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押し寄せる21世紀の難問に備えよ
ポール・ケネディ米エール大学教授インタビュー

2009年3月27日(金)

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 大国の500年にわたる栄枯盛衰を、経済力と軍事力からひもといた著書「大国の興亡」が世界的ベストセラーになったポール・ケネディ米エール大学教授。経済の変化の速さと複雑さに、世界経済が巻き込まれ、途方に暮れている。

 日本の景気回復は、アジアやラテンアメリカで回復の兆しが見えてからだと予測し、英、米はさらにその後だとする。「私たちは歴史的な瞬間に立ち会っている」と指摘するケネディ教授に、今後も続きそうな経済の混乱をどう受け止め、乗り切るべきかを聞いた。

(聞き手は日経ビジネス記者 広野彩子)


 ―― ケネディ教授が1993年に書かれた『21世紀の難問に備えて』(草思社)で指摘されていたように、金融に対して人々が信頼を失い、金融革命が世界に不確実性を引き起こしました。これはある種、予言だったのではないかと思います。歴史的な文脈で、私たちは今、大変革の時にいるのでしょうか。

ポール・ケネディ氏
(Paul Kennedy)

1945年英国生まれ。米エール大学歴史学教授。英ニューカッスル大学卒業、英オックスフォード大学博士。500年間の大国の栄枯盛衰を、経済力と軍事力の因果関係などから分析した87年出版の『大国の興亡』(草思社)は世界的ベストセラーになった。

(写真:Robert Lisak、以下同)

 ポール・ケネディ それは非常に重要な話題です。たびたび起こる金融危機や、サブプライム危機や、通貨の価値の変動というものは、実に破壊的ですね。今が歴史的な出来事かと言えば、非常に大きな出来事である、と感じます。私たちは、歴史的な瞬間に立ち会っているのです。

 これから、主要経済大国の政府間で、かなりの緊張が起こるでしょう。これは、信用危機や、住宅市場の危機や、高い失業率に対する対応の違いに表れていると思います。

 国によって2種類の対応があります。米国、英国、フランスでは、政府と政治家は、膨大な赤字をもたらす財政支出に踏み切っている。しかし、ドイツや日本、ある程度は中国もそうですが、相対的にはなるべく財政赤字を避けようとしている。

ケインズ主義的な政策を取る英、米

 英国、フランス、米国の政府は、危機に対して初めからケインズ主義的なやり方を取っていて、とにかく財政出動だ、というわけです。他の国は、慎重なやり方を取っています。1930年代にケインズが現れて、「これは信用危機だ。信念と信用の危機だ、だから政府が前面に出て、経済を再活動させるために政府が支出しなければいけない」と主張する前の時代のアプローチです。

 一方、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、なぜ財政出動をしないのかと問われたら、「インフレーションの恐れがあるし、脅威が大きすぎる」と言うでしょう。

 まるで「自立するために、家を所有し続けます」と言ったメルケル首相のような政策を、日本がずっと採るかどうか。メルケル首相の言い分はある意味わがままですよね。自分の家を最優先できれいにしておきたいということですよ。

 日本は、米国や国際通貨基金(IMF)や先進7カ国(G7)から、公的資金の投入をしたり、減税をしたりするべきだとの圧力にさらされるでしょう。それをどうすべきかまでは私は言えませんが、世界の経済情勢は非常に深刻であることを理解すべきだと思います。

 日本はこの不況からひどい影響を受けています。日本政府はケインズ主義の財政出動アプローチか、財政規律重視を目指すか、国際社会から二者択一を迫られるでしょう。

 ―― 実際、日本の財政赤字問題は深刻です。

 ケネディ どの国の政府も、どの国の財務省も、どの国の中央銀行も、明確な答えのない難しい、大きな困難を抱えています。日本政府は、悪い政策、力強い政策、国民の支持を失う政策のうち、どれを選ぶかという状況に直面しています。簡単な方法は何一つありません。はっきりした答えがあるなら、政府は迷わずそれを選ぶでしょう。

短期的アプローチか、長期的アプローチか

 そこで問題です。もし、イタリアやロシアやウクライナやスペインよりも競争力のある日本が、財政出動をしないドイツの戦略を踏襲し、財政規律を優先し、財政赤字を抱えることを否定する道を選んだら、どうなるか。日本にとって短期的にはよいことなのかもしれません。ドイツにとっても短期的にはよいことだと思います。

 ただ問題は、トヨタ自動車7203のような日本の製造業は、もっと中長期的に考える必要があるということです。欧米市場で、売上高をもう一度伸ばしたいでしょう。しかし、欧米諸国が不況から脱しない限り、売り上げアップはありません。

コメント1件コメント/レビュー

日本がむやみに財政出動をする意味がよく判らない。需要がそれなりに見込め、雇用を始め事業継続が見込める場合は可としよう。 世界中でしかし日本製品を求めている国はアジアを中心に沢山ある。将来的に政府が財政を投入する場所は日本に対する一つの投資でなければならない。多すぎる建築業、土建業をODAに使う金を使いアジア諸国のインフラ建設に人と金を今使うのも日本と外国との将来に向っての良い関係へWINーWINの投資になる。 輸出に円高は確かに影響があるが昔のような繊維を売ってはいない。 農業の構造改革も必須である。何時までも米にしがみつかず米と寿司、米と茶つけ等組み合わせて文化を広めよ。外国で出来ない製品をつくる、中国で簡単なものを造り日本からキーパーツを支給して日本企業は完成品を作る事も米国では20年前からやっている。日本はまだ米国という手本がある。気が付いていないお気軽エコノミストがメディアで騒ぐ前に勉強してもらいたい。 金融規制も日本が規則を創出し米国に提示してもよさそうなものだが、SOXのような監査規則も米国に遅れをとっている。表層的に米国動向を都合良く採用したり、報道するメディアは反省してもらいたい。円で大小を評価するから円高を恐れているのである、利益率で会社運営を捉えていこうとしている会社経営陣も出てきているみたいだが。読者の皆様如何ですか?(2009/03/27)

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「押し寄せる21世紀の難問に備えよ
ポール・ケネディ米エール大学教授インタビュー」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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日本がむやみに財政出動をする意味がよく判らない。需要がそれなりに見込め、雇用を始め事業継続が見込める場合は可としよう。 世界中でしかし日本製品を求めている国はアジアを中心に沢山ある。将来的に政府が財政を投入する場所は日本に対する一つの投資でなければならない。多すぎる建築業、土建業をODAに使う金を使いアジア諸国のインフラ建設に人と金を今使うのも日本と外国との将来に向っての良い関係へWINーWINの投資になる。 輸出に円高は確かに影響があるが昔のような繊維を売ってはいない。 農業の構造改革も必須である。何時までも米にしがみつかず米と寿司、米と茶つけ等組み合わせて文化を広めよ。外国で出来ない製品をつくる、中国で簡単なものを造り日本からキーパーツを支給して日本企業は完成品を作る事も米国では20年前からやっている。日本はまだ米国という手本がある。気が付いていないお気軽エコノミストがメディアで騒ぐ前に勉強してもらいたい。 金融規制も日本が規則を創出し米国に提示してもよさそうなものだが、SOXのような監査規則も米国に遅れをとっている。表層的に米国動向を都合良く採用したり、報道するメディアは反省してもらいたい。円で大小を評価するから円高を恐れているのである、利益率で会社運営を捉えていこうとしている会社経営陣も出てきているみたいだが。読者の皆様如何ですか?(2009/03/27)

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