の新しい働き方だろうな」と積極的に後押ししてくれた。入江は眺望が良く、家庭菜園が楽しめる土地を求めて、八ケ岳南麓を何度も訪れた。土地探しを始めてから2年弱、1999年8月に念願の在宅田舎勤務をスタートさせた。

 入江の一風変わった働き方を可能にしている条件の1つは、音楽コンテンツ関係のソフト開発という自己完結性の強い職種である。そして、会社側の理解も大きい。入江は今年4月初めにクリムゾンテクノロジーに転職したが、同社の社長、飛河和生も「個人が自らの裁量で仕事に取り組み、その成果に対して報酬を得ればよい」という考えの持ち主だ。

コメント2件コメント/レビュー

銀行などの金融屋さんや、マスコミなどの文系花形産業からすると二流産業扱いなのでしょうが、製造業であれば、例え業界首位の企業であろうとも工場はたいてい田園地帯(どころか遥かな田舎の可能性も)でしょうから、住環境だけで言えば題材にされている方と同等ではないかという気がします。朝たいてい8時出勤な上に帰りは(恐らく)0時近辺であり、近所の方とスポーツなどをしたりすることはあまりないかもというところだけ違うでしょうが(中には帰宅時間も題材の方に近い幸せな人もいるでしょうが)。世の中、マスコミの方がよく想定されるような、都心部在住である程度の収入が得られる上に、帰宅時間も比較的早いという金融・マスコミ・1種公務員のような人ばかりではないです。(2009/03/13)

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銀行などの金融屋さんや、マスコミなどの文系花形産業からすると二流産業扱いなのでしょうが、製造業であれば、例え業界首位の企業であろうとも工場はたいてい田園地帯(どころか遥かな田舎の可能性も)でしょうから、住環境だけで言えば題材にされている方と同等ではないかという気がします。朝たいてい8時出勤な上に帰りは(恐らく)0時近辺であり、近所の方とスポーツなどをしたりすることはあまりないかもというところだけ違うでしょうが(中には帰宅時間も題材の方に近い幸せな人もいるでしょうが)。世の中、マスコミの方がよく想定されるような、都心部在住である程度の収入が得られる上に、帰宅時間も比較的早いという金融・マスコミ・1種公務員のような人ばかりではないです。(2009/03/13)

刺激的でやりがいのある仕事と、自然に囲まれ、地域社会に生きる実感が持てる生活。これは大都市圏で働くホワイトカラー、すなわち本誌の読者の多くにとって相反する命題だろう。だが、本当に両立は不可能なのか。:このレベル(肯定的な意味で)の達成なら多分可能です。人生を戦略的にしっかりプランして、そういったポジションを確保するための技能なりを取得すれば。ですが国民全員に対してそれが可能かというとNOです。努力の度合に個人差があるので。一方では達成地点を今回の事例より高い位置に設定する人もいます。このうち最も厄介なのが、プランが戦略的でなく努力もしない人=結果が伴わない人です。しかし、前者の達成は後者の犠牲の上に成り立っている部分もあるので・・・、所詮人間の営みは富の分配ですから。昔はもう少し不公平感がない分配だった と皆が感じているのでしょ。その分今より皆が我慢強くもあったのでしょうが。(2009/03/13)

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三品 和広 神戸大学教授